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抗鶏免疫グロブリン血清が Mycoplasma gallisepticum の赤血球擬集抑制反応におよぼす影響について
https://az.repo.nii.ac.jp/records/3810
https://az.repo.nii.ac.jp/records/3810dda0d5c5-1a52-43cd-a6a2-2dc07a59bba7
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2013-10-08 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 抗鶏免疫グロブリン血清が Mycoplasma gallisepticum の赤血球擬集抑制反応におよぼす影響について | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者 |
山本, 静雄
× 山本, 静雄 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 鶏の血清を用いて、Mycoplasma gallisepticum(以下M. gallisepticumと略記)の赤血球凝集抑制反応の系に抗鶏免疫グロブリン血清を加えた抗免疫グロブリン血清添加赤血球凝集抑制反応(以下抗IgHI反応と略記)について検討した。 血清反応の系に抗グロブリン血清を添加することによって反応が増強される現象は、1908年Moreschiによって初めて報告されているが、あまり知られていない。その後、1945年Coombsらが赤血球と凝集素の反応系に抗グロブリン血清を加えること(抗グロブリン試験)により、抗Rh抗体を検出できるという画期的な報告をして以来本法は同種免疫抗体の検出、自己免疫疾患などの診断や研究に広く応用されるに至り、数々の偉大な業績を残した。 赤血球凝集抑制反応(以下HI反応と略記)への本法の応用は、1971年にHahonらが初めてインフルエンザウイルスにおいて、抗ヒト Ig G血清添加赤血球凝集抑制反応(以下抗Ig G HI反応と略記)を実施し、その有用性を報告したのに始まる。 鶏においては、1975年、BaumerがNewcastle disease virusについて、単に抗鶏Ig G血清を添加した成績を報告しているに過ぎず、どのような抗鶏免疫グロブリンが本反応に関与しているのかは不明であり、これまでのところ抗Ig HI反応については、今だ基礎的研究の域を脱していないのが現状である。 本法の基礎的研究を行なって、その実態を明らかにすることは、免疫グロブリンの抗体活性の研究ならびに伝染病の診断などにおける本法の応用性を明らかにできるものと考えられる。 著者は、抗Ig HI反応の基礎的条件を検討した上で、抗Ig HI反応に関与する免疫グロブリンクラスについて検索するとともに、本法の応用を試みた。その研究成績の概要について述べるとおおよそ次のようである。 I. 供試特異抗鶏免疫グロブリン血清ならびに抗Ig HI反応 DEAE-セルロースおよぴSephadex G-200 カラムクロマトグラフイーを組合せて、鶏免疫グロブリンクラスの単離精製を行ない、これらをウサギに免疫して得た抗血清をGlutaraldehyde処理した不溶性L鎖抗原で吸収し、特異性の高い抗Ig G(抗γ鎖)、抗Ig M(抗μ鎖)ならびに抗Ig A(抗α鎖)血清とした。 M. gallisepticum感染鶏血清中には、寒冷凝集素が存在することが知られているので、血清反応実施前に可検血清1容に対して5%血球液4容を加えて寒冷凝集素の吸収を行ない、5倍希釈血清を供試した。 HI反応および抗Ig HI反応は、マイクロタイター法による抗体減量法(β法)で実.施した。希釈液には燐酸食塩緩衝液(以下PBSと略記)を用い、M. gallisepticum S_6株を用いて調製した抗原は4 HA単位/0.025mlの力価に調整して用いた。 II. 抗Ig HI反応の条件の検討 抗Ig HI反応に関与する因子として考えられる特異抗血清濃度、感作時間ならびに感作温度等について検討を加えた結果、次の所見を得た。 1. 至適特異抗血清濃度 各種濃度に調整した特異抗Ig G、抗Ig Mならびに抗 Ig A血清を用いて、それらが反応におよぼす影響を調べたところ、いずれの抗血清でも20倍希釈したものを用いたときに、前地帯ならびに非特異反応が認められず、しかも明瞭な高い抗体価が得られた。 2. 感作時間 M. gallisepticum抗原と可検鶏血清ならびにM. gallisepticum抗原-抗体複合体と抗Ig血清との反応時間が反応におよぼす影響について検討した。HI反応で、M. gallisepticum抗原と抗体の感作時間が、30分以下よりも30分以上の時により高い抗体価が得られたので、これをもとにこの系に抗Ig血清を添加し、その感作時間について検討したところ、10分よりも15分感作の場合の方が抗体価が高く、それ以上の感作では抗体価に差は認められなかった。 