{"created":"2023-06-19T07:18:08.860179+00:00","id":3269,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"8fec4afa-01f9-40ac-a736-d4b5dd6c2c24"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3269","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3269"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003269","sets":["17:37:226","370:15:391"]},"author_link":["16411"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1981-03-20"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"獣医学博士"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"1. 緒言\n 雄における副生殖器および外生殖器の分化には,胎仔から出される雄性ホルモンが積極的に働くものとされている。雌においての生殖器の分化は,ホルモン依存性ではない。そこで本研究では,ウシおよびラットの胎仔を用いて,生殖腺の雌雄への分化の時期と,副・外生殖器の雌雄への分化時期との間に,どれだけのずれがあるかを調べるとともに,種間の差を検討することにした。外生殖器の分化を見るのには,肛門生殖結節間距離(AG・Dと略す)を測定するのが便利である。また,実体顕微鏡および肉眼による外生殖器の観察も必要である。副生殖器として胎仔早期には,中腎管(W管と略す)と中腎旁管(W管と略す)を有している。W管は胎生期における尿排泄の主管であるとともに,雄における副生殖器のもととなる。M管は雌の副生殖器のもととなるものであるが,その由来と発生については,異論が多い。本研究においては,雌雄ともにW管とM管の消長を調べることにした。組織学的に追跡するとともに両管の直径を計測した。このような観察は,過去にいくらかの研究報告があるが,その結果は必ずしも一致しているとは言えない。この様な不一致が起こった原因を調べるとともに,先人の調査に対してさらに新しい事実を加えることにより,性の発生分化に関する知識を深めることにした。なお,雄においてのAG・Dと,W管が雌雄ホルモン依存性であるので,これらに対する内因性ホルモンの欠如の影響を調べるために,数頭の雄ラット胎仔を子宮内で去勢した。\n 2. 材料と方法\n ウシ胎仔はホルスタイン種で,すべて食肉検査所から入手したものである。体長(C. R. L)1.2cmから46cmまでの胎仔を用いた。\n ラットはウィスター系を用いた。交尾の翌日をもって妊娠第1日とした。妊娠13日から22日までの胎仔を用いた。去勢の影響を調べるため,妊娠20日目に雄ラット胎仔の子宮内での去勢を行い,2日後に調べた。\n AG・Dの計測には小さいウシ胎仔およびラット胎仔では,接眼マイクロメーターを用いて実体顕微鏡下での計測を行った。大きなウシ胎仔はノギスとディバイダーを用いた。外生殖器の外貌は,小さな胎仔には実体顕微鏡,大きな胎仔には肉眼をもって調べた。\n W管,M管の直径計測には,小さいウシ胎仔およびラット胎仔では,後軀をそのまま固定包埋し,7μmのパラフィン連続切片としてヘマトキシリン,エオジン染色を施した材料を用いた。大きなウシ胎仔では,胎仔の大きさによって,W管およびM管の適宜の場所を周囲組織とともにとりだし観察に供した。これらの材料は,組織学的にも用いた。\n 3. 結果および考察\n 1) ウシ胎仔について\n AG・D:体長3.6cm,3.9cmにおいて,雌雄の差が認められ,雄の方が大となった。\n 外生殖器外貌:体長2.7cm(推定胎齢44日)で,雄に会陰縫線の出現が見られることから雌雄の区別がつき,体長3.2cm(47日)になると肉眼的にも容易に雌雄の区別がついた。