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  1. 学位論文
  2. 獣医学専攻
  3. 博士論文(甲)

イヌ骨髄由来間葉系幹細胞および多能性幹細胞から機能的肝細胞への分化誘導

https://az.repo.nii.ac.jp/records/5493
https://az.repo.nii.ac.jp/records/5493
3c1e5ed7-f0ce-4cc1-a2ff-0e746f76ffba
名前 / ファイル ライセンス アクション
diss_dv_kou171_jab&rev.pdf diss_dv_kou171_jab&rev.pdf (213.1 kB)
Item type 学位論文_JAIRO Cloud(WEKO3)対応_864b39ce(1)
公開日 2022-06-22
タイトル
タイトル イヌ骨髄由来間葉系幹細胞および多能性幹細胞から機能的肝細胞への分化誘導
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec
資源タイプ thesis
著者 新田, 卓

× 新田, 卓

新田, 卓

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抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 研究の背景
 医薬品開発において、薬物誘発性肝障害が市場撤退の主要な原因であり、初代培養肝細胞を用いた毒性評価試験等により安全性の高い医薬品の開発が試みられている。生体から採取した初代培養肝細胞は、①肝機能の維持が困難(1週間程度)、②ロット間の機能的バラツキ、③細胞数の確保が困難等の問題を抱えている。これに対し近年、細胞移植医療や創薬研究における毒性試験の新たなツールとして、分化誘導肝細胞の開発が注目されている。分化誘導肝細胞の開発は、薬物代謝毒性試験の代替法の開発、重度および難治性の肝疾患の病態解明および肝移植の代替治療法の開発に貢献することが期待されている。
麻布大学小動物内科学研究室ではこれまで、イヌ骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)が肝細胞への分化能を有することを報告している。しかしながら、ヒトやマウスと同様にイヌにおいてもサイトカイン等の液性因子による分化誘導では、分化誘導肝細胞の機能的な成熟が不十分であり、分化誘導効率が低いことが問題となっている。
 そこで本研究では、遺伝子導入技術を用いたダイレクトリプログラミング法に着目した。マウスにおいて、皮膚線維芽細胞に対しForkhead box protein A1(Foxa2)およびHepatocyte nuclear factor 4 homeobox A(Hnf4α)遺伝子導入することでアルブミン合成能、薬物代謝能ならびにlow-density lipoprotein(LDL)取り込み能を等有する機能的肝(Induced hepatocyte-like:iHep)細胞を樹立し、分化誘導効率を向上させることが報告されている。また、ヒトおよびマウスにおいて、肝細胞単層培養(二次元;2D)では薬物酵素活性とALB発現は成体肝細胞に比べ不十分であることが確認されている。このことに対し、分化誘導肝細胞を三次元培養(3D)しスフェロイド化することにより、Albumin分泌量およびCYP活性が向上することが報告されている。
 ヒト創薬の分野では、ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)から分化するように誘導された肝細胞が、毒性評価システムの新しい肝細胞源として注目されている。これまでの報告では、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、ニコチンアミド、オンコスタチン-M、肝細胞増殖因子(HGF)、デキサメタゾン等の液性因子を使用して、iPS細胞から肝細胞への分化誘導を行い、生体の肝臓における再生環境を再現する試みがなされてきたが、成長因子などの液性因子のみによる刺激では、iPS細胞から肝細胞への分化誘導には不十分であると考えられている。近年の報告では、 Foxa2とHnf1aの遺伝子導入により、ヒトiPSCが肝細胞に効率的に分化できることを実証し、肝細胞分化の重要な要因であることが示されている。しかしながら、イヌiPS細胞から機能的な肝細胞への分化誘導は未だ報告がない。
本研究では、第1章においてイヌBMSCに着目し、単離培養したイヌBMSCに対しマウスでiHep細胞の樹立の実績のあるFoxa1およびHnf4α遺伝子導入を行い、iHep細胞へリプログラミングを試みた。
第2章では、第1章で得られたイヌiHep細胞を三次元培養に用い、肝細胞集合体とすることで、さらなる肝機能的向上を試みた。第3章では、肝細胞の新たな供給源としてイヌiPS細胞に着目した。BMSCからiHep細胞へのリプログラミングで用いたFoxa1およびHnf4α遺伝子を、イヌiPS細胞に導入することでより効率的に機能的肝細胞へ分化誘導可能か否かを検討した。

第1章 Foxa1およびHnf4α遺伝子導入によるイヌ骨髄由来間葉系幹細胞からiHep細胞への分化誘導
イヌBMSCsの性状解析
 健常イヌの骨髄血から単核細胞を分離し、接着培養した。フローサイトメトリー解析の結果、MSCマーカーであるCD29、CD44およびCD90はそれぞれ98.06±1.14%、99.59±0.27%、そして92.78±4.89%と高い陽性率を示していた。さらに、MSCの性質として報告されている骨芽細胞、軟骨細胞および脂肪細胞への三分化能も確認された。これらのことから、骨髄血由来接着細胞がBMSCであると明らかとなった。
Foxa1 およびHnf4α遺伝子導入による分化誘導
 イヌBMSCへのFoxa1およびHnf4α遺伝子導入後20日目において、円形および不定形の肝細胞様の形態を示す細胞集団が出現した。本研究では、この細胞集団をiHep細胞とした。iHep細胞は、E-カドヘリン(CDH1)、アルブミン(ALB)、アルファフェトプロテイン(AFP)、チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)、およびトランスサイレチン(TTR)およびアルファ1アンチトリプシン(α1-AT)を含む肝関連遺伝子を、遺伝子非導入細胞(mock群)よりも高いレベルで発現していた。さらにiHep細胞において、AlbuminおよびE-cadherinタンパク質が検出されたことから、イヌBMSCsからAlbumin分泌能を有するイヌiHep細胞が誘導されたことが明らかとなった。
イヌiHep細胞の肝機能解析
 分化誘導後においてDil-Ac-LDL添加培地を用いて培養した結果、遺伝子導入群でのみDil-Ac-LDLが代謝され細胞質内に蓄積したDilの赤色蛍光が観察された。また、塩化アンモニウム添加培地で培養した結果、培地中尿素量は72および96時間後においてmock群と比較して遺伝子導入群で有意に増加した。これらの結果から、イヌiHep細胞はLDL取り込み能およびアンモニア代謝能を有することが明らかとなった。

