{"created":"2023-06-19T07:18:11.604794+00:00","id":3352,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"b3a76bd9-5c48-4c3a-bd47-05b42082d2f5"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3352","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3352"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003352","sets":["17:40:278","370:15:391"]},"author_link":["16495"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1989-03-20"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"獣医学博士"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"原生動物繊毛虫類Tetrahymenaは,生殖核として機能する小核及び栄養核として機能する大核の2種類の核を持っ単細胞真核生物である。接合時に小核が分化して大核が形成され,同時にDNAが増え約20倍にもなる。TetrahymenaリボゾームRNA遺伝子(rDNA)は,小核のゲノム中に1コピーのみ組み込まれている。rDNAは小核が大核に分化する際に切り出され2つのrDNAが対称につながり,全体が回文構造であるような線状DNA(約20kb)として大核中に存在する。大核中のrDNAは10,000~20,000コピーにまで増幅し,その量は全DNAに対し2%と多い。大核の周縁部に存在する遊離核小体はこのrDNAによって形成されている。真核生物の染色体の末端(テロメア)に共通して存在すると考えられているテロメア繰り返し塩基配列が,Tetrahymena rDNAの末端にも認められる(Tetrahymena rDNAではCCCCAAの配列がテロメアにおいて繰り返されている)。\n このようにTetrahymena rDNAは非常に特徴的な構造(回文構造)をもち,さらに小核の分化に伴うDNAの再編成あるいは増幅,テロメア繰り返し配列の存在など興味深い特徴を持っている遺伝子である。\n 一方,真核細胞における遺伝子発見調節に関する研究では,クロマチンの構造と機能の関係は重要な1つの視点である。Tetrahymena rDNAは他の遺伝子と比べ非常に量が多く,さらにゲノムから遊離して核小体を形成している。従って,Tetrahymena核小体は機能が既知の単一遺伝子(rDNA)クロマチンとして,遺伝子発現調節のクロマチンレベルでの研究において非常に有利な実験系である。我々のグループではこのTetrahymenaの利点を生かし,上記の視点に立って研究を進めている。使用している細胞は,Tetrahymena pyriformis GL株(無小核系)であり,核小体の単離法(東中川ら)およびrDNAクローンを用いたin vitro 転写系(Nilesら,松浦ら)が確立されている。\n この一連の研究をさらに進めて行く上で、遺伝子の本体であるDNAの塩基配列を知ることは,最も基礎的かつ重要なことである。その上,前述のようにTetrahymena rDNAは非常に特殊な構造を持つ一方で真核生物に共通した構造をもつという2面性があり,これらの構造が持つ生物学的な意味を研究する上で塩基配列を決定することは有意義なことである。そこで本論文ではT. pyriformis GL株rDNAの全塩基配列を決定することを試みた。その結果得られた塩基配列についてその性状を多面的に解析し,さらに近縁種であるT. thermophila B株rDNAの塩基配列と比較検討した。\n T. pyriformis GL株rDNAの転写産物のうち26SrRNAは分子のほぼ中央で切断されていて,この現象はhidden breakと呼ばれ,変性条件下での電気泳動による分析で明らかにされている。このhidden breakが起こる部位を今回決定した塩基配列上に予想した。この予想された部位において考えられる構造を検索し,昆虫に認められているhidden break部位の構造と比較検討した。\n1. 本論文において今回決定した塩基配列は,回文構造の中央から約200塩基離れたKpnI部位から末端(テロメア)までの9707塩基である。塩基配列の決定は次のように行った。\n (1) T. pyriformis GL株rDNAクローン(pTpr4,pTprKT)から適当なrDNA断片を切り出し,pUC19をベクターとしてサブローニングした。\n (2)uni-directional deletion法を用いてサブクローンから種々の長さの欠失クローンを作製した。\n (3)ジデオキシ法により各欠失クローンの塩基配列を決め,読んだ塩基配列をつなぎ合わせて全体のrDNAの塩基配列とした。\n2. 