生殖腺は,組織学的観察によれば体長2.3cm(41日)において雌雄に区別され,精巣には精細管と間細胞が観察された。すなわち,間細胞が出現してから外生殖器が分化するまでの期間を推学胎齢でみると,約4日遅れて外生殖器にアンドロジェンの影響が及ぶことが示唆された。生殖結節は,雄で陰茎亀頭,雌で陰核亀頭に分化する。尿生殖ヒダは,雄で陰茎と亀頭包皮,雌で,頭端は陰核包皮となり,主体は肥厚して陰唇(陰門)となる。生殖隆起は,雄で陰嚢となり,雌では,生殖結節を越えて頭方へ移動し,ついには消失する。このことは,今までヒトをはじめとしてブタ,イヌにおいて,陰唇(とくにヒトの大陰唇)は生殖隆起に由来すると言われてきた説にまったく反するものであって,すくなくとも反芻類では,陰唇の形成は尿生殖ヒダ(ヒトの小陰唇に相当)によるものであって,生殖隆起は,完全に消失することが明らかとなった。なお,乳点に関しては,雄では亀頭と陰嚢との間の腹壁に遺残し,雌では,陰核の頭方の腹壁に発達することは,腹壁に乳房をもつ動物の陰唇の形成分化と関連して興味あるものと思われる。\n W管・M管直径について:W管は雌雄で体長5cm以降直径が減少する。雄では体長12cmにおいてW管直径が最小となり,以降体長14cmから再びW管の直径が増加した。雌では,体長12cmにおいてW管は消失した。以上から,体長12cmでW管に雌雄差を認めた。M管は雄で体長3cm以降ほとんど増加せず,体長5.3cmから直径が減少し,体長9.5cmでM管は消失した。雌では,体長3.2cm以降M管は体長の増加に伴って発達した。以上から体長3.8cmでM管に雌雄差が認められた。\n W管・M管の組織学的所見:体長4cmまで雌雄のW管が太くなる傾向にあり,単層の円柱上皮でなっている。尿生殖洞近くの雄W管は,体長7.5cmにおいて雌よりも明らかに太くなった。雄ではこの後も体の成長に伴ってW管は太くなるが,雌では,体長7.4cmからわずかづつ上皮の短縮を示してゆく。本研究の所見からウシ胎仔精巣に間細胞を認めたのが,体長2.3cm(41日)で,W管に雌雄の差が認められた体長7.5cm(61日)前後の時期に,W管が精巣から分泌されるアンドロジェンの影響を受けたと考えれば,体長2.3cmの時期に認められた精巣の間細胞がすでにアンドロジェンを分泌するものとすれば,間細胞の出現から推定齢齢で約21日遅れてW管に対するアンドロジェンの影響が現われることを示唆していた。M管は,体長1.2cm,1.6cmの胎仔の観察から,中腎上部の腹外側で,中腎を被う中皮の肥厚としてM溝(M管の腹腔開口部)の初期のものが認められた。M管の中部および下部の発生については,本研究によれば,ウシ胎仔体長1.8cmから3.0cmまでの材料において,M管の尾端は,W管と密接して共通の基底膜をもっており,最尾端はW管に完全に融合していた。その後,M管末端は漸進的にW管より分離して,ついにはM管とは別に尿生殖洞に到達する。この所見は,M管の主体はW管から分離・発生するという説を強く支持するものである。本研究においては,体長3cmを越える頃にM管末端が尿生殖洞に到達し,次いで,雌はどんどん直径を増して太くなって行くのに反して,雄では,管の増大がなくほぼ一定であったから,胎仔精巣からのM管抑制因子は,少なくとも,体長3cm頃には,分泌開始しているに違いないと思われた。\n 2) ラット胎仔について\n AG・D:妊娠16日においては,AG・Dに差が認められなかった。この時期においては,生殖腺の組織学的検索によれば,精細管の明瞭な形成によって雌雄の区別ができ,かつ,精巣には間細胞が散在的に認められた。妊娠17日において初めて,AG・Dに有意的な雌雄差が認められ,雄の方が大であった。この時期には精巣間細胞は増殖し,集団をなすところが多かった。AG・Dの雌雄差は妊娠19日から顕著となり,肉眼をもっても容易に雌雄の区別が可能となった。\n 外生殖器外貌:外生殖器の分化は,妊娠18日に観察された。雄では肛門と尿生殖口との間の距離が雌よりも大きい。また,生殖隆起も雄で大きかった。\n 生殖隆起は,妊娠16日には肛門の両側に位置していたが,妊娠17日になると尿生殖ヒダの後方で肛門のすぐ上方に位置し尿生殖ヒダの尾側をはさむように存在する。