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アイテム
乳牛の胎盤における副甲状腺ホルモン関連タンパク質とカルシウムトランスポーターに関する研究
https://az.repo.nii.ac.jp/records/2000127
https://az.repo.nii.ac.jp/records/2000127adda1fb5-7a76-4186-a315-fdc764684338
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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diss_dv_otsu445_jab&rev.pdf
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||||
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公開日 | 2024-07-22 | |||||||
タイトル | ||||||||
タイトル | 乳牛の胎盤における副甲状腺ホルモン関連タンパク質とカルシウムトランスポーターに関する研究 | |||||||
言語 | ja | |||||||
言語 | ||||||||
言語 | jpn | |||||||
資源タイプ | ||||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_db06 | |||||||
資源タイプ | doctoral thesis | |||||||
アクセス権 | ||||||||
アクセス権 | open access | |||||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_abf2 | |||||||
著者 |
風間, 啓
× 風間, 啓
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抄録 | ||||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||||
内容記述 | 乳牛において、周産期疾患は母牛の死亡リスクを高め、生産性の低下につながることが知られている。特に、泌乳によって乳汁中にカルシウムが大量に分泌されるため、分娩前後の低カルシウム血症が問題となっている。乳牛の低カルシウム血症は乳熱だけではなく、第四胃変位、ケトーシスなどの疾患の素因にもなり、母牛にかかる負担が大きい。一方で、母牛の血液中のミネラルは、胎盤を通じて胎子に移行していることから、母牛の低カルシウム血症は胎子にも影響があると考えられる。しかし、乳牛の胎盤におけるカルシウム輸送機構は十分にわかっていない。マウスにおいては、副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)が、胎盤におけるカルシウム輸送を調節することが報告されている。そこで本研究では、乳牛の胎盤において、PTHrPが母体から胎子へのカルシウム輸送を調節するかを検討した。 第1章では、乳牛の子宮捻転について、その臨床疫学的特徴について調査した。難産は胎子の死亡にもつながり、発症すると経済的損失が大きく、特に乳牛においては、子宮捻転が難産の主要な原因として挙げられている。さらに、子宮捻転を含む難産は、低カルシウム血症がリスクとなることが知られている。また、正常産のウシよりも難産のウシで血漿中亜鉛濃度が低いことが報告されており、ミネラル代謝異常は、ウシの難産のリスクを高めると考えられる。一方で、母牛が子宮捻転を発症した場合、胎子への影響を検討した報告は少ない。また、子宮捻転は、通常妊娠中に発症するが、分娩後に発症する例が少数ながら報告されており、その臨床疫学的特徴は明らかになっていない。そこで、分娩後に子宮捻転を発症した乳牛23例について、臨床徴候、疫学的所見を調査したところ、分娩後10日前後に子宮内に悪露とガスが貯留し、子宮体部が捻転することが明らかとなった。さらに、起立困難や不能といった起立能力の異常を認め、血液検査では、軽度の低カルシウム血症が認められた。治療法としては、経直腸より用手で、または開腹して腹腔内より捻転方向と反対方向に子宮を回転させることで容易に整復できた。一方、分娩期の子宮捻転では、子宮捻転を発症した乳牛から産まれた子牛は、捻転していないウシから産まれた子牛よりも7.85倍死産率が高かった。さらに、子宮捻転を発症した乳牛(n = 15)、発症していない乳牛(n = 27)、およびそれらから出生した新生子牛(n = 9、 およびn = 26)について、血液中の微量ミネラル濃度を測定したところ、血清亜鉛濃度は子宮捻転を発症した乳牛で有意に低く(p < 0.01)、銅亜鉛比は有意に高かった(p < 0.05)。また、新生子牛については、子宮捻転を発症した母牛から産まれた子牛は、血清中のコバルト濃度が有意に高いことが明らかとなった(p < 0.01)。これらの結果から、子宮捻転は妊娠期のみならず分娩後にも発症することが示唆された。