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アイテム
Helicobacter pylori感染症の分子生物学的解析に関する研究
https://az.repo.nii.ac.jp/records/3292
https://az.repo.nii.ac.jp/records/329208e04b0b-4269-4dad-bdd4-8e4cf1e00ae9
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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diss_de_kou0003 (11.6 MB)
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diss_de_kou0003_jab&rev (337.1 kB)
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diss_de_kou0003_jab.pdf (158.2 kB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2013-02-21 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Helicobacter pylori感染症の分子生物学的解析に関する研究 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Molecular biological analysis of Helicobacter pylori infection | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者 |
和田, 真太郎
× 和田, 真太郎× Wada, Shintaro |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | Helicobacter pyloriは、胃炎や胃潰瘍などの各種疾患の原因菌であり、胃ガンとの関係も示唆され、注目されている新興感染症の病原体である。 しかし、感染経路、病気を惹起する機序、および菌の生態や感染実態など不明な点が多く残されている。そこで各種胃疾患の患者を対象にH. pyloriの検出を行い、本菌の検出状況、本感染症の検査室診断法の検討、薬剤感受性試験法の検討、そして分離菌株の薬剤感受性試験を行った。また、分子疫学を目的とした遺伝子解析を行い、H. pylori感染症の感染実態について検討した。 各種胃疾患の患者について、胃の生検材料からH. pyloriの検出を試みた結果、1993年から1998年の6年間に患者556人中427人(76.8%)からH. pyloriが検出された。次に、H. pylori感染症の簡易、迅速診断法であるウレア呼気試験および迅速ウレアーゼ試験を行い、培養によるH. pylori検出法と比較検討した。その結果、ウレア呼気試験と培養法では93.4%、迅速ウレアーゼ試験と培養法では86.2%の相関が得られ、これら簡易、迅速診断法が有効であることが明らかとなった。しかし、これら簡易、迅速診断方法にはそれぞれ長所・短所が存在し、あらゆる面で優れた方法は現在のところ未だ存在しない。そのため可能な限り複数の方法を併用することが適切かつ迅速な診断および治療に必要であると結論された。 各種胃疾患の治療法の一つとして、H. pyloriに感染している事が確認された場合には、本菌の除菌が試みられている。その場合プロトンポンプ阻害剤と2種類の抗生物質、主にアモキシシリンおよびクラリスロマイシンを用いる三剤併用療法が最も多く使われている。しかし、最近クラリスロマイシン耐性株の出現が多く報告されてきており、この耐性株の出現が除菌の不成功の原因の一つと推定される。そこで各種胃疾患の患者より分離されたH. pyloriを対象に各常用抗生物質に対する耐性株の出現状況について検討した。 最初に、薬剤感受性試験法について寒天平板希釈法、E-test、および微量液体希釈法の比較を行った結果、微量液体希釈法であるドライプレートが最も適した方法であることが明らかとなった。また、分離株393株を対象に耐性株の出現状況について検討した結果、クラリスロマイシン耐性株が22.0%およびメトロニダゾール耐性株が21.7%認められた。また、耐性株が増加傾向にある事が示唆された。 ヒト胃内に感染・定着後のH. pyloriの感染実態を解明するためにAP-PCR法により分離株をDNAレベルで検討した。同一患者由来株、長期感染者由来株、および再発患者由来株について検討した結果、同一患者由来株、および長期感染者由来株では大部分の事例において、薬剤に対する感受性に関わらず、同一患者では同一のAP-PCRパターンを示したことから、これら患者は単一クローン由来のH. pyloriに感染していることが示唆された。しかし、再発患者由来株の検討では、初発と再発からのH. pylori分離株が異なるAP-PCRパターンを示したことから、新たにH. pyloriに感染したと考えられる事例、あるいは初発時に複数のH. pylori菌株に感染しており、そのうちのクラリスロマインシン耐性株のみが再発時に検出された事例が認められた。すなわち、H. pyloriは一度胃内に感染・定着すると長期間感染を続け、抗生物質による除菌治療を行っても同一菌株が残存する可能性がある事が明らかとなった。この様にH. pyloriの感染実態は複雑であり、さらに詳細な検討が必要であると示唆された。 各種胃疾患の患者から分離されたH. pyloriの常用抗生物質に対する耐性株の出現、特にクラリスロマイシンに対する耐性株が、本菌感染症の治療法である除菌の不成功に大きく関係していることが明らかとなった。そこで本菌のクラリスロマイシン耐性機構である23S rRNAの点突然変異について、PCR-RFLP法を用いて解析を行った。治療の前後でクラリスロマイシン感受性株と耐性株が検出された患者13名由来の26株(感受性株13株および耐性株13株)について検討した結果、感受性13株では点突然変異は検出されなかったが、耐性13株中12株で異なる2種類の点突然変異が検出され、1株は検出されなかった。さらに、AP-PCR法による解析結果から、除菌治療によって同一クローン由来株が点突然変異を起こすことが確認された。 以上、本研究でH. pyloriの感染状況、耐性株の出現状況、DNAレベルでの感染実態、そして耐性獲得の様式を明らかにした。しかし、H. pyloriの感染経路については未だ不明のままである。また、抗生物質を用いた除菌治療に伴う耐性株の増加、そして除菌不成功の原因の一つである耐性株の問題などが残されている。これら残された問題に対する今後の研究の必要性が強く示唆された。 |
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Abstract | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | Helicobacter pylori is considered to play an important causative agent in peptic disease which is chronic gastritis, gastric ulcer and duodenal ulcer and so on. The organisms are actually frequently isolated from the patients with these diseases and also reported to be involved in the gastric cancer. Between 1993 and 1998, H. pylori isolates were detected from the 427 (76.8%) patients among 556 in the University Hospital of Kyorin, Tokyo, by using the culture method. The comparison was attempted with urea breath test (UBT), rapid urease test (RUT), and culture method for detecting isolates of H. pylori. The results demonstrated that the sensitivity of UBT and RUT was 93.4% and 86.2%, respectively, to the culture method of H. pylori. The antimicrobial susceptibility test was attempted by using agar gradient method, E-test, and broth microdilution method (dry plate) with 4 antimicrobial agents (amoxicillin, clarithromycin, minomycin, and metronidazole). The results strongly suggested that broth microdilution method was the best method in order to test the antimicrobial susceptibility of H. pylori. Moreover, an analysis was done by using arbitrarily primed-polymerase chain reaction (AP-PCR) method in order to clarify whether H. pylori infection could be occurred with a single or multiple strains. AP-PCR fingerprints of 20 isolates of H. pylori obtained from each of 15 patients showed an identical profile, respectively. The isolates from long-term infected cases showed also the identical pattern by AP-PCR analysis in each patient, respectively. On the other hand, different patterns among the first and the second isolate were observed in the two recrudescence cases. The results showed that reinfection were occurred in those cases. The present results suggest that almost all the patients may be exposed and colonized by one unique strain. However, some patients may be infected with multiple strains or reinfected with the other types of organism. Clarithromycin resistant strains of H. pylori were reported to carry the point mutation in 23S rRNA gene. Therefore, a next attempt was performed to detect the point mutation by PCR-restriction fragment length polymorphism (PCR-RELP) by using the two restriction enzymes (Bsa I and Mbo II). The point mutation was studied among the 26 strains (13 sensitive and 13 resistant strains against to the clarithromycin). No mutations were detected from 13 clarithromycin-sensitive strains. The mutation was detected in 10 strains with Bsa I and 2 strains with Mbo II among 13 strains resistant to the clarithromycin. |
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学位名 | ||||||
学位名 | 博士(学術) | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 麻布大学 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2000-03-20 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 甲第3号 | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | AM | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa |