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アイテム
食中毒起因菌Campylobacter jejuniの低温損傷に関する分子生物学的研究
https://doi.org/10.14944/00003430
https://doi.org/10.14944/00003430e0b13c6d-dd4f-4a07-898a-10e065d6abc6
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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diss_dv_kou0133 (2.5 MB)
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diss_dv_kou0133_jab&rev (148.1 kB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2013-12-25 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 食中毒起因菌Campylobacter jejuniの低温損傷に関する分子生物学的研究 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Molecular biological studies on the foodborne pathogen Campylobacter jejuni in the cold-induced stress state | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_db06 | |||||
資源タイプ | doctoral thesis | |||||
ID登録 | ||||||
ID登録 | 10.14944/00003430 | |||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | open access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_abf2 | |||||
著者 |
飯田, 奈都子
× 飯田, 奈都子 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | Campylobacter jejuniによる食中毒は、現在、細菌性食中毒の中で全国的に発生件数が最も多い食中毒であり、その予防対策を講じることが急務となっている。C. jejuniは、発育に酸素濃度が3~15%の微好気条件を必要とし、実験的には大気中の酸素濃度では、すみやかに培養不能となる。しかし、低温で保存した水や食品中では比較的長期間生存できる特徴があり、C. jejuni食中毒の発生防止を難しくしている理由の一つと考えられている。日本におけるC. jejuni食中毒の原因食品としては、鶏肉が疑われる場合が多く、その流通および保存は、冷蔵や冷凍といった低温温度帯である。低温は、多くの菌にとって不都合な環境であり、C. jejuniもまた、低温による損傷やストレスを受ける。そして、菌の増殖能力が低下して、生きているが培養できない、いわゆるviable but non-culturable(以下、VBNC)状態になることが確認されており、VBNC状態の菌は、食中毒発生の潜在的なリスク因子として、食品衛生上の重要性が示唆されている。C. jejuni食中毒を制御するためには、菌の特徴に応じた検査法や予防対策が必要であり、培養可能な菌のみならず、VBNC状態の菌も検出可能な検査法を確立すること、そして、生き延びる温度帯である低温における本菌の生存機構を解明することが非常に重要である。しかし、C. jejuniの低温下での損傷および回復に関する分子機構は、ほとんど明らかになっていない。本研究では、まず、C. jejuniがVBNC状態でも検出可能な方法を、遺伝子検査法であるreal-time PCR法を活用して確立した。その際、煩雑な食中毒検査の実情を考慮し、他の主要な食中毒起因菌も一斉に検索できるシステムに改良し、臨床検体で検査法の有用性を検討した(第1章)。次に、C. jejuniを低温(4℃)で保存し、実験的にC. jejuniのVBNC状態を作製した(第2章)。そして、VBNC状態の遺伝子発現を調べ、VBNC状態に関連する候補遺伝子を推定した(第3章)。さらに、VBNC状態から回復させる条件についても検討した(第4章)。 【第1章】Duplex SYBR Green real-time PCR法による食中毒起因菌16遺伝子の一斉検索法の確立 対象微生物はC. jejuniを含む16種類の主要な食中毒起因菌とし、これらを検出するための16遺伝子を一斉に検索できるよう、既報のプライマーの組み合わせを改良して検査法を確立した。方法は、8系列のduplex SYBR Green real-time PCRを、96穴マイクロプレートを用いて行った。各系列は、1列あたり12wellで構成され、陰性コントロール、陽性コントロール(2種類)およびサンプル(9検体)を含む。判定は、融解曲線分析で陽性コントロールとサンプルのTm値を比較して確認した。その結果、本検査法は16遺伝子を特異的に検出することが可能であり、検出限界はQIAamp DNA Stool Mini Kitを用いてDNA抽出した場合、グラム(g)換算で103~106CFUであった。C. jejuniでは104CFU/gであった。食中毒関連12事例の患者糞便検体の原因菌を特定するため、本検査法を実施したところ、従来の培養法と同等の結果が3~4時間で得られ、本検査法の有用性を証明することができた。C. jejuni食中毒4事例中1事例において、培養法では陰性であった検体が本検査法では陽性と判定された。これは、検体中のC. jejuniがVBNCあるいは死菌の状態であったため、培養法では不検出であったが、遺伝子検査である本検査法では検出されたことが考えられた。 【第2章】低温(4℃)保存によるC.jejuniのVBNC状態の作製 C. jejuni ATCC700819株を使用し、PBS(-)で約108 CFU/mLに調製した菌液を4℃で静置保存した。全菌数はアクリジンオレンジ、生存率および生菌数はLIVE/DEAD BacLight Bacterial Viability Kitsで染色後、蛍光顕微鏡観察により測定した。培養可能な菌数は、C. jejuniの選択培地であるmCCDA培地および非選択培地である血液寒天培地で測定した。経時的変化をみるため、1週間毎に12週間目まで各菌数を測定したところ、全菌数は期間を通して変化はほとんどなく、生存率は12週間目まで約70~80%程度を推移していた。一方、培養可能な菌数は、時間経過とともに減少がみられ、mCCDA培地では8週間目以降、血液寒天培地では11週間目以降、集落形成がみられなくなった。8週間目の時点では、血液寒天培地での培養はまだ可能であるが、11週間目のC. jejuniは、「生きているが培養できない状態」であり、本実験で実験的にVBNC状態を作製することが可能であった。そこで、本研究では、C. jejuniをPBS(-)4℃で12週間静置保存し、生きているが血液寒天培地で培養できなくなった状態を“VBNC状態”、一方で、4℃静置直後の培養可能な状態を“通常状態”と定義し、以後の実験を行った。C. jejuniの形態を、蛍光および電子顕微鏡で観察したところ、静置直後ではらせん状であった本菌は、12週間目のVBNC状態では多くが球状(coccoid)に変化していた。作製したVBNC状態の菌は、第1章で確立した検査法で検出可能であった。 【第3章】VBNC状態のC.jejuniの遺伝子発現変化 4℃静置直後(通常状態)および12週間目(VBNC状態)のC. jejuniからTotal RNAを抽出し、real-time RT-PCR法によって遺伝子発現変化について調べた。