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アイテム
幼齢犬および成犬における急性炎症の指標としてのC-反応性蛋白(CRP)ならびにα_1-酸性糖蛋白(α_1-AG)の産生能
https://az.repo.nii.ac.jp/records/3807
https://az.repo.nii.ac.jp/records/38070fd8aa43-e53e-46ca-8667-98e152eccf3f
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2013-10-01 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 幼齢犬および成犬における急性炎症の指標としてのC-反応性蛋白(CRP)ならびにα_1-酸性糖蛋白(α_1-AG)の産生能 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Synthesis of C-reactive protein (CRP) and α_1-acid glycoprotein (α_1-AG) as indicators of acute inflammation in young and adult dogs | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者 |
林, 繁利
× 林, 繁利 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | はじめに イヌにおいてもC-反応性蛋白(CRP)およびα_1-酸性糖蛋白(α_1-AG)が急性期蛋白としての性状を有していることが知られてきた。しかし、炎症の種類・程度あるいはイヌの成長過程と急性期蛋白の産生能とについては、不明な点が多い。イヌは医薬品の安全性試験に用いられる重要な実験動物であり、それらの知見を得ることは、医薬品の安全性試験の精度向上に貢献できるものと考えられる。 著者は、実験用ビーグル犬にBordetella bronchiseptica接種によって惹起させた肺炎の過程におけるCRP濃度の変動およびB. bronchisepticaに対する抗体の炎症刺激に対する作用を調べた。さらに、幼齢犬および成犬における炎症刺激に対するCRPとα_1-AG産生能についても検討した。その実験成績の概要について述べるとおおよそ次のとおりである。 I. B. bronchiseptica接種犬の血清CRP濃度および免疫応答 1. 材料および方法 B. bronchiseptica L-414株 (I相菌)は5%牛血清を含むトリプチケースソイ寒天を用いて37℃下で20時間培養後、10%トリプチケースソイブロスを含有する滅菌生理食塩液に10^9個/mlに浮遊した。このB. bronchisepticaは実験犬への接種および間接蛍光抗体法(IFA)用スライド抗原の調製に用いた。 実験には10頭(雌雄各5頭)の体重9~10kgの健康なビーグル犬を用いた。実験犬は24±2℃、湿度60±10%に制御されたアイソレーターで飼育した。これらの実験犬は、対照犬2頭、B. bronchiseptica接種犬4頭およびB. bronchiseptica接種後1日当り2mg/kgのプレドニゾロンを5日間皮下投与した実験犬4頭の3グループに分けた。X線観察下で全身麻酔を施した実験犬に気管支末端までカテーテルを押入し、それを介して、対照犬には5mlの滅菌生理食塩液を、他の2グループの実験犬には1×10^9個のB. bronchisepticaの生菌5mlをそれぞれ接種した。グループ1にはB. bronchisepticaの初回接種42日後に、グループ2には35日後に同様の術式でB. bronchisepticaを再接種した。血液はB. bronchiseptica接種後2週間はほぼ毎日およびB. bronchiseptica再接種の翌日に、血液、CRP濃度およびIFA価をモニターするために採取した。加えて、再接種の翌日に分泌液中のIFA価をモニターするために、気管分泌液を採取し、食塩加リン酸緩衝液中に気管分泌液を抽出した。 白血球数は自動分析機で、CRP濃度はサンドイッチELISAによってそれぞれ測定した。成績の統計処理にはt検定を用い、有意差(p<0.05)を求めた。 2. 結果および考察 B. bronchiseptica接種前の実験犬のCRP濃度は、6.8~21.9μg/mlと低値であった。初回接種1日後のCRP濃度は、グループ1では385.0~720.0μg/ml(平均478μg/ml)に、グループ2では372.0~649.0μg/ml(平均551μg/ml)に著しく増加した。滅菌生理食塩液で処理した対照犬ではCRPが全く増加しなかった。CRPは8頭中7頭の実験犬が、B. bronchiseptica接種1日後に、他の1頭は2日後に最高値を示し、その後いずれも速やかに減少した。B. bronchiseptica再接種の1日後にCRP濃度は増加したが、このときのCRP濃度の増加は全ての実験犬において初回接種後よりも低値であった(p<0.05)。 2頭の対照犬では白血球数は変化を示さなかったが、グループ1および2ではB. bronchiseptica接種1~3日後にゆるやかに増加を示した。 2頭の対照犬では全くX線所見に異常が認められなかった。肺のX線検査で、B. bronchiseptica接種1~2日後に、すべての実験犬の左側中葉と左側前肺葉に肺胞浸潤の証拠が認められた。B. bronchiseptica接種3日後にすべての実験犬で肺炎の障害像が著しく減少し、10日後までに肺はX線検査上ほとんど正常となった。 B. bronchisepticaに対する血清および気管分泌液のIFA価は、接種前には、すべての実験犬が陰性であった。しかし、B. bronchisepticaに対する血清IgMおよびIgG抗体は、すべての実験犬でB. bronchiseptica接種5日後から検出されたが、血清IgA抗体は検出されなかった。このIFA価にはグループ1と2の実験犬の間に有意差は認められなかった。分泌液中のS-IgAおよびIgGのIFA価は、B. bronchisepticaの再接種に続いて増加した。 人為的に惹起させた気管支肺炎によってすべての実験犬の血清CRP濃度が23~95倍に著しく増加したことは、気管支肺炎の病態を評価する指標としてCRPが有用であることを示唆している。B. bronchiseptica再接種後のCRP濃度の増加が初回接種後のそれに比べて有意に低値を示した理由は、気管および気管支分泌液中のB. bronchisepticaに対するS-IgAおよびIgG抗体が防御作用を示した結果、炎症刺激が減弱したためと考えられた。 抗炎症剤であるプレドニゾロンは、本実験で白血球数を増加させたが、CRP濃度には影響を及ぼさず、血清中のIgGとIgM、気管分泌液中のIgGとS-IgAのいずれの応答をも抑制しなかった。 本実験で、CRPは白血球数よりもより的確に炎症の過程を反映することが確認された。 II. 幼齢犬および成犬におけるCRPとα_1-AG産生能 1. 材料および方法 本実験には17頭の健康な実験用ビーグル犬および臨床例として10頭の家庭での飼育犬を用い、CRPおよびα_1-AGの産生能を検討した。12頭の1、3および18ヵ月齢の実験犬(雌雄各6頭)には体重10kg当たり1mlのテレピン油を筋肉内へ、4頭の1ヵ月齢の実験犬(雌雄各2頭)には5×10^8個のStaphylococcus aureusを皮下へそれぞれ注射した。残り1頭の実験犬では実験的に経皮的胃ろう造設術を実施した。臨床例では、2頭の1ヵ月齢および3頭の3ヵ月齢の雑種犬に卵巣・子宮摘出術を施し、4頭の1ヵ月齢のビーグル犬に生ウイルスワクチンを接種した。骨折した1頭の3ヵ月齢の雑種犬は、手術前よりCRPおよびα_1-AGの変動の検討に用いた。 CRP濃度はサンドイッチELISAを、α_1-AGは濃度はSRIDキットを用いてそれぞれ定量した。成績の統計処理にはt検定を用い、有意差(p<0.05)を求めた。 2. 結果および考察 テレピン油を注射したすべての実験犬で、CRP濃度が2日後に最大値を示した。それらの濃度は1ヵ月齢の幼犬では146.6~201.2μg/mlで接種前値の12~15倍の増加を示したが、3ヵ月齢と18ヵ月齢の実験犬では、それぞれ322.5~341.8μg/ml(接種前値の16~26倍)、297.6~371.9μg/ml(接種前値の14~26倍)であった。1ヵ月齢犬と3ヵ月齢以上の実験犬との間のCRP産生能には有意差(p<0.05)が認められた。 α_1-AGはテレピン油注射の4日後にすべての実験犬が最大値を示した。それらの濃度は、1ヵ月齢犬では2,120~2,700μg/ml(接種前値の4~5倍)、3ヵ月齢犬では2,170~2,680μg/ml(接種前値の5~8倍)、18ヵ月齢では、2,240~2,910μg/ml(接種前値の2~10倍)であった。これらの実験犬においては、α_1-AG濃度に有意差(p<0.05)が認められなかった。 S. aureusを接種した1ヵ月齢犬では、CRPおよびα_1-AGともに接種1日後に最大値を示した。しかし、それらの濃度は、CRPが61.8~98.1μg/ml、α_1-AGが318~760μg/mlと低値であった。これは、S. aureusの炎症刺激が弱かったことに起因すると推察された。 生ウイルスワクチン接種犬では、CRPもα_1-AGも増加を示さなかったが、イヌにおけるウイルス感染と急性期蛋白増加の関係についてはさらに検討が必要である。 卵巣・子宮摘出術例においては、CRP濃度は1ヵ月齢犬では90μg/ml、3ヵ月齢犬では105.8~199.0μg/mlと手術の1日後に最大値を示し、その濃度は月齢を経るに従って高くなった。α_1-AG濃度にはほとんど増加が認められなかった。経皮的胃ろう造設術を施した成犬では、1日後にCRP濃度が343.4μg/ml(術前値の54倍)、α_1-AG濃度が1,600μg/ml(術前値の8倍)の最大値を示した。3ヵ月齢の骨折の症例では、骨折の翌日にCRP濃度が131.3μg/ml、α_1-AG濃度が219μg/mlで、骨折によってCRPが増加することが確認された。本症例では、手術の1日後にCRPが262.6μg/ml、α_1-AGが922μg/mlに増加したのちに、漸次減少した。ピンを除去した翌日に、CRPとα_1-AGの濃度はそれぞれ4.4倍、1.2倍程度に増加した。 本実験の成績から、CRP産生能は1ヵ月齢の幼齢犬では著しく弱く、成長に伴って産生能が高まり、ほぼ3ヵ月齢では成犬と同程度の産生能を有することが確認された。α_1-AG産生能は、幼齢犬と成犬にほとんど差が認められなかったことから、CRPとα_1-AG産生に関わるサイトカインの種類が異なるものと考えられた。 |
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学位名 | ||||||
学位名 | 博士(学術) | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 麻布大学 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2000-10-11 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 乙第3号 | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | AM | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa |