{"created":"2023-06-19T07:18:11.539250+00:00","id":3351,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"278fcf33-46a4-48db-b11c-ced5aacea6ab"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3351","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3351"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003351","sets":["370:193:375"]},"author_link":["16480"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2012-03-15"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(学術)"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"日本でもイヌが伴侶動物として室内飼育される割合が増加している。一方でイヌを飼育する上で、攻撃性や咆哮による問題など、行動面でのトラブルは日本だけでなく欧米諸国をはじめとした世界各国で起きている。アメリカ合衆国では、イヌによる咬傷事故件数が年間38万件にもおよび(Gilchrist et al., 2003)、日本における咬傷事故件数は年間4,940件である(環境省、2010)。\n イヌの問題行動の中でも、人や他のイヌに対する恐怖や攻撃性に関する問題の発生については、イヌの社会化期における飼育環境およびハンドリングが影響を与えることが明らかにされている(Scott & Fuller, 1965; Serpell, 1995; Appleby et al, 2002)。\n 子犬期に、問題行動についての予防および初期修正を目的とした「パピートレーニング」を行うことは、イヌが現代社会に受け入れられる上で効果が期待できる方法であると考えられている(Dunbar, 1991)。一般の家庭犬および飼い主がこのようなパピートレーニングを受ける機会として「パピークラス」と呼ばれる子犬向けしつけ教室が約30年前から欧米で始まり、近年、日本でも徐々に広がりを見せている。しかしながら、パピークラスの有効性を明らかにした研究はまだない。そこで本研究では日本におけるイヌの飼育状況およびイヌの行動特性を調査し、日本におけるイヌの問題行動の傾向を把握した上で、パピークラスという形式が、イヌの問題行動の予防に関して何らかの効果があるかどうかを検討した。\n\n第1章 日本におけるイヌの飼育状況と行動特性に関する質問紙調査-アメリカ合衆国における質問紙調査との比較-\n【目的・方法】\n 日本におけるイヌの飼育状況およびイヌの行動特性を把握するため、首都圏および関西圏において質問紙調査を行った。質問紙では、イヌの基本情報、飼育状況および行動特性を聞いた。行動特性については、HsuとSerpellによるCanine Behavioral Assessment & Research Questionnaire(以下C-BARQ)(2003)を日本語に翻訳したものを用いた。C-BARQでは、11の行動特性についてスコアが算出された。また、アメリカ合衆国(以下アメリカ)でも同様のインターネットによる同様の調査を行い、日米間の行動特性の比較を行った。\n【結果・考察】\n 日本において、質問紙は1,024部配布し、734部(回答率71.68%)が回収された。条件に合う有効回答数は425(41.5%)であった。アメリカでは、得られた回答数11,410部のうち、条件に合う回答は3,288部(28.8%)であった。\n 行動特性については、11項目中9項目において日米間で有意な差が見られ、特に「見知らぬ人に対する攻撃性」(F(1)=19.28, p<0.01)、「飼い主に対する攻撃性」(F(1)=79.41, p<0.01)、「非社会性による恐怖」(F(1)=52.5, p<0.05)、「見知らぬ人に対する恐怖」(F(1)=23.89, p<0.01)、「犬に対する攻撃性」(F(1)=14.61, p<0.01)および「犬に対する恐怖」(F(1)=37.94, p<0.01)の6項目について日本がUSAよりも有意に高い結果になった。これらの攻撃性や恐怖に関する行動特性は、犬種による違いや血統、個体差の他に、子犬期におけるイヌや人などとの接触や馴化といった飼育環境や経験などの要因が影響を与えている可能性が考えられる。有意な差が見られた9つの行動特性について、性別・入手先・入手時期・犬種グループの4つにおいて多変量分散分析および多重比較を行ったが、2国間の行動特性の違いに影響を与える要因を説明できる結果は得られなかった。\n\n第2章 イヌの社会性に関する行動テストの開発と妥当性の検証\n【目的・方法】\n 第1章で実施した質問紙調査は、飼い主に対して飼い犬の行動について質問する形式だったため、飼い主の主観的な評価が結果に影響を与えていないとはいえない。そこで第2章以降では直接イヌに対して行動テストを行い、飼い主および見知らぬ人に対するイヌの行動を客観的に評価したいと考えた。