低温ストレスに関連すると推測される60遺伝子について解析した結果、12遺伝子に約2倍以上の減少の変化がみられ、C. jejuniのVBNC状態への移行に、遺伝子発現の関与が推測された。そこで、次に、マイクロアレイ法により、C. jejuniのほぼ全遺伝子である1680遺伝子について、4℃静置直後(通常状態)、1週間目(短期間低温状態)および12週間目(VBNC状態)の3点を比較解析した。VBNC状態に関与する候補遺伝子として、VBNC状態の「培養できない」という状態から、何らかの酵素活性が減少していると推測し、発現の2倍以上減少した遺伝子に注目した。さらに、第2章の培養可能な菌数を測定する実験における培養能は、4℃、1週間目では変化しなかったことから、1週間目に発現の減少した遺伝子は、単に低温による影響と推測して除外した。その結果、候補遺伝子は6遺伝子に絞り込まれ、そのうち、特に機能面からTCAサイクルに関連する酵素であるコハク酸デヒドロゲナーゼサブユニットC(SdhC)をコードする遺伝子に注目した。これは、先に行ったreal-time RT-PCR法においても、発現の減少した遺伝子に含まれており、さらに1週間目では遺伝子発現は減少せず、12週間目では2倍以上の減少があることを定量的real-time RT-PCRにより確認した。Sdhを構成する他のサブユニット(SdhA,B)の遺伝子発現も同様の経時的変化を示し、このことから、SdhがVBNC状態への移行に関連する候補遺伝子の一つと推測された。 【第4章】VBNC状態のC.jejuniを回復させる条件の検討 VBNC状態で遺伝子発現の減少がみられたSdhA, B, Cは、TCAサイクルでコハク酸をフマル酸に酸化するときに作用する酵素である。そこで、フマル酸を培地へ添加し、TCAサイクルの反応を活性化することでVBNC状態からの回復を試みた。コロンビア寒天培地へフマル酸を添加して培地を調製後、VBNC状態の菌を107CFU接種して微好気培養した。しかし、期待された集落形成は認められなかった。そこで、作製したVBNC状態のC. jejuniが、実際に培養可能状態へ転換することを確認することにした。まず、他菌種で検討されている培養細胞との共培養を試みた。VBNC状態のC. jejuniと、CACO-2やHeLa等の上皮系培養細胞と共培養し、C. jejuniとの接触時間や細胞培養時間等について様々な組み合わせを検討した。その結果、HeLaを用いた1試験でのみ血液寒天培地上での集落形成を認めたものの、再現性を得ることはできなかった。次に、高温条件で作製したC. jejuniのVBNC状態の菌は、発育鶏卵の卵黄嚢に接種することで培養能を回復するとの報告があり、本研究の低温条件で作製したVBNC状態の菌も同様に、発育鶏卵接種によって回復するのか検討した。その結果、1回目は6日目に鶏卵6個中1個、2回目は6日目に鶏卵13個中1個と、極めて少ない数であるが、VBNC状態のC. jejuniを接種した鶏卵の卵黄液から血液寒天培地ならびにmCCDA培地上で培養可能なC. jejuniが検出された。鶏卵接種後2日目での回収では、培養可能なC. jejuniは得られなかった。発育鶏卵接種6日間の培養による回復率は、約10%と低かったものの、再現性が得られ、本研究で作製したVBNC状態は、生体を通ることによって培養可能状態へと転換する可能性が示唆された。回復株の全ゲノム解析をしたところ、今回注目したSdhA, B, Cの塩基配列は、元の菌株の配列と一致し、回復したことによる遺伝子変異は認められなかった。また、これら遺伝子の発現も元の菌株の通常状態と同様であることを確認した。 以上、本研究により、C. jejuniをはじめ主要な食中毒起因菌がVBNCの状態であっても検出できる遺伝子検査法を確立した。そして、低温(4℃)に保存することでC. jejuniのVBNC状態を実験的に作製できた。遺伝子発現を解析した結果、SdhA, B, Cの発現が減少しており、VBNC状態への移行に関与する候補遺伝子の一つと推測された。Sdhの代謝産物であるフマル酸の培地への添加および培養細胞との共培養では、VBNC状態からの回復はみられなかったが、発育鶏卵接種によって低温条件で作製したVBNC状態からの回復が確認された。このことから、C. jejuniのVBNC状態の菌は生体の感染源となる可能性が示唆された。 |
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Abstract | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | Campylobacter jejuni, a Gram-negative microaerobic bacterium, is the most prevalent foodborne bacterial pathogen in Japan. Understanding its resilience is crucial for preventing its spread and the recurrence of food poisoning due to foodborne outbreaks. C. jejuni can enter a viable but non-culturable (VBNC) state at low temperatures. Therefore, to control C. jejuni foodborne outbreaks, it is important to develop an assay for detecting the pathogen in both the VBNC and culturable states and to elucidate its mechanism of survival at low temperatures. In Chapter 1, we describe our design of a modified duplex SYBR Green real-time polymerase chain reaction (PCR) assay for simultaneously detecting 16 specific genes of 16 major foodborne bacteria including C. jejuni in not only the culturable state, but also the VBNC state. The 16 primer pairs for the 16 target genes were selected based on the findings described in a previous report. The present real-time PCR assay was evaluated to detect the causative bacteria in DNA extracted from the fecal samples of symptomatic patients infected by actual foodborne outbreaks. This assay (DNA extraction from feces and duplex real-time PCR) was performed within approximately 3 to 4 h and the results were consistent with those of culture. This finding shows that the proposed PCR method is useful for rapid identification of the causative pathogens of foodborne outbreaks. Furthermore, a specimen from a patient with food poisoning caused by C. jejuni was negative by culture