さらに、子宮捻転は、母牛のみならず胎子のミネラル代謝にも影響を及ぼすことが明らかになった。 第2章では、分娩末期の乳牛の胎盤におけるミネラル輸送機構について着目した。マウスの胎盤において、カルシウム感知受容体(CaSR)は、胎盤に発現するPTHrPの作用を調節し、胎子のカルシウム代謝に影響を与えると考えられている。そこで、妊娠末期の乳牛について帝王切開を行い、胎盤節を採取した。胎盤節を子宮小丘と小葉に分け、それぞれの組織においてリアルタイムPCR法により遺伝子発現を調べたところ、PTHrPは小葉よりも子宮小丘で(p < 0.01)、CaSRは子宮小丘よりも小葉で(p < 0.05)有意に高い発現が認められた。また、カルシウム輸送に関わるTransient receptor potential cation channel subfamily V member(TRPV)5(p < 0.05)、TRPV6(p < 0.05)、およびLow-density lipoprotein receptor related protein 2(p < 0.01)の遺伝子発現量は、子宮小丘よりも小葉で有意に高かった。一方で、子宮小丘と小葉の間で、微量ミネラルの輸送に関わるトランスポーターの遺伝子発現量に有意差は認められなかった。さらに、帝王切開時に母牛、新生子牛の頚静脈、臍動脈、および臍静脈から採血を行い、血液中のPTHrP濃度、およびカルシウム濃度を測定したところ、母体の血液中からはPTHrPは検出されなかったが、新生子牛、臍動脈、および臍静脈血からはPTHrPが検出された。また、血液中カルシウム濃度は、母体よりも新生子牛、臍動脈、および臍静脈血で有意に高値だった(p < 0.01)。これらのことから、乳牛の胎盤では、小葉側で胎子の血液中カルシウム濃度をCaSRが感知し、子宮小丘で産生されたPTHrPが母体から胎子へのカルシウム輸送を調節していると考えられた。 第3章では、牛栄養膜由来培養細胞(BT-C)細胞を用いて、PTHrPが牛栄養膜におけるミネラル輸送に関与するかを検討した。ラットの腸管において、PTHrPは、カルシウムトランスポーターであるTRPV6、Calcium-binding protein(CaBP)、Sodium calcium exchanger 1、Plasma membrane Ca2+ ATPase 1の発現をアップレギュレートすることが報告されている。さらに、TRPV6をノックアウトすると、マウスの胎盤において母体から胎子へのカルシウム輸送活性が低下することが知られている。これらのことから、牛胎盤においても、CaSRがカルシウム濃度を感知し、PTHrPがカルシウムトランスポーターの発現を調節すると仮説を立てた。そこで、遺伝子組換え牛PTHrP[1-141]を作成し、BT-C細胞に無添加、0.1、1.0 pMの濃度で作用させた。RNAシーケンス法、リアルタイムPCR法により、カルシウムトランスポーターの遺伝子発現量の変化を調べたところ、無添加よりも1.0 pMの群で、TRPV5(p < 0.05)、TRPV6(p < 0.01)、およびCaBP(p < 0.05)の有意な遺伝子発現量の増加を認めた。さらに、ウェスタンブロット法により、TRPV6の発現量を調べたところ、PTHrP無添加よりも、1.0 pMで有意に高い発現量が認められた(p < 0.05)。実際に、カルシウムが細胞内に取り込まれているかをカルシウムイメージング法により調べたところ、PTHrP無添加よりも1.0 pMでBT-C細胞内に強い蛍光強度を認めた。このことから、BT-C細胞では、牛PTHrP[1-141]によってTRPV6の発現量が増加し、カルシウムの取り込みが促進されると考えられた。 以上のことから、乳牛の子宮捻転は分娩後10日前後にも発症し、起立能力に異常を認めることが明らかとなった。さらに、分娩期に子宮捻転を発症した母牛、およびその胎子では、ミネラル代謝異常が起こっていると推測された。本研究の結果から、通常母牛の血液からは検出されないPTHrPが新生子牛の頚静脈血、臍動脈、および臍静脈血から検出された。また、牛胎盤において、胎子側のカルシウム濃度を小葉のCaSRが感知し、子宮小丘由来のPTHrPが胎子のカルシウム代謝を調節すると考えられた。さらに、牛栄養膜由来培養細胞において、牛PTHrPはTRPV5、TRPV6、およびCaBPの遺伝子発現量を増加させることから、牛胎盤において、PTHrPがカルシウムの取り込みを促進することが示唆された。 |
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学位名 | ||||||||
学位名 | 博士(獣医学) | |||||||
学位授与機関 | ||||||||
学位授与機関識別子Scheme | kakenhi | |||||||
学位授与機関識別子 | 32701 | |||||||
学位授与機関名 | 麻布大学 | |||||||
学位授与年月日 | ||||||||
学位授与年月日 | 2024-02-26 | |||||||
学位授与番号 | ||||||||
学位授与番号 | 乙第445号 |