{"created":"2023-06-19T07:19:14.611176+00:00","id":5192,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"619549fa-0dd5-4e67-9195-b09b6a54ae4c"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"5192","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"5192"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00005192","sets":["370:15:391"]},"author_link":["22636"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2018-03-15"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"32701","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(獣医学)"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":" [諸言]\n 豚の飼養形態は大規模化しており、特に日齢ごとに大群で飼育する豚舎が増加している。それに伴い農場内に常在化している病原体は、垂直感染から水平感染を繰り返すことで広がり、重篤な経済的被害となっている。\n その中でも、Porcine circovirus 2(以降PCV2)およびLawsonia intracellularis (以降ローソニア)の日本国内の農場での抗体陽性率は100%に近く、発育不良や下痢を起こし、さらには死亡に至ることもあり、養豚経営に大きな影響を与えている。そこで、この2つの病原体について分子生物学的解析を行った。PCV2については第1章に、ローソニアについては第2章に報告する。\n[第1章]PCV2の分子疫学的解析\n PCV2の感染は、離乳後多臓器性発育不良症候群(PMWS)や流死産、豚皮膚炎腎症症候群(PDNS)、肥育豚の呼吸器病など様々な症状を引き起こすことから、豚サーコウイルス関連疾病(PCVAD)と総称され、1990年代後半より世界中の養豚産業に深刻な経済的被害を与えている。\n PCV2は、カプシドタンパク質をコードするORF2遺伝子の塩基配列に基づいた分子系統学的解析により、現在a~eの5つの遺伝子型に分類されている。2005年頃より、流行株がPCV2aからPCV2bに置き換わるのに合わせてPCVADの発生被害が深刻となっていった。2008年頃からは、世界的にPCV2aを抗原としたワクチンが普及したことで、PCVADの症例は減少した。しかし、2012年に北米のワクチン接種農場でPCVADが多発した。発症豚より検出されたPCV2は、それまでアメリカで確認されていなかったmPCV2と呼ばれるPCV2dに属する株であった。この株は実験的感染により増殖能力が高いことがわかっている。\n mPCV2によるPCVADの発生以降、mPCV2と同じクラスターに入る株が流行株となり、アメリカだけでなくブラジルや中国などでもPCVADの被害が報告されている。  \n そこで本研究では、日本国内の養豚農場におけるPCV2感染の遺伝子検査による分子疫学的調査を行った。\n(結果)\n1)2015年の国内の豚のPCV2遺伝子型\n 日本国内でも、2009年にPCV2ワクチン接種が開始されてからは、PCVADの検出は劇的に減少していった。しかし、健康豚の血清および死亡豚の著者らの調査結果から、2014年頃よりPCV2の検出率の増加やPCVADの発生が再び見られるようになっている。そこで2015年における国内の21農場からの豚についてPCV2遺伝子型を調査した。\n 2015年春に国内の健康な豚より採取した血液より、PCR法を用いてORF2全領域を含むPCV2遺伝子部位の確認を行った。PCR陽性となった検体は、ORF2全領域をシークエンス解析により塩基配列を決定し、遺伝子型を決定した。その結果、7種類のPCV2が確認され、そのうち3種類は、mPCV2と同じPCV2d内のクラスターであるPCV2d-1に属する株であることが分かった。世界的に流行しているPCV2d-1が、国内の千葉県および青森県にも存在していることを示した。\n2)2009年~2016年の国内のPCV2の疫学的調査\n 2015年の検体より、国内にPCV2d-1が存在することが確認されたことから、その浸潤状況を調査するため、2009年から2016年に範囲を広げて、国内の各地域の複数の農場における健康豚について、PCV2の遺伝子型の検出とその遺伝子型の経時的変化を調査した。\n 1)と同様の方法で遺伝子解析を行った結果、34種類の異なる配列情報が得られた(AccessionNo.LC278320~LC278353)。\n 本調査により、PCV2d-1に属する株は2012年に千葉県と神奈川県の2農場から検出され、その後には青森県、熊本県でも検出され、国内の広範囲に存在していることがわかった。また、分子系統学的解析により、国内で初めてPCV2eの存在が確認された。\n PCV2d-1およびPCV2eの検出時期は、アメリカでの検出時期とほぼ一致していた。\n(考察)\n 本調査で、増殖能力の高いmPCV2と同じクラスターに属するPCV2d-1が、2012年より検出され始め、その後全国に広く存在していることがわかった。また2016年には、アメリカで報告のあったPCV2eが国内にも存在していることを示した。\n 侵入経路として、輸入生体および精液が推測されたが、PCV2d-1およびPCV2eが検出された9農場では、海外から直接、豚の生体や精液を輸入しておらず、これらが直接の原因とは考えられなかった。\n 豚の血漿蛋白を原料とした飼料からPCV2遺伝子が検出され、その飼料を使った感染実験において、PCV2の感染が成立したとの報告があることから、感染経路として、アメリカから輸入される飼料が疑われた。\n 陽性だった9農場では、血漿蛋白の入った飼料を、ワクチン接種前の仔豚期に給与していたことが確認された。\n アメリカでのPCV2遺伝子型の検出時期および変動と国内での状況がほぼ一致していたことからも、今後、海外での発生状況を監視し、導入豚や精液、豚の移動の他輸入飼料を含めた侵入経路の調査と、PCV2遺伝子型のモニタリングを行っていく必要がある。\n[第2章]ローソニアの分子生物学的解析\n 豚のローソニア感染症は大きく分けて、二つの症状がある。一つはタール状~血様便を呈し、場合により死亡に至る急性タイプと、正常~軟便程度で潜在的に発育の低下に関与している慢性タイプである。特に慢性タイプは、肥育後半での発育に影響を与えることから、ローソニアによる経済的損失が報告されている。\n ローソニアはグラム陰性桿菌で偏性細胞内寄生菌のため、人工培地での培養ができないことから、不明な点が多く、症状の違いが何に起因するものかわかっていない。ローソニア全ゲノムは、約1.7Mbで、そのほかに3つのプラスミド(それぞれ27133bp、39878bp、194613bp)が急性タイプの症例から2株報告されている。病原性遺伝子についてはわかっていないが、いくつかのタンパク質遺伝子の報告がある。そこで野外感染豚での症状の違いとローソニア遺伝子の関連を調査するため、細胞内の侵入に関与すると考えられるいくつかの候補遺伝子に注目して、慢性と急性タイプの症状および無症状の豚から検出されたローソニアの遺伝子学的な違いを探った。\n(結果)\n 採取した豚糞便を不顕性、慢性、急性タイプに分類し、糞便中のローソニアの有無を、PCR法によりaspA遺伝子部位を増幅するプライマーにより確認した。ローソニアのPCRで陽性が確認されたものについて、リケッチア属で細胞内への侵入に関与するとされている、HSP60(groEL)遺伝子、50kDa(OmpA family protein)遺伝子、SodC(Super oxide dismutase)遺伝子部位のシークエンス解析を行った。その結果、同一農場の急性タイプと慢性タイプから確認されたHSP60遺伝子で2塩基の違いが認められたが、推測されるアミノ酸配列では違いはなく、同義置換であった。\n ローソニアの症状が認められた豚と認められなかった豚の血清免疫反応に違いの認められた外膜タンパク質が報告されたことから、この外膜タンパク質の遺伝子部位を含む約80Kbpのシークエンス解析を行った。複数の遺伝子座位で塩基配列の違いが見られたもののいずれも同義置換であった。\n 次に、継代により非病原性となった株と元の病原性株との全塩基配列の比較から、プラスミドの配列に違いがあることが報告されたため、まずは、症状のタイプごとにプラスミドの有無を確認し、細胞の侵入に関与すると考えられる部位を含めた計11カ所、総計約14Kbpの塩基配列を比較した。その結果、調査に用いた急性、慢性、不顕性のそれぞれのサンプルから、報告されている3種類のプラスミドの存在を確認できた。調べた配列内でChromosome-partitioning ATPase(755bp)部位に3塩基の違いがみられたが同義置換であった。\n(考察)\n 急性タイプの豚より検出された株の全塩基配列については、アメリカで検出された2株の報告があるが、野外感染株における慢性タイプ、不顕性タイプの便からのローソニアの配列情報については報告がなかったため、今回国内のローソニア感染豚の便を症状ごとに分けて感染や症状と関連があると推測される遺伝子に注目して配列解析を行った。\n 細胞内への侵入に関与すると考えられるHSP60、50kDa、SodCの遺伝子部位、血清免疫反応に違いが認められ細胞への接着や侵入にかかわることが報告された外膜タンパク質の遺伝子部位、さらにプラスミド内の病原性株と非病原性株とで配列の違いが認められた部位についてシークエンス解析をおこなった。\n 細胞内侵入や接着に関わる多くの遺伝子部位を確認したが、今回検出された急性タイプ、慢性タイプ、不顕性タイプの株と既知の急性タイプのHSP60遺伝子、プラスミドの1遺伝子、外膜タンパク質の遺伝子部位の塩基配列で数塩基の違いはあったもののいずれも同義置換で、症状と塩基配列の違いに関連性は確認されなかった。\n 本調査より、ローソニアの病原性に影響を与える可能性のある遺伝子に特徴的な違いはなく、症状の違いは個体ごとの免疫力の違いや感染時期の違いなどが増殖能力に強く影響している可能性が示唆された。\n"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第152号"}]},"item_10006_textarea_23":{"attribute_name":"Rights","attribute_value_mlt":[{"subitem_textarea_value":"本論文の一部は以下のとおり公表されている。(Part of this dissertation has been published as follows.) \n小池 郁子,村田 知,大井 宗孝,村上 賢:2015 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