{"created":"2024-07-22T01:21:20.438908+00:00","id":2000127,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"faf6a999-4dd8-449c-8b17-d4236a837106"},"_deposit":{"created_by":17,"id":"2000127","owners":[17],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2000127"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:02000127","sets":["17:38:1721610545635","370:15:392"]},"author_link":[],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2024-02-26"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"32701","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(獣医学)"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"乳牛において、周産期疾患は母牛の死亡リスクを高め、生産性の低下につながることが知られている。特に、泌乳によって乳汁中にカルシウムが大量に分泌されるため、分娩前後の低カルシウム血症が問題となっている。乳牛の低カルシウム血症は乳熱だけではなく、第四胃変位、ケトーシスなどの疾患の素因にもなり、母牛にかかる負担が大きい。一方で、母牛の血液中のミネラルは、胎盤を通じて胎子に移行していることから、母牛の低カルシウム血症は胎子にも影響があると考えられる。しかし、乳牛の胎盤におけるカルシウム輸送機構は十分にわかっていない。マウスにおいては、副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)が、胎盤におけるカルシウム輸送を調節することが報告されている。そこで本研究では、乳牛の胎盤において、PTHrPが母体から胎子へのカルシウム輸送を調節するかを検討した。\n第1章では、乳牛の子宮捻転について、その臨床疫学的特徴について調査した。難産は胎子の死亡にもつながり、発症すると経済的損失が大きく、特に乳牛においては、子宮捻転が難産の主要な原因として挙げられている。さらに、子宮捻転を含む難産は、低カルシウム血症がリスクとなることが知られている。また、正常産のウシよりも難産のウシで血漿中亜鉛濃度が低いことが報告されており、ミネラル代謝異常は、ウシの難産のリスクを高めると考えられる。一方で、母牛が子宮捻転を発症した場合、胎子への影響を検討した報告は少ない。また、子宮捻転は、通常妊娠中に発症するが、分娩後に発症する例が少数ながら報告されており、その臨床疫学的特徴は明らかになっていない。そこで、分娩後に子宮捻転を発症した乳牛23例について、臨床徴候、疫学的所見を調査したところ、分娩後10日前後に子宮内に悪露とガスが貯留し、子宮体部が捻転することが明らかとなった。さらに、起立困難や不能といった起立能力の異常を認め、血液検査では、軽度の低カルシウム血症が認められた。治療法としては、経直腸より用手で、または開腹して腹腔内より捻転方向と反対方向に子宮を回転させることで容易に整復できた。一方、分娩期の子宮捻転では、子宮捻転を発症した乳牛から産まれた子牛は、捻転していないウシから産まれた子牛よりも7.85倍死産率が高かった。さらに、子宮捻転を発症した乳牛(n 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0.01)。これらのことから、乳牛の胎盤では、小葉側で胎子の血液中カルシウム濃度をCaSRが感知し、子宮小丘で産生されたPTHrPが母体から胎子へのカルシウム輸送を調節していると考えられた。\n第3章では、牛栄養膜由来培養細胞(BT-C)細胞を用いて、PTHrPが牛栄養膜におけるミネラル輸送に関与するかを検討した。ラットの腸管において、PTHrPは、カルシウムトランスポーターであるTRPV6、Calcium-binding protein(CaBP)、Sodium calcium exchanger 1、Plasma membrane Ca2+ ATPase 1の発現をアップレギュレートすることが報告されている。さらに、TRPV6をノックアウトすると、マウスの胎盤において母体から胎子へのカルシウム輸送活性が低下することが知られている。これらのことから、牛胎盤においても、CaSRがカルシウム濃度を感知し、PTHrPがカルシウムトランスポーターの発現を調節すると仮説を立てた。そこで、遺伝子組換え牛PTHrP[1-141]を作成し、BT-C細胞に無添加、0.1、1.0 pMの濃度で作用させた。RNAシーケンス法、リアルタイムPCR法により、カルシウムトランスポーターの遺伝子発現量の変化を調べたところ、無添加よりも1.0 pMの群で、TRPV5(p < 0.05)、TRPV6(p < 0.01)、およびCaBP(p < 0.05)の有意な遺伝子発現量の増加を認めた。さらに、ウェスタンブロット法により、TRPV6の発現量を調べたところ、PTHrP無添加よりも、1.0 pMで有意に高い発現量が認められた(p < 0.05)。実際に、カルシウムが細胞内に取り込まれているかをカルシウムイメージング法により調べたところ、PTHrP無添加よりも1.0 pMでBT-C細胞内に強い蛍光強度を認めた。このことから、BT-C細胞では、牛PTHrP[1-141]によってTRPV6の発現量が増加し、カルシウムの取り込みが促進されると考えられた。\n以上のことから、乳牛の子宮捻転は分娩後10日前後にも発症し、起立能力に異常を認めることが明らかとなった。さらに、分娩期に子宮捻転を発症した母牛、およびその胎子では、ミネラル代謝異常が起こっていると推測された。本研究の結果から、通常母牛の血液からは検出されないPTHrPが新生子牛の頚静脈血、臍動脈、および臍静脈血から検出された。また、牛胎盤において、胎子側のカルシウム濃度を小葉のCaSRが感知し、子宮小丘由来のPTHrPが胎子のカルシウム代謝を調節すると考えられた。さらに、牛栄養膜由来培養細胞において、牛PTHrPはTRPV5、TRPV6、およびCaBPの遺伝子発現量を増加させることから、牛胎盤において、PTHrPがカルシウムの取り込みを促進することが示唆された。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第445号"}]},"item_access_right":{"attribute_name":"アクセス権","attribute_value_mlt":[{"subitem_access_right":"open access","subitem_access_right_uri":"http://purl.org/coar/access_right/c_abf2"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"風間, 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