{"created":"2023-06-19T07:18:10.592183+00:00","id":3331,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"6433aa43-de69-418f-8be2-a03bf660524f"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3331","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3331"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003331","sets":["17:38:258","370:15:391"]},"author_link":["16420"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1977-03-14"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"獣医学博士"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"哺乳動物の胎児性蛋白に関する研究は,1944年Pedersonが仔牛血清中に胎児特有の蛋白Fetuinの存在を報告して以来始められた。\n α-フェトプロティン(以下AFPと略す)は,哺乳動物胎児血清中に最初に出現する電気泳動上α-位に易動度を有する蛋白で胎生初期には血清蛋白の主成分をなすものである。成体でも主として原発生肝癌の際に血中に出現することがあり,その診断的価値が注目されるに至った。\n 家畜におけるAFPの研究は,1968年にKithierらが肝癌に罹った成牛血清に認められたのが最初の報告である。また胎児血清AFPの消長については,一つの報告があるのみでまったく基礎的研究の域を脱しておらず,人医界での臨床応用にくらべ,大きな遅れをとっている現状である。\n 獣医学領域での利用を考えると,肝癌は稀な疾患であり診断的有用性が乏しい。そこで妊娠時,胎児AFPが母体血中に出現するなら妊娠診断が可能であるし,妊娠異常(胎児異常)の際に母体血中,羊水中のAFPを測定することにより早期に異常が発見できるのではないかと考えられる。\n 以上のことから,著者は家畜とくにウシのAFPに着目し,特異的方法(アフィニティー・クロマトグラフィー)を駆使し分離・精製してその特異抗血清を得,胎児血清,羊水,新生児血清,成牛血清,また異常産血清について検索し,AFP動態を明らかにし,胎児異常の際には母体血中にAFPの出現がありうることをウシにおいて初めて発見した。またウシ胎児の血清蛋白分画の主成分(α_2-Macroglobulin,Transferrin)を分離・精製しその特異抗血清を用いて定量した。さらに,胎児血清中免疫グロブリンGは,その主体がIgG_1であることを解明したので,これらの実験成績を報告する。\n AFPは分子量,等電点共に血清アルブミンに著しく近い,よって従来の非特異的方法では分離・精製が困難であったが,特異的方法の導入により急速に進歩した。まず抗原・抗体複合体からAFPの分離を試みた結果,大型の氷室がないないなどの悪条件で分離もよくなく,Sample量も少量であるために十分な収量をあげられなかった。そこでI㎜unoadsorbentとしてCNBrで活性化したSepharose 4Bにリガンドとして抗ウシAFPウサギ血清のγ-グロブリン分画をcouplingさせたカラムを使用しAFPの分離,精製を試みた結果,回収率は70~80%と極めて満足すべきもので,抗体を酸性にさらす時間が短いためにカラムの繰返しの使用が可能であり,少量の抗血清より大量のAFP精製が可能になった。またカラムを4℃に保存すれば,少なくとも1年間の長期使用に耐えることなどから本法を高く評価したい。この純品AFPを基準として以下の種々な実験を行った。まずヒト,ブタ,ウシAFPの免疫学的交差性について検索した結果,抗ウシAFPウサギ血清とヒト,ブタAFPは反応しなかった。抗ヒトAFPウマもしくはウサギ血清は,ヒト,ブタ,ウシAFPとよく反応し,互いに免疫学的な共通する抗原決定基を有する他に,それぞれの種属に特異的な抗原決定基も有していることが判明した。