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  1. 学位論文
  2. 獣医学専攻
  3. 博士論文(乙)

サルにおける Pneumocystis carinii 感染に関する研究

https://az.repo.nii.ac.jp/records/3226
https://az.repo.nii.ac.jp/records/3226
e7decd4c-6e5d-48f0-8166-034dd5220fe1
名前 / ファイル ライセンス アクション
diss_dv_otsu0340.pdf diss_dv_otsu0340 (6.3 MB)
diss_dv_otsu0340_jab&rev.pdf diss_dv_otsu0340_jab&rev (431.6 kB)
diss_dv_otsu0340_jab.pdf diss_dv_otsu0340_jab.pdf (266.2 kB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2013-02-05
タイトル
タイトル サルにおける Pneumocystis carinii 感染に関する研究
タイトル
タイトル Pneumocystis carinii infection in monkeys
言語 en
言語
言語 eng
資源タイプ
資源タイプ thesis
著者 藤田, 雅弘

× 藤田, 雅弘

藤田, 雅弘

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Fujita, Masahiro

× Fujita, Masahiro

en Fujita, Masahiro

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抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 Pneumocystis carinii(Pc)感染は,自発性(日和見)感染症のひとつと考えられ,これまでヒトを始めとしてマウス,ラット,イヌ,ネコ,ブタ,ウシ,モルモット,ヤギ,ヒツジ,サル,ウマなどの多くの動物種で報告されており,実験動物では悪い飼育環境のラットにPcが広く不顕性に感染していて,コーチゾンなどの免疫抑制剤を投与すると顕性化することが知られている。
 特に,カリニ肺炎は,Pcによって免疫不全をともなう疾病に併発する重篤な肺炎であり,AIDS患者ではカリニ肺炎が頻発し,その発症率は欧米で60~80%に達し,AIDS患者の死因の第一にあげられている。
 一方,サル類については,自然状態におけるPcの汚染あるいは感染に関する研究は非常に少なく,また,サルAIDSに併発するカリニ肺炎に関する研究もほとんど報告されていない。
 Pcはその形態や抗原虫薬が有効であることなどから原虫類と考えられているが,最近,PcのリボソームRNAの塩基配列が調べられ,原虫類よりも真菌類に近いことが報告されている。また,現在Pcはin vitroの培養が困難であり,動物を用いる分離,継代のみが可能である。
 そこで,本研究では,(1)実験室飼育サル(カニクイザル),野生サル(カニクイザル,ニホンザル)におけるPcシスト数およびPc抗体価の測定による自然感染状況,(2)実験感染サルAIDSに併発したPcの感染状況,および(3)サル由来Pcとラットおよびマウス由来Pcの性状の差異についてそれぞれ調べ,それらの一部を明かにした。

1. サル類におけるPc感染状況の調査
 調査したサルは,実験室飼育の育成カニクイザル149頭,野生カニクイザル51頭ならびに野生ニホンザル40頭であった。

1)肺におけるPcシストの検出
 育成カニクイザル149頭の肺組織を採取し,ガラスホモジナイザーでPBS10%乳剤を作製し,25μlをガラススライドに塗抹,乾燥後,Toluidine blue O(TBO)染色し,顕微鏡下でPcシスト数を測定した。Pcシストの検出率は雄28.1%,雌56.5%,平均45.6%であった。シスト数は,雄で平均3.8×10^2個/g,雄で平均1.3×10^3個/g個,総平均1.0×10^3個/gであった。
2)間接蛍光抗体法(IFA)によるPc抗体価の測定
 Pc感染ラット肺をPBS乳剤とし,集シスト法によりPcシストを回収し抗原とした。このラット由来Pcシスト浮遊液5μl(約1×10^3個)をガラススライドに載せて風乾し,一次血清として2段希釈の被検サル血清を滴下,37℃,1時間反応させたさらに,二次血清としてFITCラベル抗ヒトIgGウサギ血清を滴下し,37℃で1時間反応させ蛍光顕微鏡下で特異蛍光を観察した。
 その結果育成カニクイザル149頭の抗体陽性率は雄52.6%,雌72.8%,平均65.1%であり,平均抗体価は22.7倍であった。野生カニクイザル51頭の抗体陽性率は雄100.0%,雌86.7%,平均88.2%であり,平均抗体価は41.6倍であった。また,野生ニホンザル40頭における抗体陽性率は雄80.0%,雌85.0%,平均82.5%であり,平均抗体倒は35.6倍であった。