第2章 三次元培養(3D)によるiHep細胞の機能的成熟の試み
 第1章では、Foxa1およびHnf4α遺伝子をBMSCに導入することでAlbumin分泌能、LDL取り込み能および尿素産生能を有するイヌiHep細胞を樹立した。しかしながら、培養期間中CDH、ALB、CYPなどの肝機能関連遺伝子の発現量を維持することは困難で改善が必要となった。ヒトおよびマウスにおいても、分化誘導肝細胞の単層培養法である2D培養では薬物酵素活性とALB発現は成体肝細胞に比べ不十分であり、その向上のために分化誘導肝細胞の3D培養が用いられている。第2章ではスフェロイドを作成する技術に着目し、第1章で樹立したイヌiHep細胞を用いて3D培養を行い機能向上を試みることにした。
イヌiHep細胞では定量的RT-PCRの結果、2D培養群と比較して3D培養群はCDH1は約2倍、ALBは約 75倍、CYP2E1は約166倍、AFPは約 13倍、およびTTRは約 5倍に増加していた。また、免疫染色の結果、Albuminタンパク質は、2D群および3D群のiHep細胞のいずれの群においても検出された。以上の結果から、イヌiHep細胞は3D培養することにより、肝機能の向上に寄与する可能性が示唆された。

第3章 Foxa1およびHnf4α遺伝子導入によるイヌiPSから機能的肝細胞への分化誘導
 第1章において、Foxa1およびHnf4α遺伝子の強制発現により、イヌBMSCから肝機能を有するiHep細胞への分化誘導に成功したことから、イヌの肝細胞分化においては、Foxa1およびHnf4α遺伝子が重要な因子であることが予想された。したがって、本章ではイヌiPS細胞に対しFoxa1およびHnf4α遺伝子導入を行うことで、イヌBMSCと同様に肝機能を有する肝細胞様細胞に分化誘導可能か否かを検討した。
イヌiPS細胞へのFoxa1およびHnf4α遺伝子導入後の形態学的観察の結果、分化誘導群(iPS-DIF群)およびmock群いずれにおいても円形および不定形の肝細胞様の形態を示す細胞集団が出現した。iPS-DIFおよびmock群は、CDH1、ALB、AFP、α1-AT、TAT、TTR、CYP2E1および3A1を発現していた。さらにiPS-DIF群およびmock群において、AlbuminおよびE-cadherinタンパク質が検出された。
また、分化誘導後においてDil-Ac-LDL添加培地を用いて培養した結果、iPS-DIF群でのみDil-Ac-LDLが代謝され細胞内に蓄積した赤色蛍光色素Dilが弱陽性であった。また、塩化アンモニウム添加培地で培養した結果、iPS-DIFおよびmock群の培地中尿素量は24から96時間後において増加し続けた。いずれの時間においても、mock群に比べiPS-DIF群で培地中の尿素量は高い傾向を示していた。これらの結果から、イヌiPS細胞由来iHep細胞はLDL取り込み能およびアンモニア代謝能を有することが示唆された。

本研究の総括
 本研究から、イヌBMSCおよびiPS細胞へのFoxa1およびHnf4α遺伝子導入により Albumin分泌能、LDL取り込み能およびアンモニア代謝能を有する肝細胞様細胞を分化誘導できることが明らかになった。また、iHep細胞の三次元培養により、肝細胞としてより成熟させることに成功した。本研究の結果、1) イヌの肝細胞分化においては、Foxa1およびHnf4α遺伝子が重要な因子である、2) 3D培養がiHep細胞の肝機能向上の手段として有効である、3) イヌiPS細胞から誘導したiHep細胞は肝特異的な遺伝子発現および機能を有している、ことが明らかとなった。イヌiHep細胞は、イヌ肝臓モデル構築に関する新たな知見を提供することが期待でき、薬物代謝毒性評価、イヌの肝臓移植および肝疾患の治療に対する代替療法を確立するための効果的なツールとして今後応用される可能性がある。

本論文の一部は以下に公表した。
1. Suguru Nitta, Yuto Kusakari, Yoko Yamada, Takeaki Kubo, Sakurako Neo, Hirotaka, Igarashi, Masaharu Hisasue : Conversion of mesenchymal stem cells into a canine hepatocyte-like cells by Foxa1 and Hnf4a. Regenerative Therapy, 20(14):165-176, 2020.
2. Suguru Nitta, Masaharu Hisasue, Yu Horiguchi, Kaoruko Kikuchi, Yoko Yamada, Takeaki Kubo, Hirotaka Igarashi, Sakurako Neo : Three-dimensional spheroid cultureof canine hepatocyte-like cells derived from bone marrow mesenchymal stem cells. Regenerative Therapy, 15:210-215, 2020.
学位名
学位名 博士(獣医学)
学位授与機関
学位授与機関名 麻布大学
学位授与年月日
学位授与年月日 2022-03-15
学位授与番号
学位授与番号 32701甲第171号
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Ver.1 2023-06-19 07:37:44.850476
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