しかしながら市販抗ヒトAFPウマ血清はブタAFPとは反応するがウシAFPとは反応しなかった。このことは,共通抗原部分を認識させるまで免疫して得た抗体か否かの差異によると考えられる。\n AFP特異抗血清を用いて,Mancini法で以下定量を行った。高濃度用には抗血清を10%,低濃度用には2%の抗血清をそれぞれ用いた。胎児血清AFPは2カ月齢ですでに平均5.9㎎/mlと高い値を示し,3カ月齢では全在胎期間を通じて最高の平均7.1mg/mlの大きに達し,以後漸時減少し,出生時にはピークの約100分の1まで減少,10日で流血から消失した。胎齢2~3カ月における血清AFPの値は,血清アルブミンの濃度より上まわっており,この時期における浸透圧の維持,キャリアー蛋白としての役割をはたしているものと考えられる。とくに羊水に異常を認めた例で,同月平均の3倍という高い値を示した例があり,また体内死直後とみられる胎児は僅かのAFPが測定された。羊水AFPは胎児由来と考えられ,2カ月齢で存在し,3カ月齢にピークに達したあと減少し8カ月齢以後はMancini法の感度以下になり感知し得なくなった。この動態は胎児血中AFPの消長と酷似しており羊水AFPが胎児からの移行と十分考えられる。\n 今回著者が成牛血清中にAFPを検出し得たのは2例であり,そのうち一例は胎児血中AFPのところでのべた3倍量のAFPが測定された例であり,他の一例はアカバネ・ウイルス実験感染妊娠牛の経過血清中に見い出されたもので,結果として流産の転帰をとった症例であった。いずれも量的には僅かであり定性の域を脱し得ず,特異抗血清で吸収することにより,AFPと確認されたものであるが,いずれにせよ胎児から母体へAFPが移行することが,初めて経験された極めて重要な症例であり,妊娠異常(胎児異常)の血清蛋白レベルでの診断となり得ることが,明白な事実として理解されるに至ったことは,獣医臨床へのAFP応用として価値あるものである。今回は例数が2例と少なく,今後その数をふやしていかなければならないと考えられる。\n 胎児の血清蛋白についての報告は少なく,ことにウシ胎児に関しては,ほとんどない。今回著者の行った実験の成績は,それを補うのにふさわしいと考える。これによれば胎齢2カ月では平均1.45g/dlであるが,胎齢の増加とともに漸次増加し,分娩時には4.20g/dl平均となる。この増加の主力は血清アルブミンの増加によるものである。各蛋白分画のセルロースアセテート膜電気泳動分析の成績からアルブミンは胎齢の増加とともに増量し出生時には,第1の血清蛋白として存在する。α-グロブリンは胎齢2~4カ月では量的にアルブミンを上回っておりこの時期のα-グロブリンの主成分がAFPであることを考えるなら十分に理解しうる。また,アルブミンとα-グロブリンの4カ月齢以後の交代の様子はあたかも胎児型Hb(HbF)から成人型Hb(HbA)への変化のそれとよく似ており,胎生型から成人型へとの変化をうかがわせるものである。またα-グロブリン分画は実量的に5カ月齢以後も変化がないが,Fetuinが中期以後増加することを考え合わせれば理解できる。β-グロブリンの相対量に胎生期を通じて変化はないが,絶対量ではわずかながら増加する。γ-グロブリンはわずかの例で認められるが,その絶対量は無視できるほどわずかなものである。また新生児では初乳摂取後γ-グロブリンの急激な上昇をみた。胎児血清の免疫電気泳動による解析はまったくといえるほどなされていない。今回の成績から胎生前期の血清中には12本の沈降線が常に認められこのうちアルブミン,α-Lipoprotein,α_1-Antitrypsin,α_2-Lipoprotein,AFP,α_2-Macroglobulin,Transferrinの沈降線が同定可能であった。しかしながらヒトで認められているGc-globulin,Ceruloplasminは沈降線を同定しえなかった。とくにα_1領域においてα_1-Lpとα_1-antitrypsinが胎生期すでに成牛と同じくらい明瞭な沈降線として認められたことは興味ある所見としてとらえられた。交差免疫電気泳動分析により確認できる沈降帯は14で免疫電気泳動による沈降線12よ少多い数となった。