 これらのことから,調査頭数は必ずしも多くないが,サル類における集シスト法による正確な肺のPcシスト数ならびにPc抗体の保有状況について初めて明らかとなった。また,野生ザルは育成ザルに比較して,Pc抗体陽性率および平均抗体価のいずれも高い傾向がみられたが,これは野生ザルの生活環境,栄養状態などが育成ザルに比べて悪いことに起因するものと考えられた。

2. 実験感染サルAIDSにおけるPcの感染状況
1)実験的SIV感染ザルの性状
 サルAIDSの発症実験には,中国産アカゲザル雄5頭(No.1~No.5,年齢3~5歳,体重3.3~6.1㎏)が用いられ,TCID_50力価1.5×10^4のサルAIDSウイルスSIVmac251が静脈内に接種され,P3アイソレーター内の個別ケージで飼育された。
 SIV感染アカゲザルNo.1,No.2,No.3の3頭は衰弱が著しいため,それぞれ感染41週目,48週目,94週目にペントバルビタールで安楽死させた。安楽死時にそれぞれ22%,36%,20%の体重減少がみられた。No.4は12%の体重減少がみられ103週目で死亡した。No.5は120週間経過しても生存していた。
 SIVは接種後6週目からすべてのサルの末梢リンパ球から分離され,SIV接種後3週間目から実験終了まですべてのサルから1,000倍以上の抗体価で検出された。
 すべてのサルでヘルパーT細胞とサプレッサーT細胞の比率が低下し,SIV感染による細胞性免疫機能の低下が強く示唆された。
2)SIV感染ザルの病理組織学的所見
 4頭のサル(No.1~No.4)を剖検し,主要臓器の組織標本(10%中性緩衝ホルマリンで固定,HE,PAS,Grocott,TBO染色)を作製し観察した。
 No.2,No.3,No.4の肺にPcシストが確認された。No.3,No.4は特徴的な重度のカリニ肺炎を呈し,肺胞腔は広範囲にわたりPAS染色で染まる泡沫状物質(トロフォゾイト,炎症産物)で充満し,拡張していた。Pcは肺胞上皮細胞の表面に集積し,肺胞内の泡沫状物質の中にもみられた。炎症細胞の肺胞腔への浸潤はほとんどみられないが,肺胞中隔は一見幅が広くみえ,軽度の炎症細胞の浸潤があると思われ,肺胞壁は肥厚していた。いずれのサルにおいても,肺以外の臓器にPcよる病変は見られなかった。
3)SIV感染ザルの血中Pc抗体価の測定
 Pc抗体価はIFAにより測定した。抗原としてのPcシストは,SIV感染アカゲザルの肺から0.1%コラゲナーゼおよびデタージェント処理で回収した。シスト浮遊液5μl(約1×10^3個)をマルチウエルグラススライドにのせ,2段階希釈のサル血清を滴下し,37℃,1時間反応させた後,さらにFITC標識抗ヒトIgGウサギ血清で37℃,1時間反応させた。その結果,SIV感染による免疫機能の低下にもかかわらずNo.3およびNo.4でそれぞれ1:40,1:80の抗体価が測定された。
4)SIV感染ザルにおけるPcの体内分布
PCR法により各臓器におけるPcDNAの検出を試みた。使用したプライマーは,Wakefieldらによって決定されたラットPcのミトコンドリア・リボソームRNAのラージサブユニットの塩基配列に基づき合成された。PCRの条件は,ディネーチャー94℃90秒,アニーリング50℃90秒,エクステンション72℃120秒であり,合計40サイクル増幅した。その結果,No.3,No.4のサルの肺以外の広範囲の臓器(気管リンパ節,肝臓,腎臓,膵臓,脾臓,心筋,脳,小腸,腸間膜リンパ節,膀胱,精巣,下顎腺,甲状腺)からもPcが検出された。

 これらのことから,カリニ肺炎は,サルAIDSでもヒトAIDSの場合と同様に容易に発症すること,また,重度の肺炎を併発したサルAIDSでは,Pcは全身の諸臓器に伝搬されていることがわかった。
3. サル,ラットおよびマウス由来Pcの抗原性ならびに病原性の差異
 Pcは一属一種で,同一種がヒトを含めて種々の動物に感染しているものと考えられてきた。しかし,最近では異なる宿主由来のPc間に抗原性,病原性に差違があることが,マウス,ラット,ヒトならびにフェレット由来Pcについて報告されている。しかし,サル由来Pcについては報告がない。今回,サル由来Pcとマウスならびにラット由来Pcの抗原性および病原性の差違について調べた。
1)サル,ラットおよびマウス由来Pcの抗原性の比較
 ウエスタンプロッティング法はWaltzerらの方法に従った。抗原としてマウスおよびラット由来Pcを200w50分間超音波処理し,これを0.2%SDS-0.06M Tris-1%グリセロール-0.5%2ME液で3分間煮沸後,9,000xg20分間遠心し,その上清を10%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。分離した蛋白質をTowbinらのウエスタンプロッティング法によりニトロセルロース膜に転写(12V120分間)した。つぎに,蛋白質を転写した膜を3%スキムミルクで2時間ブロッキングし,一次血清としてのサル血清,抗マウスPcウサギ免疫血清,Pc感染ラット血清ならびに抗ラットPcラット免疫血清で反応させ,二次血清としてそれぞれホースラディッシュペルオキシターゼ標識された抗ヒトIgGヤギ血清,抗ウサギIgGヤギ血清および抗ラットIgGウサギ血清で反応させた。
 その結果,抗原と抗体がホモの組合せの場合は,いずれも116kDと52kDの2本の主要なバンドおよび82,70,67kDなどのバンドが認められた。しかし,ヘテロの組合せの場合には,いずれも116kDのバンドはほとんど認められなかった。したがって,各動物由来Pcの分子量116kDの抗原は,それぞれのPcに対する抗血清でのみ認識されると考えられ,116kDの蛋白質にそれぞれのPcに特異的な抗原が存在することが示唆された。
2)サルおよびラット由来Pcのミトコンドリア遣伝子断片の比較
 ラットおよびサルのPc感染肺の乳剤を作製し,プロテナーゼKで消化後,フェノール・クロロホルム抽出およびエタノール沈澱法でPcDNAを回収した。PCRのプライマーを加え,ディネーチャー94℃90秒,アニーリング50℃90秒,エクステンション72℃120秒の条件で合計40サイクル増幅した。PCRプロダクトは2%アガロースゲルで泳動後,エチジウムブロマイド染色し,UV下で観察した。
 その結果,ラットおよびサルPcのミトコンドリア・リボゾームRNAのラージサブユニット領域の遺伝子の一部が増幅された。各PCRプロダクトのシークエンスをジデオキシチェーンターミネーション法で解析したところ,サルとラットは基本構造は類似しているが,それぞれ異なる領域も存在することが明らかとなり,サルPcのプロダクトはラットPcのものより12bp短い343bpのDNAであった。
3)免疫不全マウスおよびラットを用いたサル由来Pcの感染実験
 免疫不全動物であるスキッドマウスとヌードラットを用いてアカゲザル由来Pcの感染実験を試みた。スキッドマウス10匹とヌードマウス5匹に,それぞれ1×10^4個のシストを経鼻的に接種衝後,P3アイソレーターで飼育し,ヌードラットには酢酸コーチゾンを毎週1回皮下接種した。それぞれ2ヵ月間,4ヵ月間飼育し,解剖後,肺のPcシスト数の測定および病理学的検査を実施しPc感染の有無を調べた。
 その結果,いずれの個体からもPcは検出されなかったことから,サル由来Pcは,マウスおよびラットにおいては増殖することができず,宿主特異性があることが示唆された。

 以上の結果から,(1)サルPcは,マウスならびにラットPcと同様に116kDの蛋白質にサルPcに特異的な抗原が存在すること,(2)ラット由来とサル由来Pcのミトコンドリア・リボゾームRNA遺伝子の塩基配列には,それぞれに共通する部分と異なる特異的な部分があること,(3)サル由来Pcはマウス,ラットに感染しなかったことから,病原性に関して宿主特異性があることが示唆された。
4. 要約
1)サル類における肺のPcシスト数およびPc抗体の保有状況が明らかにされ,野生ザルは育成ザルよりもPc抗体陽性率,抗体価ともに高いものがみられた。
2)実験的サルAIDSにおいても,ヒトAIDSの場合と同様にカリニ肺炎が容易に発症し,重度の肺炎を併発したサルAIDSでは,Pcは全身の諸臓器から検出された。
3)ウエスタンブロッティング法によりサルPcの116kDの蛋白質に,サルPcに特異的な抗原の存在が示唆された。
4)PCR法によって増幅されたラットおよびサルPcのミトコンドリア・リボゾームRNA遺伝子の塩基配列には,それぞれに共通部分と特異部分が認められた。
5)サル由来Pcは感染実験によりマウス,ラットに感染せず,病原姓に関して宿主特異性があることが示唆された。
学位名
学位名 博士(獣医学)
学位授与機関
学位授与機関名 麻布大学
学位授与年月日
学位授与年月日 1995-03-01
学位授与番号
学位授与番号 乙第340号
著者版フラグ
出版タイプ AM
出版タイプResource http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa
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Ver.1 2023-06-19 08:17:28.260686
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