and positive by duplex real-time PCR, indicating the suitability of this method for detecting bacterial cells in both the VBNC and dead states. In Chapter 2, we present our attempt at experimentally inducing the VBNC state of C. jejuni ATCC 700819 by exposing it to cold stress. The C. jejuni strain was subjected to cold shock in PBS(-) at 4°C for up to 12 weeks. Then, a portion of the resuspended cells was assessed each week to enumerate the viable and culturable cells; viability was assessed by BackLight staining and the culturable cells were measured using blood-free Campylobacter selective agar (mCCDA) and non-selective blood-containing agar plates. After 11 weeks of cold stress, no C. jejuni colonies were detected in the selective agar plates or non-selective blood-containing agar plates, with viability of 70-80%, indicating that C. jejuni entered the VBNC state under this condition. The cells in the VBNC state obtained by incubating in PBS(-) at 4°C for 12 weeks were used in subsequent experiments. Fluorescence and electron microscopy revealed changes in the morphology of the VBNC C. jejuni cells from the spiral form to the coccoid form. In Chapter 3, we focus on changes in gene expression to analyze the VBNC state of C. jejuni at the molecular level. Total RNA was extracted from C. jejuni cells under each condition immediately after incubation at 4°C, after 1 week (short-term incubation state), and after 12 weeks (VBNC state). We analyzed the gene expression of C. jejuni by subjecting the total RNA to quantitative real-time reverse-transcription-PCR and microarray assays. In the VBNC state, the expression of sdh, the gene encoding succinate dehydrogenase, was significantly downregulated, and the gene was considered a candidate in the transition from the culturable state to the VBNC state. Sdh is an enzyme that oxidizes succinic acid to fumaric acid in the tricarboxylic acid cycle. Following on from our findings outlined in Chapter 3, Chapter 4 presents our examination of whether addition of fumarate to the culture medium could resuscitate the cold-stressed cells of C. jejuni with downregulated sdh expression from the VBNC state; however, no recovery was observed. Next, we attempted to resuscitate the VBNC cells produced at 4°C under co-culture conditions with mammalian cultured cells, as reported for other species such as Vibrio cholera and Escherichia coli. The C. jejuni cells could not be resuscitated from the VBNC state even in the presence of several kinds of cultured cells such as CACO-2 and ECC-4. On the other hand, when C. jejuni in the VBNC state was inoculated in the yolk sacs of embryonated eggs, recovered culturable cells were reproducibly detected in approximately 10% of the eggs. The resuscitated cells were genomically identical to the original strain. This observation indicated that C. jejuni even in a cold stress-induced VBNC state might be a viable source of infection in humans. Taken together, C. jejuni can retain its pathogenicity in the VBNC state because of its potential to be resuscitated in food. |
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学位名 | ||||||
学位名 | 博士(獣医学) | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関識別子Scheme | kakenhi | |||||
学位授与機関識別子 | 32701 | |||||
学位授与機関名 | 麻布大学 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2013-09-30 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 甲第133号 | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | VoR | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85 |