本法では複雑な成分とくに,通常の免疫電気泳動では判定できないα位の血清蛋白の分離がよく,同じLotの抗血清で濃度(アガロース板にたいする)が変らないなら,山の高さはその成分の濃度に比例するので試料中の多くの成分の定量が同時にできる利点がある。α_2-Mは成牛血清を出発材料としてSephadex G-200でゲル沪過し,細いカラムで再クロマト後,分離泳動により純品としてとり出した。この特異抗血清を用いMancini法で胎児血清を検索した成績から,その増加は,3カ月で一度増加しその後徐々に増加したが,胎内では成牛レベルに達しなかった。\n Tfは,IgGのContaminをさけるために胎児血清を出発材料にリバノール沈殿上清をDEAE-CelluloseカラムクロマトグラフィーのStepwise溶出を行ない,Tf richな部分をSephadex G-150でゲル沪過し純品を得た。この特異抗血清でMancini法により胎児血清について検索したところ2カ月ですでに成牛レベルの1/3量存在し,3カ月齢では2倍に増加しその後一定した濃度を保ちつづけるが,8カ月齢でわずかに増加し,9カ月齢,10カ月齢でほぼ成牛レベルに達し,α_2Mの動態とは異なることが明らかとなった。免疫グロブリンG(IgG)は家畜(ウシ,ヒツジ,ヤギ,ブタ,ウマなどでは胎盤の構造から母体血中からの移行はなく,生後初乳を飲むことによってはじめて腸管から吸収され流血中に出現することがあきらかにされている。ウシの場合,胎生期にある種の微生物に感染しないかぎり流血中には免疫グロブリンが出現しないと考えられている。今回,IgGの検出にはOucterlony法,定量にはMancini法を用いて胎児血清中のIgGについて検索した結果,総数37例中6例約16.2%と高率にその存在を認めた。低いもので0.05㎎/ml高いもので1.79mg/mlと,高いものでも成牛レベルの1/10程度があるがその存在が認められたことは興味あることである。とくにIgGの成分が1例を除いてすべてIgG_1単独の症例であり,初乳から新生児に移行するIgGのほとんどがIgG_1であることを考えると,深く研究する余地があると考えられる。このIgGの由来がどこにあるか,つまり母体なのか,胎児が産生しているのかについて決定を下すことはできないが,とりわけ2カ月齢胎児2例のうち1例に1.79㎎/mlと多量に検出され,もう1例にも痕跡程度に認められたことから,この時期の胎児には免疫グロブリンの産生能は認められていないことを考えると,また胎盤構造の確立が不十分であろうことを考え合せて,母体よりのIgGであろうと考えられる。しかしながら抗体産生の機能が働きだした後の胎児血清中IgGの由来については,何らかの微生物感染をうけたチェックをしていないので断言できないが,このIgGが母体由来なのか,胎児が産生しているのか明確な解答を与えることはできない。\n 以上の成績からウシ胎児血清には他の哺乳動物と同様にAFPが存在し,その分離・精製には,アフィニティー・クロマトグラフィーが極めて有効である。\n 成牛血清中に2例であるがAFPが認められたことから胎児の異常が母体に反映すると思われる。つまり胎児AFPが母体血清中に出現することが事実として明らかにされたので,今後例数を増やすとともに,AFP検出の感度を上げることにより,胎児の異常を早期に発見でき,適切な処置を下せるものと確信する。また,胎児AFP以外の血清蛋白についていえば,Tfでは3カ月および9カ月齢に増加をみたが,中期ではプラトーな状態にあり,出生前に成牛レベルに達していた。さらにα_2Mについては,3カ月齢で増加し,その後漸次増加したが,成牛レベルには達しなかった。胎児血清の16%にIgGが認められ,IgG_1がその主体であった。ここに胎児血清蛋白成分の2~3の成分について明らかにされたので更に成分を増し,血清蛋白動態について解き明さねばならない。"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第16号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"木内, 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