今回決定したT.pyriformis GL株rDNAの塩基配列をT. thermophila B株との比較も含あて解析した結果,以下のような知見を得た。\n (1)既報の配列と一致しない部位が認められた。その原因としては,細胞のバッチの違いなどが考えられるが,現在のところ明確な原因は明らかではない。\n (2)T. thermophila B株との比較について次のようなことが認められた。\n a) rDNA各領域のG-C含量を比較すると,非転写スペーサー頷域,転写スペーサー領域,成熟rRNAコード領域の順にG-C含量が高くなっていて,この傾向が2種のTetrahymenaに共通していた。しかし,それ以外の生物種の場合を見ると必ずしも同じ傾向はみられなかった。\n b) T. thermophila B株rDNAとの相同性は転写領域において非常に高く、特に成熟rRNAコード領域は95%以上であった。非転写スペーサー領域は,これに比べ極めて相同性が低く(50%以下),このことは非転写スペーサーの進化における保存力が低いことを示す1つの例と考えられる。\n c) 転写開始点近傍のG-C含量の変化を見ると,転写開始点を含む部分のG-C含量が相対的に低くなっていて,これを挟んでG-C含量の比較的高い部分が存在した。この傾向は2種のTetrahymenaに共通しているだけでなく,他の生物種にも認められ,転写開始のメカニズムとG-C含量の分布の変化との間に関係のあることが示唆された。\n d) 26SrRNAコード領域の比較より、T. pyriformis GL株の方に大きな欠失が認められた。この部分はT. thermophila B株にみられる介在配列(IVS)に相当し,T. pyriformis GL株において完全に欠失した部分であることが確認された。\n(3)非転写スペーサーについて次のようなことが認められた。\n a) 5'非転写スペーサー領域の反復配列(タイプI,II,III)については,Nilesらが報告していて,今回決定した塩基配列においても同様な結果が確認された。\n b) 3'非転写スペーサー領域については,T. thermophila及びGlaucoma chattoniにおいてChallonerらが報告しているタイプIV,V反復配列がT. pyriformis GL株にも存在することを確認した。\n c) タイプVの1つの特徴として,各反復配列の長さが120~130塩基あり,それぞれの種において保存部分と変異部分が存在することが認められた。またこの特徴が3種の繊毛虫を通じて共通していることから,上記のような特徴がタイプV反復配列の機能に重要であることが示唆された。\n d) タイプVについて2種のTetrahymenaの間に3つの共通配列が認められ,そのうち1つにはTetrahymenaの中で,非常に強く保存されていると思われる塩基配列TGAATGが認められた。さらに3種の繊毛虫のタイプV反復配列に共通な塩基配列CCACTTが認められた。これら共通配列がタイプV反復配列の機能に対して,重要な働きをしている可能性も考えられる。\n e) タイプV反復配列のさらに3'側下流には長さ約160塩基のタイプVI反復配列がT. pyriformis GL株に認められた。この反復配列はT. thermophilaあるいはGlaucomaでは認められていない配列であり,今回新たに確認した反復配列である。タイプVI反復配列においてstem-loop構造を検索した結果,Tクラスターに隣接した構造が存在し,転写調節においてRNAポリメラーゼIの転写終結点を越えた進行を停止させるためにタイプVI反復配列が機能している可能性が示唆された。\n f) トポイソメラーゼIの結合部位を今回決定した塩基配列の全領域において検索したところ,その分布が転写開始点付近に局在していることが確かめられた。転写領域においては,外部転写領域の転写開始点付近に1カ所存在するのみで,その他のトポイソメラーゼIの結合部位は,全て非転写スペーサー領域に存在していた。このことは,トポイソメラーゼIの機能が転写調節に強く関係していることを示唆する例と考えられる。\n(4)hidden break部位をEckertら及び東中川の報告を基に,今回決定した塩基配列の上に予想した。予想された部位において考えられるRNAの2次構造を検索した結果,昆虫で見出されている構造と非常に似た構造が1つ確認された。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第54号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"村山, 洋"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"16495","nameIdentifierScheme":"WEKO"},{"nameIdentifier":"1000020301781","nameIdentifierScheme":"NRID","nameIdentifierURI":" 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