{"created":"2023-06-19T07:18:09.976278+00:00","id":3286,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"054786f3-5c80-4089-8462-a32165539f25"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3286","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3286"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003286","sets":["370:193:375"]},"author_link":["16389"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2008-03-15"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(学術)"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"Diethylstilbestrol(DES)は英国において開発された合成女性ホルモンである。DESは主にマウスを用いた研究が盛んとなり、そのメカニズムが解明されてきたが、それら実験の多くは高濃度のDESを1回から数回投与する実験デザインであった。\n 著者はこれまでに胎生期での長期間低用量DES投与が、雄産子の精巣機能およびその上位中枢に及ぼす影響について検討し、DESは生後の血漿テストステロン濃度を減少させること、精巣ステロイドホルモン合成系酵素のmRNA発現は低レベルのテストステロンに起因するような変化は無いが、ホルモン合成系でのシグナル伝達が阻害されていることが示唆された。また精巣内のAR発現が促進されることによって精子形成及び生殖能力は損なわれないこと、LH濃度の結果から、上位中枢はテストステロンの低下に対応しておらず、正常なフィードバック機構が作用していないことを明らかにした。\n そこで本研究は胎生期の低濃度DES投与が視床下部-下垂体-精巣系のテストステロン調節メカニズムに与える作用を詳細に検討することを目的とした。\n\n第1章 胎生期のDES曝露が生後の視床下部に及ぼす影響\n 精巣のステロイドホルモン合成は上位中枢の影響を強く受けており、主に視床下部-下垂体-精巣系として作用している。胎生期のDES曝露は、思春期及び成熟期の血漿テストステロン濃度を減少させ、上位中枢が、低レベルのテストステロンに充分対応していないことを既に明らかにしている。そこで、第一章では、思春期及び成熟期における視床下部が、DES曝露によってどのように変化するか検討した。\n 妊娠SDラットを用い、妊娠7日から21日目の期間、DESを1.5(DES1.5群)あるいは0.5μg/kg(DES0.5 群)皮下に連日最前投与した。6及び15週齢において雄産子を剖検し、視床下部を採取した。視床下部における、各種ホルモン合成および調節因子等のmRNA発現量を半定量的RT-PCR法を用いて測定した。\n 6週齢においてDES1.5群のGnRH、5α-Reductase1、ERβ及びGFAP(Glial Fibrillary Acidic Protein)、DES0.5群のGnRH及びERβのmRNA発現が変化した。\n また15週齢において、DES1.5群の5α-Reductase1、Aromatase、ERβ、TH(Thyrosine Hydroxyrase)及びμ-Opioid Receptor、DES0.5群の5α-Reductase1、ERβ、GFAP及びμ-Opioid ReceptorのmRNA発現が変化した。\n 血漿テストステロン濃度が低下していたのにもかかわらず、GnRHが増加しなかったことから、DES投与はフィードバック機構における視床下部の反応性を変化させていること、星状膠細胞は血漿テストステロン濃度の変化に対して正常な反応を起こしている可能性が示唆されたにも関わらず、ERβ、TH及びμ-Opioid Receptorの結果から、GnRHが増加しなかったのは、ニューロン間のシグナル伝達が変化したことに起因したものである可能性が示唆された。\n\n第2章 胎生期のDES曝露が生後の下垂体に及ぼす影響\n 第1章の結果から、DES曝露がフィードバック機構iにおける視床下部の反応を変化させた可能性が示唆された。フィードバック機構の視床下部に続く組織である下垂体は、ゴナドトロフが視床下部由来のGnRHに反応して、LHもしくはFSHを合成する。そこで第2章では、精巣のステロイドホルモン合成を直接コントロールしている下垂体が、DES曝露によってどのように変化するか検討した。\n DESの投与方法は第1章と同様である。6及び15週齢において雄産子を剖検し、下垂体を採取した。下垂体における、各種ホルモン合成および調節因子のmRNA発現量を半定量的RT-PCR法を用いて測定した。\n 6週齢において、DES1.5群のLHβ、AR、ERα及びERβ、DES0.5群のAR、ERα、ERβ及びnNOSのmRNA発現が変化した。\n 15週齢においてDES1.5群のnNOS及びeNOS、DES0.5群のGnRHr及びeNOSのmRNA発現が変化した。\n 以上の結果から、胎生期のDES曝露は、下垂体のゴナドトロフにおいて、GnRH-GnRHrによるシグナルが正常に伝達しないために、血漿テストステロン濃度の減少に対する正常なフィードバック反応が起こらず、この変化はNOを介したシグナル伝達の変化及び性ステロイドホルモンに対する感受性の変化に起因している可能性が示唆された。\n\n第3章 胎生期のDES曝露が胎子の精巣に及ぼす影響\n これまでの実験から、胎生期のDES曝露は思春期以降の視床下部-下垂体-精巣系の全体に影響を及ぼしている可能性が示唆された。本研究におけるDES曝露は、器官形成期から出生までの長期間にわたっている。この時期は、精巣が機瀧分化し、ステロイドホルモン合成が開始される時期に相当し、胎子はDESという過剰なエストロジェンに曝露されていることになる。そのためDESはまず精巣機能に大きな影響を及ぼしている可能性が考えられた。そこで第3章では、DES曝露が胎子の精巣に及ぼす影響を検討した。\n 妊娠SDラットを用い、妊娠7日から20日目の期間、DESを皮下に連日単回投与した。投与量は第1章及び第2章と同様である。胎齢20日に帝王切開によって取り出した雄胎子を剖検し、精巣を採取した。精巣における各種ホルモン合成および調節因子のmRNA発現量を、半定量的RT-PCR法を用いて測定した。\n 両DES投与群の5α-Reductase1のmRNA発現量がControl群と比較して有意に増加した。DES1.5群のLHRのmRNA発現量がControl群の発現量と比較して有意に増加した。DES0.5群のP450sccのmRNA発現量がControl群と比較して有意に減少した。\n 以上の結果から、5α-Reductase1発現が増加していたのは、外生殖器の正常な雄性化を進行するために、よりホルモン活性の高いDehydrotestosteroneへの変換が促進されたことを意味しDES曝露が胎子の精巣テストステロン合成能を低下させた可能性が示唆された。\n\n第4章 胎生期DES曝露がライディッヒ細胞分化に及ぼす影響\n 第3章において、DES曝露が胎子精巣のステロイドホルモン合成能を変化させた可能性が示唆された。精巣でのステロイドホルモン合成を担うライディッヒ細胞は、まず胎子型ライディッヒ細胞として胎齢14~15日頃に分化した後、出生前まで増殖を繰り返し、出生後は徐々に減少する。一方成体型ライディッヒ細胞が生後3週頃から分化し始め、思春期まで活発に増殖する。そこで第4章では、DES曝露が、胎子型ライディッヒ細胞及び成体型ライディッヒ細胞の増殖並びに分化に及ぼす影響を検討した。\n DESの投与方法は第1章と同様である。1及び3週齢において雄産子を剖検し、精巣を採取した。精巣の組織切片を作成し、1週齢の精巣を用いて胎子型ライディッヒ細胞の総体積を測定し、3週齢の精巣を用いて成体型ライディッヒ細胞前駆細胞の出現頻度及び胎子型ライディッヒ細胞と成体型ライディッヒ細胞の割合を観察した。\n DES曝露は、1週齢の精巣における胎子型ライディッヒ細胞の総体積及び3週齢の精巣における成体型ライディッヒ細胞前駆細胞の出現頻度に影響を及ぼさなかった。3週齢のDES0.5群の精巣は、胎子型ライディッヒ細胞の割合が減少し、成体型ライディッヒ細胞の割合が増加している傾向が観察された。しかし、過去に行った研究によって3週齢の両DES投与群の血漿LH濃度は増加しており、血漿テストステロン濃度は減少している可能性があること、さらにDES0.5群のAR mRNAに変化が無いことを明らかにしている。これらの変化と、本章の結果を併せて考察すると、DES0.5群において成体型ライディッヒ細胞への分化が促進されているとは考えにくい。従って、胎生期のDES曝露は胎子型ライディッヒ細胞の分化・増殖、及び成体型ライディッヒ細胞への移行に影響を及ぼしていない可能性が示唆された。\n\n 以上本研究の結果から、胎生期のDES曝露は(1)視床下部のニューロン間のシグナル伝達を阻害することにより、フィードバック機構における視床下部の反応性を変化させていること、(2)下垂体のゴナドトロフにおいて、GnRH-GnRHrによるシグナルが正常に伝達しない為に、血漿テストステロン濃度減少に対する正常なフィードバック反応が起こらず、この変化はNOを介したシグナル伝達の変化に起因していること、(3)胎子精巣テストステロン合成能を低下させる、(4)生後の胎子型ライディッヒ細胞の発達及び成体型ライディッヒ細胞への移行には影響を及ぼしていないことなどが示唆された。従って、胎生期における低用量DES曝露は胎子精巣内分泌機能を阻害し、思春期にその上位中枢が変化し、結果として視床下部-下垂体-精巣系フィードバック機構を抑制的に変化させる経時的なメカニズムが明らかとなった。尚、本研究で実施した全ての実験は、麻布大学動物実験指針(2007年6月20日制定)に基づいて行った。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第37号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"小林, 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