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アイテム
日本で供給されているHelicobacter pylori難感染性のスナネズミにおける最適な感染条件に関する研究
https://az.repo.nii.ac.jp/records/4257
https://az.repo.nii.ac.jp/records/4257ad29c6a8-fe10-4785-a89e-a6e83d5d732f
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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diss_de_otsu0025 (575.6 kB)
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diss_de_otsu0025_jab&rev (175.2 kB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2015-05-15 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 日本で供給されているHelicobacter pylori難感染性のスナネズミにおける最適な感染条件に関する研究 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Optimization of infectious conditions with Helicobacter pylori in the infection-highly resistant Mongolian gerbils supplied in Japan | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | eng | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_db06 | |||||
資源タイプ | doctoral thesis | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | open access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_abf2 | |||||
著者 |
川戸, 克仁
× 川戸, 克仁× Kawato, Katsuhito |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 1983年にWarren とMarshallによって初めてヒトの胃粘膜から分離されたHelicobacter pylori (H. pylori )の動物実験には、BALB/cヌードマウスあるいはBALB/c 無菌マウスなどが用いられたこともあるが、スナネズミがヒトのH. pylori感染の病態を最もよく反映することから現在ではスナネズミが用いられている。 本邦では、H. pyloriが容易に感染するスナネズミを最も多く供給していた繁殖会社(A社)が、2012年中頃からその供給を中止したため、現在は他の1社(B社)から供給されているスナネズミしか入手できない。しかし、B社から供給されているスナネズミには従来のH. pyloriの接種条件ではほとんど感染しないため、現在わが国ではスナネズミを用いたH. pyloriの研究を行うことが困難な状況下にある。 本研究では、B社から供給されているH. pylori難感染性のスナネズミに感染を容易にさせる条件を検討した。本研究の概要は以下の通りである。 本研究には、A社(27匹)及びB社(162匹)の雄性スナネズミ合計189匹を用いた。供試したH. pyloriの菌株は、東海大学医学部感染症研究室の古賀康裕教授から分与された1株及び一般財団法人東京顕微鏡院から分与された臨床分離株5株である。本研究ではH. pyloriの接種量は5×107CFU/mlとし、その接種及び各種溶液のスナネズミへの経口投与には経口ゾンデを用いた。 本研究におけるH. pyloriの感染の有無は、H. pyloriに対する血清中のIgM及びIgG抗体の上昇によって判定した。その血清抗体の上昇がH. pyloriの感染成立の指標となることは、B社のスナネズミを用いて次の方法で確認を行った。H. pylori接種2週間後のスナネズミの胃の組織を培養してH. pyloriの感染が確認された個体と確認されなかった個体の両方について血清抗体との関係を検討した。H. pyloriの感染が成立し易い群では、前処置としてpH1.7の胃液約0.1mlを中性付近まで上昇させるために0.1%炭酸水素ナトリウム溶液、pH 9.5(重曹)0.3mlを投与したスナネズミ(10匹)へbrain heart infusion(BHI)培地で調製したH. pyloriを1日1回、2日間連続接種した。他方、H. pyloriが感染しにくい群では、スナネズミ(20匹)へfamotidineを投与した後に滅菌生理食塩水(生理食塩水)で調製したH. pyloriを1日1回接種した。これらのスナネズミは、H. pylori接種の2週間後に麻酔下の採血によって安楽死させ、血清中のIgM及びIgG抗体をELISAで測定した。それと同時に、摘出した胃の組織へ滅菌したPBS、pH7.4を加えてホモジナイズし、それをウマ血清加BHI寒天培地で培養した。その結果、前処置で0.1%重曹0.3mlを投与した10匹のスナネズミのうち血清中のIgM及びIgG抗体が有意に上昇した9匹のスナネズミ全ての胃からH. pyloriが分離された。一方、famotidineを投与したスナネズミのうちH. pylori 接種後に血清中のIgM及びIgG抗体が有意に上昇しなかった18匹から無作為に選んだ10匹のスナネズミの胃からは全くH. pyloriが分離されなかった。これによってH. pyloriに対する血清中のIgM及びIgG抗体の上昇がH. pyloriの感染成立の判定を行う指標になることが確認された。それ故に、以下の実験では血清抗体の上昇を指標としてH. pyloriの感染を判定した。 A社及びB社のスナネズミへ生理食塩水あるいはBHI培地で調製したH. pyloriをそれぞれ接種した場合の感染率を比較した結果、A社のスナネズミ(27匹)は全例が生理食塩水で調製したH. pyloriに感染したが、B社のそれ(40匹)では全例で感染が成立しなかった。また、BHI培地で調製したH. pyloriをB社のスナネズミへ接種した場合には、42%(5/12)に感染が確認された。感染が成立しなかった原因として、BHI培地で調製したH. pyloriの接種で42%に感染が認められたことならびにH. pyloriはウレアーゼを分泌して尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解することで強酸性の胃内を自らが生存可能な環境に変えることから、胃内のpHが関係することが推察された。そこで、H. pylori を接種する前に、H2-ブロッカーであるfamotidineあるいは重曹を用いて胃内のpHを上げる前処置を試みた。その条件下で行った感染実験の結果及びすでに得られていた成績を併せた結果は次の通りであった。(1) BHI培地(pH7.2)で調製したH. pyloriを接種したところ、42%(5/12)で感染が認められた。