生殖結節と尿生殖ヒダの境は明確となり,尿生殖ヒダは生殖結節をとり巻くようになる。その後,尿生殖口の尾側,肛門との間に生殖隆起は発達し両者中央で癒合する。雌ではこの隆起はあまり発達しない。この隆起は,ウシにおけるように上方に移動することなく,その位置のままで平坦となる。生後発達する陰唇については,なお追究を必要とするが,すくなくともウシと比較すると異なるように思われる。\n W管,M管直径について:W管は,生殖腺の近くでは,妊娠15日,16日では雌雄ともに良く発達し,直径において,雌雄差はなかった。妊娠17日においては,雄のW管が著しく太くなるのに対して,雌のW管はほとんど太くならない。18日になると,雌のW管は極度に細くなり,19日では消失していた。尿生殖洞に近いところでは,雄において,W管は恒常的に太くなってゆく。雌では18日まで太くなり続けるが,19日目になると急激に細くなり,20日になると消失していた。M管は,生殖腺の近くでは,妊娠15日,16日で直径が雌雄ともに同大であるが,16日においては,一部の雄でM管の消失があった。17日になると,雄においてM管は完全に崩壊していた。雌においては,M管は急造に増大していった。\n W管,M管の組織学的所見:W管は妊娠13日において,すでに,雌雄ラット胎仔で,尿生殖洞に達していた。W管細胞は,単層で,立方ないし円柱状の細胞から成っていた。その後,17日まで雌雄のW管は発達し,W管を構成する細胞も増し,管腔も大となる。18日に至って,雌のW管に退行像が見られ,W管細胞の胞体内に細胞核と同大の酸好性顆粒を認めた。M管は,両性とも15日において初めて中腎上端,腹外側面の腹膜上皮(中皮)の陥凹としてのM溝として出発していた。M溝以下のM管は,初め索状構造物でW管に接着している。その末端は,W管と共通の基底膜をもち,W管と合流していた。妊娠16日になると,M管は上端から管腔を備え単層円柱の細胞からなる。M管尾端は,次第に尾方に伸びているが,末端はW管に密着していた。一部の材料は,W管から分離して尿生殖洞に達していた。17日では全ての材料でM管は尿生殖洞に達しつつあったが,雄においては,M管の細胞体内に,核小体と同大の酸好性顆粒を多数認めた。この所見は,ラットにおいてもまた,M管の主体は,W管から分離・発生するという説を強く支持している。\n 雄胎仔去勢の結果:\n AG・D:妊娠20日に去勢した雄胎仔のAG・Dは,20日の時点におけるよりは長くなっているが,21日より短かく,同腹対照の雄にははるかに及ばない。同齢の雌に比べれば長い。\n W管について:去勢するとW管は著しく細くなり,去勢時よりも細くなった。組織学的観察から,W管の上皮は,背が低く,細胞数も少なく,細胞の分裂像をほとんど認めなかった。\n 結果の要点:1)雌ウシの陰唇は,尿生殖ヒダ(ヒトの小陰唇に相当)に由来するもので,生殖隆起(ヒトの大陰唇に相当)は,これから離れて発生し,頭方へ移動してしまう。雄においては,生殖結節が頭方に急速に伸びるという位置的相対関係があるために,生殖隆起は逆に生殖結節の後方にあって,左右合して陰嚢となる。2)ラットでは,生殖隆起は,尿生殖ヒダを囲んで存在し,雄では陰嚢となり,雌では平坦不明瞭となるが,移動することなく,そのままの位置で存在する。1),2)の所見と過去の文献をあわせみるに,1)の変化は反芻類特有のものと思われる。3)M管はウシ,ラットともに,W管から分離独立する。このことは,ウシにおける種特異的なものではなくて普遍的なものであると考えられる。4)雄におけるM管の退縮は,M管が尿生殖洞に達してから起こる。M管抑制因子は,M管が尿生殖に達洞するまでは,その効力を発揮できないことが示唆される。すなわち,換言すれば,M管にはこの時期まで,M管抑制因子に対する感受性がないものと考えられる。"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第28号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"猪股, 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