家庭犬の気質を評価する行動テストについては、過去にいくつかのテストが実施されているが、評価項目やテスト条件の面で、本研究で採用できる行動テストがなかった。そこで過去の行動テストを参考にしながら、家庭犬の社会性が評価できる新しい行動テストを開発し、その妥当性を検証した。\n 12項目43変数の行動テストを作成し、実験者および実験協力者が飼い主宅に訪問して実施する形式で128頭のイヌに対して行動テストを実施した。行動テストの各項目において得られた43変数についてSPSS(v.19.0)を用いた探索的因子分析を行い、得られた因子についてAMOS(v.19.0)を用いた確認的因子分析を行った。\n【結果・考察】\n 探索的因子分析の結果から、最終的に17項目において明確な4つの因子が得られた。4因子によって全分散を説明する割合は、76.9%であった。4因子についてはそれぞれ、「コマンドへの反応」、「分離に関する反応」、「新奇刺激への友好反応」、「見知らぬ人への友好反応」と命名した。この4因子について、AMOSを用いた確認的因子分析を行った結果、採用した適合度指標は、AGFIが0.890と0.90に近く、採用できる数値であると判断した。したがって、本章で開発した行動テストは、17項目のテストにより、コマンドへの反応、分離に関する反応、新奇刺激への反応、見知らぬ人への反応を評価するのに妥当性のある行動テストであると判断した。\n\n第3章 パピートレーニングの実践とその有効性に関する研究\n【目的・方法】\n 第3章では、第2章で開発した行動テストを用い、パピークラスという限定された時期におけるトレーニングの提供が、イヌの問題行動の予防に影響を与えるかどうかを検討した。以下に挙げる4つのトレーニング経験のうちいずれか該当する家庭犬を募集し、集まった142頭において行動テストおよび質問紙調査(C-BARQ)を行い行動を評価した:1)パピークラスグループ(PC)(n=44):週1回・全6回の子犬向けトレーニングクラス(パピークラス)を受講したイヌ、2)パピーパーティーグループ(PP)(n=39):1回1時間のみの子犬向けトレーニングクラスだけを受講したイヌ、3)成犬クラスグループ(AC)(n=27):週1回・全6回の成犬向けトレーニングクラスだけを受講したイヌ、4)コントロールグループ(NC)(n=32):トレーニングクラス受講経験の無いイヌ。行動テストで得られた4つの因子のスコア、およびC-BARQで得られた11項目の行動特性のスコアについて、4つのトレーニンググループ、犬種グループおよび性別について多変量分散分析および多重比較を行った。\n【結果・考察】\n 行動テストにおけるトレーニンググループ間での比較から、「コマンドへの反応」(F(3)=4.06, p<0.01)と「見知らぬ人への友好反応」(F(3)=3.05, p<0.03)のスコアについて有意な差が見られた。「コマンドへの反応」はPCとACがPPとNCよりも有意に高い結果となった(PC vs. PP, p<0.01, PC vs. NC, p=0.02, AC vs. PP, p<0.01, AC vs. NC, p=0.03)。また、「見知らぬ人への友好反応」において、PCは、NCよりも有意に高く、ACよりも高い傾向にあった(PC vs. NC, p=0.015, PC vs. AC, p=0.06)。なお、行動テストおよびC-BARQにおいて、性別による有意な差は見られなかったが、いくつかの犬種グループ間による有意な差は見られた。またトレーニンググループと犬種グループ間での交互作用は見られなった。\n 以上の結果から、犬種グループによる行動特性の違いは見られるものの、イヌの年齢に関係なく複数回トレーニングクラスを受講することが、コマンドへの反応の学習に影響を与え、さらにパピークラスにおいて家族以外の人やイヌ、その他の刺激に馴らせることを目的としたトレーニングを意識的に行うことが、成長後も見知らぬ人のハンドリングやコマンドに対して友好的な行動を示すことに影響を与えると示唆される。\n\n【総合考察】\n 日本で飼育されているイヌは、アメリカと比較して特に「見知らぬ人に対する攻撃性」、「飼い主に対する攻撃性」、「非社会性による恐怖」、「見知らぬ人に対する恐怖」、「犬に対する攻撃性」および「犬に対する恐怖」の6つの行動特性について有意に高い数値を示した。\n 過去のトレーニング経験の違いによるイヌの行動特性の比較から、パピークラスや成犬向けトレーニングクラスの受講は、受講後もコマンドに対する反応に対して効果があることが示唆された。またパピークラスの受講は、成長後も見知らぬ人に対する友好的な反応について有意に高い反応を示した。このことから、子犬期の限定された時期に、家族以外の人やイヌ、その他の刺激に馴らせることを目的としたトレーニングやコマンドトレーニングを行うことが、その後のイヌの行動、特にコマンドに対する反応や見知らぬ人に対する反応に対して効果的であると示唆される。このようにパピークラスは、特に恐怖や攻撃性に関する行動特性が高い数値を示している日本のイヌにとって、問題行動の予防に関して効果のある対策の1つになると考えられる。"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第53号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"久津見, 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