3. 感作温度 抗原、抗体、抗Ig血清および赤血球を混和するまでの感作温度を検討したところ、すべての操作を22~25℃で行ない、判定を4℃1時間後にしたときに、最も鮮明な反応が得られた。 III. 抗Ig HI反応に関与する抗血清の特異性 HI反応の系に添加して反応を増強させることのできる抗血清の種類について検討したところ、抗鶏Ig G、抗鶏Ig Mおよび抗鶏Ig A血清のいずれによっても反応が増強される事実が明らかとなった。一方、正常ウサギ血清あるいは各種哺乳動物の免疫グロブリンに対する特異抗血清などを用いた抗Ig HI反応では、全く反応の増強が認められなかったことから抗鶏免疫グロブリン血清によって特異的に反応が増強されるとの確信を得た。 IV. 抗Ig HI反応の再現性 56℃、30分で非働化したのち、20倍に希釈調整した特異抗血清を用い、上述した至適条件下でM. gallisepticum感染鶏血清について再現性を確認するための試験を繰り返したところ、極めて再現性の高い成績が得られた。 V. 抗Ig HI抗体の出現時間と反応増強の持続期間 M. gallisepticumを鼻腔内ならびに静脈内接種した実験鶏の経過血清を用いて、HIおよび抗Ig HI抗体の消長ならびに反応増強に関する検討をした。 鼻腔内接種群のうち1群は、M. gallisepticumの感染が成立していることを確認する目的で、接種後1週間隔で9週まで5羽ずつを放血致死させ、血中抗体価の測定と併わせて菌分離を行ない40/45例(88.8%)から菌を分離しえた。この実験群においては、M. gallisepticum接種後14日目にHI反応陽性であることが確認された。一方、抗Ig M HI反応ではすでに接種後7日目に抗体価の上昇を示し、明らかに陽性であることが認められた。他方、抗Ig G HI価は14日目頃から他の反応よりも高い値を示し、21日目にはHI価の15.8倍も高い抗体価を示した。その後も抗 Ig G HI反応によって最も強い反応増強が観察され、最高ではHI価の22倍も高い抗体価を示した。また、抗Ig A HI反応では抗Ig M HI反応につづき、抗 Ig G HI反応で検出される前に抗体価陽性を示した。 鼻腔内接種群の他の1群では、M. gallisepticum接種後10日目にHI反応では22倍の抗体価を認めたが、抗Ig A HI反応では接種後4日目にすでに22倍の抗体価が認められた。しかしながら、この実験群では接種後14日目以降では、反応の増強が極めて弱くなった。 静脈内接種群においても、M. gallisepticum接種後4日目には抗Ig M HI価が最も高い値を示し、7日目あるいは10日目に至ると抗Ig G HI価がそれに代わって高い値を示すことが確認された。また、HI価が上昇の徴しをみせるとそれに先行して抗Ig HI価、ことに抗Ig G HI価が上昇することが認められた。 これらの成績から、M. gallisepticum抗体クラスと抗Ig血清との間には反応を増強させる上に特異的な関係があることが示唆された。 VI. Sephadex G-200を用いたゲル沪過分画における抗Ig HI抗体の分布 実験感染鶏のM. gallisepticum抗体の免疫グロブリンクラスと添加する抗血清との関係を知る目的で、先きにM. gallisepticumを鼻腔内接種したのち、経日的に放血致死させた実験鶏のプール血清を用いて、Sephadex G-200のゲル沪過分画における抗Ig HI抗体の分布を検索した。 1. 感染初期血清のゲル沪過分画における抗Ig HI抗体の分布と消長 抗Ig M HI価が高く、抗Ig G HI価の上昇が認められなかった感染初期の血清では、HI反応によってIg M分画が最も高い8倍、Ig G分画はわずかに2倍の抗体価を示した。ところが、抗Ig M HI反応では、Ig M分画が64倍と著しく高い抗体価を示し、Ig G分画は8倍を示した。抗Ig A HI反応では、いずれの分画も16倍であった。 2. 感染後期血清のゲル沪過分画における抗 Ig HI抗体の分布と消長 抗Ig G HI価が最も高く認められた感染7週目の血清では、HI反応でIg M分画が16倍、Ig G分画が32倍を示したが、抗Ig G HI反応ではIg G分画が256倍を示し、Ig M分画は増強されなかった。また、抗Ig A HI反応によってはHI価に比較していずれの分画も2~3管の増強が認められた。 他の経過血清についても検索を行なったところ、前述同様に血清での抗Ig HI反応の増強とゲル沪過分画における抗Ig HI反応の増強とは極めてよく一致した成績が得られた。なお、ゲル沪過分画の第3峰(Alb分画)は、すべて抗体価陰性であった。 ゲル沪過分画と抗Ig HI反応による反応増強の関係が、抗原刺激後の鶏免疫グロブリンの産生順序と極めてよく一致した。この事実から、M. gallisepticum抗体の免疫グロブリンクラスと添加する抗 Ig血清との間には、反応を増強させる特異的な関係があるものと考えられる。 VII. 抗Ig HI反応の機序に関する考察 抗Ig HI反応による反応増強の機序に関しては、M. gallisepticum抗原-抗体複合体の免疫グロブリンクラスと添加した抗鶏免疫グロブリン抗体が特異的に結合する結果、M. gallisepticum抗原と鶏赤血球との吸着がより強く立体的に障害されるためであろうと推察される。この解明は、M. gallisepticumの抗原決定基の解明ならびに鶏免疫グロブリンの生物学的活性のより詳細な解明と同様に今後の課題であろう。 VIII. 抗Ig HI反応の応用 1. 抗Ig HI反応による初生ヒナ血清中の移行抗体の検出 孵化後11~25日齢までの初生ヒナ血清がHI反応でわずかにM. gallisepticum抗体陽性の成績を示したために、抗Ig HI反応を実施した結果、明らかに反応陽性と認められる成績が得られたが、46日齢以降では全例陰性であった。これらの初生ヒナからM. gallisepticumの分離を試みたが、全く菌分離はできなかった。 このことから、本法はM. gallisepticumの移行抗体を鋭敏に検出することができ、母鶏群(種鶏)のM. gallisepticumによる汚染状況を知る上に有効であり,家畜衛生学上有用な手段となり得ると考えられる。 2. 野外感染鶏の診断 野外でのM. gallisepticum自然感染鶏41例についてHI反応および抗Ig HI反応を実施したところ、抗Ig G HI反応で65.9%、抗Ig M HI反応で75.8%、抗Ig A HI反応で68.3%に反応の増強が認められた。ことにHI価が20倍以下と低い例で、反応の増強が著しく、HI価が20倍以下を示した28例では、抗Ig G HI反応で、75.0%、抗Ig M HI反応で85.8%、抗Ig A HI反応で78.6%に反応増強が認められた。 IX. 結論 マイクロタイター法によるM. gallisepticumの赤血球凝集抑制反応の系に抗鶏免疫グロブリン血清を添加する抗免疫グロブリン血清添加赤血球凝集抑制反応について検討を行ない、次の結論を得た。 1. 抗鶏免疫グロブリン血清添加赤血球凝集抑制反応において、最も高い抗体価を得るには、添加する抗血清の至適量をあらかじめ決定しておくことが必要である。今回の実験に使用した3種の特異抗血清は、いずれも20倍希釈のものを使用するのが最適であった。 2. 可検鶏血清とM. gallisepticum抗原との感作時間は室温(22~25℃)で30分間、M. gallisepticum抗原-抗体複合体と抗鶏免疫グロブリン血清との感作時間は、室温で15分間が至適であると考えられた。 3. 抗免疫グロブリン血清添加赤血球凝集抑制反応は再現性の高い反応であることが確認された。 4. 反応を増強させることのできる抗血清は、抗鶏全血清、抗鶏Ig G、Ig M およびIg A血清であり、鶏以外の動物の免疫グロブリンに対する抗血清では反応が増強されなかった。 5. 抗免疫グロブリン血清添加赤血球凝集抑制反応では、M. gallisepticumの鼻腔内接種4日目に、すでに血液中の抗体価の確認ができた。 6. 抗免疫グロブリン血清添加赤血球凝集抑制反応では、鼻腔内および静脈内接種例のいずれにおいても、感染(あるいは免疫)初期の血清で、従来の赤血球凝集抑制反応の8~16倍と著しく反応が増強された。しかし、感染経過の進行に伴なって増強が漸次弱くなる事実も認められた。 7. Sephadex G-200を用いた可検鶏血清のゲル沪過分画においては、感染初期血清のIg分画が抗Ig M赤血球凝集抑制反応によって増強された。ところが、感染経過の進行に伴ない、Ig G分画が抗Ig G血清添加赤血球凝集抑制反応によって増強される事実が認められた。しかし、Ig A分画との関係は明らかにできなかった。 8. 抗免疫グロブリン血清添加赤血球凝集抑制反応によって、初生ヒナにおける移行抗体の検出が可能であった。本法は、母鶏群(種鶏)のM. gallisepticumによる汚染状況を知る上に有効であると考えられる。 9. 抗免疫グロブリン血清添加赤血球凝集抑制反応は、野外におけるM. gallisepticumの診断に応用できるものと考えられる。 |
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学位名 | ||||||
学位名 | 獣医学博士 | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 麻布大学 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1978-03-13 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 甲第20号 | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | AM | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa |