{"created":"2023-06-19T07:18:27.245581+00:00","id":3818,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"f0660fd5-0bfa-4574-9d4e-d15942c6bb33"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3818","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3818"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003818","sets":["370:15:392"]},"author_link":["17700","17699"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1997-02-12"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(獣医学)"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"Ethylenethiourea (ETU) は、そのもの自体かつて果実や野菜等に散布された殺菌剤であり (Vettorazzi, et al., 1995)、また、ethylenebisthiocarbamate系殺菌剤の環境中分解物および動植物内での代謝産物である (Czegldéi-Janko, 1967; Jordan, et al., 1979; Brocker, et al., 1980; Autio, et al., 1983)。\n 高用量のEthylenebisthiocarbamate系殺菌剤をラット胎子の器官形成期に母体に連続投与すると、胎子に奇形が生じることが知られている (Khera, 1987)。さらに、ETUをラット胎子の器官形成期に母体に連続投与すると、胎子に外脳症、脳瘤、髄膜瘤、水頭症、小下顎症、四肢の低形成、欠指症、短尾、曲尾などの異常が低用量でも認められる (Khera, 1973; Petrova-Vergieva et al., 1973; Larsson et al., 1976; Khera, 1987)。これらのことから、ETUはラットに催奇形性を示すことは明らかである。従って、本化合物の環境中への散布によりヒト胎児にも影響するかもしれないことが懸念される。しかし、代謝阻害剤のSKF-525Aを前処置したラットにETUを投与すると、その催奇形性が増強されるとの報告 (Khera & Iverson, 1981) と、これに相反して、ラットにおけるin vivoでのETUの羊水内投与では奇形が誘発されないとの報告 (Teramoto, et al., 1980) から、ETUの催奇形性がETU自体によるのか、あるいはその代謝物によるのかは未だ明確になってはいない。また、ETUの妊娠ラットにおける体内動態についての研究として、^14 CでラベルしたETUを妊娠ラットに経口投与したのち、母体血中、組織中、尿中および胎子中でのETU濃度の測定結果が報告されており、それによれば、経口投与されたETUは母体の血中、組織中並びに胎子中に速やかに移行することが示されている (Ruddick et al.,;1975; Kato et al.,;1976; Ruddick et al., 1977)。しかし、母体血中および羊水中でのETU未代謝体の濃度推移を詳細に検討した報告は未だなく、羊水を介する胎子への暴露についてもほとんど検討されていない。\n 本論文は、実験奇形学的な手法を用い、ETUによる催奇形性がETU自体によるのか、あるいはETUの代謝物によるのかを明らかにし、ETUが催奇形性を示す薬物動態学的パターンを究明したものである。\n\n 第1章では、妊娠11.5日および12.5日にETUを妊娠ラットに単回もしくは連日強制経口投与した時に、誘発される胎子の外形奇形の種類と形態異常の成立過程を観察した。\n 妊娠11.5日および12.5日にETUを単回もしくは連日経口投与し妊娠20日に帝王切開検査した時、10mg/kgでは胎子の外表奇形は全く観察されず、無影響量であった。50mg/kgでは短尾が観察された。200mg/kgでは脳奇形、口蓋裂、口唇裂、小下顎症、前肢の異常、欠指(趾)および合指(趾)、短尾を主徴とする種々の奇形が誘発され、そのほか妊娠11.5日投与では口唇裂が、妊娠12.5日投与では、後肢の奇形と小上顎症、無舌症が観察された。また、妊娠13.5日で開腹してみると、これらの奇形に対応する形態変化がすでに観察され、この際、母動物の血清、胎子の羊水と脳脊髄液に浸透圧の変化は認められなかった。従って、200mg/kgのETUを妊娠11.5日および12.5日の母ラットに単回経口投与した場合、その催奇形性に関して妊娠13.5日に開腹して調べた胎子(胎生13.5日)ですでに評価できると考えられた。\n\n 第2章では、胎生11.5日のラット胎子を48時間培養し、in vitroでETUに胎子を暴露した時の形態変化を観察した。\n 胎生11.5日のラット胎子を2時間培養した後、100および300μg/mlのETUを用い、1) 最初の17時間のみETUに暴露してその後ETUなしで29時間培養、2) ETUなしで22時間培養ののち24時間ETUに暴露、3) 46時間連続でETUに暴露の三種類の実験を行った。これらの条件下でETUに暴露された培養ラット胎子では、第1章で見られたような、母ラットの妊娠11.5日および12.5日にETUを単回もしくは連日経口投与した場合の子宮内胎子の形態変化と同様な変化、すなわち、前脳の低形成、鼻突起の結合不全、小下顎、前肢芽および後肢芽の低形成、尾の短小化が観察された。従って、胎生11.5日から13.5日の間ラット胎子のETUの催奇形性に対する感受性は、in vitroでもin vivoでもほぼ同じであると考えられた。\n\n 第3章では、ETUの催奇形性がETU自体によるのか、あるいははその代謝物によるのかを明確にするため、培養ラット胎子をラット肝ミクロゾーム分画 (S9 mix) の存在および非存在下でETUに暴露し、形態異常の誘発について検討した。このS9 mixはETUを代謝する作用がある。\n 10および30μg/mlのETUにS9 mixの存在および非存在下でラット培養胎子を暴露した時、S9 mixの非存在下では用量依存性に形態異常の頻度が高くなった。一方S9 mixの存在下では、つまりETUが代謝されると、形態異常がほとんど観察されなかった。従って、ETUの催寄形性は代謝物にあるのではなくETU自体にあると推察された。\n\n 第4章では、ETUがラット胎子に奇形を誘発するのに要する薬物動態学的な閾値についての知見を得るため、ラットの妊娠12.5日にETUを10、50および200mg/kgで単回経口投与し、母体血漿中、羊水中、胎子中および胎盤中でのETU濃度を経時的に測定した。\n 母体血漿中および羊水中のETUはともにほぼ同じ濃度で推移し、約2時間でピークに達し、その後徐々に減少し、48時間で消失した。一方、胎子自身のETU濃度は30分でピークに達し、投与後12時間でほぼ消失した。つまり、ETUの胎子に対する催奇形性機序の一部は、羊水中での高いETU濃度に胎子が長時間暴露されたことによるものと考えられた。\n\n 第5章では、胎子に奇形を誘発するのに要する子宮内でのETU暴露時間について検討した。すなわち、妊娠11.5日もしくは12.5日のラットに200mg/㎏のETUを単回経口投与することにより、胎子をin vivoで2~12時間暴露し、さらに24時間培養して形態異常を観察した。\n 子宮内でのETUの6時間以上の暴露は、ラット胎子の発達を軽度に遅延させたものの、8時間暴露においても明確な形態異常は認められなかった。12時間暴露においては、前脳、中脳、前肢および尾に形態異常が観察された。従って、子宮内のラット胎子に形態異常を誘発するためには12時間のETUへの暴露が必要であると考えられた。\n\n 第6章では、胎生11.5日からの培養ラット胎子を6, 30, 100および300μg/mlのETUに2~12時間暴露し、ETUが形態異常を誘発するのに要する暴露時間についてin vitroで検討した。\n 300μg/mlの6時間および6μg/mlの17時間暴露においては形態異常は観察されなかった。一方、10μg/ml以上の濃度での12時間暴露においては、尾の異常が濃度依存性に認められ、100μg/mlではさらに前脳、中脳および前肢に形態異常が観察された。従って、ETUがラット胎子に明確な形態異常を誘発するには、10μg/ml以上の濃度で12時間の暴露が必要であると考えられた。\n\n 以上の本研究の成績から、\n(1) ETUをラットに妊娠11.5日および12.5日に経口投与した時、妊娠末期胎子において観察される奇形と対応する変化がすでに胎生13.5日の胎子に観察される。\n(2) ETUは母体血、胎子の羊水および脳脊髄液の浸透圧に変化を与えることはない。\n(3) 胎生11.5日から13.5日の間の胎子のETUに対する感受性はin vivoおよびin vitroの条件下で差がない。\n(4) ETUのラット胎子に対する催奇形性は、肝臓の代謝により減弱される。\n(5) 母ラットにETUを投与した時、ETUは速やかに体内に吸収され各体液へ移行し、母体血漿中および羊水中のETU濃度はほぼ同じ濃度で推移する。\n(6) 胎子自身のETU濃度は早い時間で消失するが、その後も羊水中.での高いETU濃度に胎子が長時間暴露される。\n(7) ETUがラット胎子に形態異常を誘発するのには、胎子がETUの10μg/ml以上の濃度で12時間、羊水もしくは培養液中で暴露されることが必要である。\nことなどの結果がえられた。\n\n これらより、一括すればETUはin vivoであれin vitroであれ胎子にさまざまな奇形を生じさせるものであり、母体血中に長くとどまり、また胎子羊水中には母体血中と同程度に長くとどまるし、また胎子羊水中には母体血中と同程度に長くとどまるし、ETUの代謝を促進せしめると、奇形の発現が減弱することから、その催奇形性はETUの代謝物によるのではなくETUそのものによるものである、と結論される。さらに、ETUが胎子に催奇形性を示すには、ETUの10μg/ml以上の濃度が12時間以上母体血中で維持される必要がある、と結論される。\n","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第361号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"岩瀬, 隆之"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"17699","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]},{"creatorNames":[{"creatorName":"Iwase, 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