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  1. 学位論文
  2. 獣医学専攻
  3. 博士論文(甲)

イヌの血小板輸血の臨床応用に向けた基礎的研究

https://doi.org/10.14944/00003922
https://doi.org/10.14944/00003922
50b7dd9a-8128-4356-97d6-405850828a51
名前 / ファイル ライセンス アクション
diss_dv_kou0137.pdf diss_dv_kou0137 (1.3 MB)
diss_dv_kou0137_jab&rev.pdf diss_dv_kou0137_jab&rev (164.8 kB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2014-05-20
タイトル
タイトル イヌの血小板輸血の臨床応用に向けた基礎的研究
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ doctoral thesis
ID登録
ID登録 10.14944/00003922
ID登録タイプ JaLC
アクセス権
アクセス権 open access
アクセス権URI http://purl.org/coar/access_right/c_abf2
著者 瀨川, 和仁

× 瀨川, 和仁

瀨川, 和仁

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抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 血小板減少と血小板機能異常は止血障害の主要原因の1つであり、脳内など出血部位によっては命にかかわる危険性がある。そこで、人医療ではそのような致死的出血を回避するために血小板輸血が行われている。
 しかしながら、イヌをはじめとして獣医療では血小板輸血が実施されるのはごく一部の施設にとどまっている。その主な理由として、日本に動物の血液バンクが存在しないことが挙げられる。各診療施設で血小板製剤の作製や保存に取り組まなくてはならないため、実施は容易でない。
 そして、獣医療における血小板製剤は、作製方法や保存方法に関する情報が少なく、さらにヒトのように適切な投与量を繰り返し輸血して血小板数を一定以上に維持するためには、数多くのドナーを確保しなくてはならない。したがって、血液バンクを持つ海外の獣医療でさえ、日常的な血小板輸血の実施は困難な状況にある。しかしながら、例えば血小板機能不全の動物に外科手術を実施する場合など、短期的な血小板輸血適用が有効な例も想定され、獣医療における血小板輸血技術の進歩と普及が望まれる。
 そこで、本研究では、獣医療、特にイヌにおける血小板輸血の臨床応用に向けて、血小板製剤作製技術の改良や保存方法の基礎的検討を行った。

第1章 輸血用血小板濃厚液作製技術の改良
【緒論】
 血小板輸血をもっとも効率的に行える血液製剤は、血小板濃厚液(Platelet concentrates; PC)である。イヌのPC作製法については、Abrams-Ogg ら(Am J Vet Res. 1993)が報告している。その方法は、先ず全血を20-24 °C・1,000 G・4分間遠心(弱遠心)して多血小板血漿(Platelet rich plasma; PRP)を分離し、次にPRPを20-24 °C・2,000 G・10分間遠心(強遠心)してPCを得るものである。しかしこの方法では、強遠心によりパックされた血小板は強く活性化して互いに絡み合うために容易に再浮遊せず、そのことが、PC作製における大きな障害要因となる。
 そこで、PRPの強遠心前に血小板の活性化を可逆的に抑制するProstaglandin E1(PGE1)を添加することで問題の解決を試みた。同時に、こうして作製したPC中の血小板が輸血の効力を保っているか否か確認した。
【方法】
 PGE1添加PCの有用性を評価するため、血小板輸血前のPC中の血小板凝集能、そして輸血された血小板の体内寿命及び機能を測定した。まず、血小板凝集能の評価では、PGE1添加前後の血小板を用いて、PGE1の血小板機能抑制効果の可逆性を確認した。続いて、血小板輸血後の体内寿命測定では、事前に体外でビオチン標識したイヌ血小板を同一個体に輸血(返血)し、その後経時的に採血して、末梢血中ビオチン標識陽性血小板の消退をフローサイトメトリーにより評価した。その際、輸血1時間後を第0日目とし、その後、第7日目まで毎日同様の時刻に採血した。最後に、輸血後の血小板機能の評価では、同様にビオチン標識した血小板を輸血し、輸血1、24時間後に採血した。そして、採材した血小板をトロンビンで刺激し、それに対するビオチン標識陽性血小板のP-selectin発現量をフローサイトメトリーにて評価した。
【結果】
 PC作製時の血小板の再浮遊に要する時間は、PGE1添加により劇的に短縮された。また、PGE1添加により血小板機能が抑制され、凝集能は著しい低値を示したが、PGE1を含まない血漿と入れ替えることで凝集能が回復した。
 一方、PGE1添加PCとして輸血された血小板の体内寿命は、PGE1を添加せず、また強遠心も加えないPRPとして輸血された血小板のそれとほぼ同等であった。しかもその血小板は、輸血された後も活性化能を維持していることが、トロンビン刺激後のP-selectin発現量増加により確認された。
【考察】
 PC作製時のPGE1添加は、治療効果を維持したうえで作製効率を向上させる有用な改良と思われた(研究成果:Segawa et al. Effects of prostaglandin E1 on the preparation of platelet concentrates in dogs. J Vet Intern Med. 2012)。
 PGE1は容易に入手可能であり、静脈内投与が可能な製剤も販売されているため、PC作製過程におけるPGE1添加法は実現可能性が高い。
 本研究では、PGE1が輸血後体内寿命を短縮させなかったが、作製直後のPCを輸血したため、保存による影響は不明である。したがって、当面はイヌのPGE1添加PCは新鮮な状態での使用に限定されるべきであり、今後の課題として保存による影響についての検討が必要と思われた。

第2章 輸血用血小板製剤冷蔵保存の検討
【緒論】
 イヌの血小板製剤を臨床で広く利用するためには、製剤の作製方法に続き、その保存条件について検討する必要がある。現在、ヒトの血小板製剤は、冷蔵保存により輸血後体内寿命の短縮を認めることから、室温での保存が推奨されている。しかしながら、室温での保存は血小板の嫌気的代謝による保存障害及び細菌増殖リスクの高さが懸念されている。
 ヒトでは2-3日間隔の頻回な血小板輸血により患者の血小板数を一定以上に保つため、冷蔵保存による輸血後体内寿命の短縮は、上述した室温保存のデメリットより問題視されている。しかしながら、豊富な輸血用血液の供給体制を持たず、また経済的な制約も大きいイヌにおいては、そのような頻回輸血は困難であり、手術中の出血予防や緊急時の止血効果を目的とする単回ないしは短期間の投与が現実的である。
 したがって、ヒトと比べて体表汚染が激しいイヌにおいては、輸血後体内寿命の短縮より、むしろ採血時の細菌汚染による輸血関連敗血症リスクの方が懸念されるべきかもしれない。そこで、室温保存したイヌの血小板製剤を対照とし、冷蔵保存したイヌの血小板製剤が、その保存条件から受ける影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 室温、冷蔵保存の影響を比較検討するため、イヌのPRPを22 °C及び4 °Cで7日間保存した。保存1、7日目に無菌的に採材し、血小板数、平均血小板容積(Mean platelet volume; MPV)、円盤状血小板が全体に占める割合(% discs)、また、代謝指標として遠心上清のグルコース濃度、乳酸濃度、重炭酸イオン濃度、pH、酸素分圧(Partial pressure of oxygen; pO2)、二酸化炭素分圧(Partial pressure of carbon dioxide; pCO2)、乳酸脱水素酵素(Lactate dehydrogenase; LDH)活性、電解質濃度(ナトリウムイオン濃度、カリウムイオン濃度)、さらに、血小板機能試験として血小板凝集能、血小板の形態反応(低張ショック反応; Hypotonic shock response; HSR及び球状化反応強度; Extent of shape change; ESC)を評価した。
 以上のin vitroでの検討とともに、in vivoでは1日間冷蔵、7日間室温あるいは冷蔵保存したPRP中血小板の輸血後回収率及び体内寿命を測定し、両保存温度条件の影響を比較評価した。
【結果】
 7日間の冷蔵保存により一部の血小板が付着し合い血小板数は見かけ上減少し、MPVは増加した。顕微鏡下では血小板形態が冷蔵保存1日目から小型円盤状から大型球状に変化しており、% discsは低値を示した。また、代謝指標や凝集能は室温保存の場合より冷蔵保存の方で良好に維持されていた。血小板の形態反応は冷蔵保存の影響が大きく、HSR及びESCは低値を示した。
 一方、in vivoでは、輸血後回収率は保存温度による影響がみられなかったが、輸血後体内寿命の短縮は冷蔵保存でより明らかであった。
【考察】
 イヌの血小板製剤を室温保存した結果、経時的な保存障害の進行により、代謝指標や凝集能などのin vitroにおける品質及び輸血後体内寿命などのin vivoにおける品質が新鮮血小板製剤と比較して低下していた。しかしながら、pH6.4以上かつ輸血後体内寿命が新鮮血小板製剤を輸血した場合の50%以上など、ヒトの血小板製剤で要求される条件の一部は満たしていた。さらに、凝集能の不可逆的な障害など、血小板製剤として使用不可と思われるような結果はみられなかった。
 一方、冷蔵保存では、血小板の代謝指標の変化は軽度であり、凝集能は室温保存と比較して良好に維持されていた。しかしながら、輸血効果持続性の点では、冷蔵保存により輸血後体内寿命が著しく短縮していた。
 すなわち、室温保存と冷蔵保存を比較するとそれぞれ長所短所があり、ヒトのように長期的な輸血効果を図る場合は、輸血効果持続性に優れる室温保存の方が適している。しかしながら、イヌの血小板輸血では短期間の輸血効果を図ることが現実的である。したがって、保存中の細菌増殖リスク軽減効果も考慮すれば、イヌにおいては凝集能をより良好に維持している冷蔵保存の方が優れている場面もあると思われた。
 今後は、第1章で確立した血小板製剤作製技術及び第2章で検討した保存技術を改良し、輸血効果の持続性を高めれば、イヌの血小板輸血がより実践的になると思われた。
 さらに、そのような基礎的検討に加え、血小板異常症例への血小板輸血の適応を積極的に行い、その有効性を止血不良の改善や症例の転帰などから十分に検討していくことが必要である。
学位名
学位名 博士(獣医学)
学位授与機関
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32701
学位授与機関名 麻布大学
学位授与年月日
学位授与年月日 2014-03-15
学位授与番号
学位授与番号 甲第137号
著者版フラグ
出版タイプ VoR
出版タイプResource http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85
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Ver.1 2023-06-19 08:10:20.270914
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