(2) H. pylori接種3時間前に10㎎/㎏(体重)のfamotidineを投与した後に、生理食塩水で調製したH. pyloriを接種した結果、10%(2/20)に感染が認められた。(3) 0.02%に尿素を含有したBHI培地(pH7.3)で調製したH. pyloriを接種したところ、70%(7/10)で感染が確認された。(4) H. pylori接種10分前に0.1%の重曹0.3mlを投与して胃内のpHを中性付近に調整した後、生理食塩水で調製したH. pyloriを1日1回接種したところ、70%(7/10)で感染が認められ、これを2日間連続接種したときには80%(8/10)に感染が認められた。(5)(4)と同様に、0.1%重曹を投与した後に、BHI培地で調製したH. pyloriを1日1回接種した結果、80%(8/10)に感染が認められ、これを2日間連続接種したときには90%(9/10)で感染が確認された。 次に、継代の少ない臨床分離株の感染性を検討するために、生理食塩水で調製したH. pyloriをB社の無処置のスナネズミ各3匹へそれぞれ接種したところ、5株のうち2株で3匹中各1匹に感染が確認された(13.3%)が、他の3株では感染が成立しなかった。 絶食させたスナネズミ10匹の胃液のpHは平均1.7で、その量は約0.1mlであった。pH1.7の0.08M 塩酸0.1mlに0.1%重曹0.3ml及びBHI培地1.0mlを加えたときのpHは6.9に上昇した。そのことから、前処置によって胃内のpHが中性付近まで上昇したことで、継代を重ねたH. pyloriの感染率が高まったものと考えられた。その明確な機序は不明であるが、接種されたH. pyloriが胃粘膜に定着する際に、初めはその生存に必要な量のアンモニアを生成させるに充分なウレアーゼを分泌できないために、H. pyloriが定着する部位のpHを生存可能なpHにまで上昇させることができないことが定着を困難にしたと考えられた。また、継代の少ないH. pylori臨床分離株が、継代を重ねた菌株よりもわずかに感染し易いと思われる成績が得られたが、その感染率(13.3%)は低く、継代を重ねた菌株との相違は明らかにできなかった。 以上のように、本研究では、菌体を生理食塩水に浮遊させた菌液を接種する一般的な接種方法ではH. pyloriの感染がきわめて困難なB社のスナネズミにおいて、H. pyloriの感染率を高める条件として菌接種前に胃内のpHを中性付近に調整する前処置が有効であることを確認した。 |
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Abstract | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | Optimization of infectious conditions with Helicobacter pylori (H. pylori) in the infection-highly resistant Mongolian gerbils was performed. Mongolian gerbils were inoculated with H. pylori without pre-treatment or administered with sodium bicarbonate prior to inoculation. Serum titers of IgG and IgM against H. pylori measured by ELISA. H. pylori were isolated from the stomachs of Mongolian gerbils with increased IgM and IgG titers. On the other hand, H. pylori were not isolated from the stomachs of Mongolian gerbils with unchanged titers. All of the Mongolian gerbils obtained from supplier A were infected with H. pylori suspended in sterilized saline without pre-treatment, while none of the Mongolian gerbils obtained from supplier B were infected with H. pylori suspended in sterilized saline, while 42% of the Mongolian gerbils inoculated with H. pylori suspended in brain heart infusion medium were infected. Furthermore, infection with H. pylori in Mongolian gerbils previously administered with famotidine, an H2-blocker, was unsuccessful. Low infection rates were also observed in Mongolian gerbils administered 10% sodium bicarbonate solution prior to inoculation. However, infection with H. pylori in these Mongolian gerbils was successful after administration of 0.1% sodium bicarbonate solution prior to inoculation. The infection rate in Mongolian gerbils administered 0.1% sodium bicarbonate prior to inoculation with H. pylori suspended in brain heart infusion medium was 90%, and this rate was higher than with other pre-treatment methods. H. pylori infection of highly resistant Mongolian gerbils supplied in Japan is possible by adjusting gastric pH. | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(学術) | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関識別子Scheme | kakenhi | |||||
学位授与機関識別子 | 32701 | |||||
学位授与機関名 | 麻布大学 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2015-03-05 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 乙第25号 | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | VoR | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85 |