{"created":"2023-06-19T07:18:05.338807+00:00","id":3214,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"a9154648-18c2-4887-8840-019fe827a64f"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3214","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3214"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003214","sets":["370:15:392"]},"author_link":["16307"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1991-11-06"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(獣医学)"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"心筋ミオシン重鎖(myosin heavy chain,MHC)アイソザイムにはV1,V2,V3の3種類が存在するが,遺伝子は2種類(α,β)しか存在しないことが確認されている。そこで現在のところ,この2種類の遺伝子を基に構成される蛋白の性質として,V1はααホモダイマーで,高いATPase活性を特徴とし,V3はββホモダイマーで,低いATPase活性を特徴としているとされ,またV2はαβヘテロダイマーであると考えられている。心臓に血行力学的負荷が加わると,心筋V1-MHCアイソザイムは減少し,V3-MHCアイソザイムは増加するが,この制御は,遺伝子の転写レベルで行われていることが確認されている。しかし,この制御機構については未だに不明な点が多く残されており,また,このMHCアイソフォームの変換が心肥大形成に対してどの様な意義を有しているのかという点についてははっきりとした見解は得られていない。\n 本研究では,まず第一着目点として,心臓圧負荷に対する心筋MHC遺伝子の転写活性ならびにアイソザイムの変換動態を,心肥大形成の過程と照らし合わせながら長期間観察し,その意義について検討を加えた。また,第二着目点として,α-MHC遺伝子の発現を増加させる甲状腺ホルモンについて,この血清濃度の低下がβ-MHCの誘導と関係があるのか否かについて検討した。さらに総合的検討を加えるため,ラットを用い,実験群としては,大動脈縮窄群(CoA),大動脈縮窄+甲状腺ホルモン(T4)投与群(CoA+Thy),偽手術群(Sham),無処置群(Normal),無処置+甲状腺ホルモン(T4)投与群(Normal+Thy)の5群を用意し,術後3時間から77日目までの長期にわたり経時的な変化を観察した。また,心筋ミオシン重鎖タイプの検索に加え,生化学的検索として,ミオシンATPase活性,血清甲状腺ホルモン(T4およびT3)レベルの測定を,生理学的検索として,血圧の測定を,また病理学的検索として心筋の壁厚の測定,光学顕微鏡,電子顕微鏡による心筋細胞の検索を行った。その結果,次の成績が得られた。\n\n1. 本実験に用いた大動脈縮窄ラットモデル\n CoA群における左室最大収縮期圧はSham群と比較し,術後3日目には有意に高値を示した。しかし,左室拡張末期圧,平均肺動脈圧,右室最大収縮期圧,拡張末期圧および右心房圧は,Sham群と比較しても有意な変化は認められなかった。また,剖検による左心室壁厚値は,CoA群ではSham群と同様,7日目までは若干減少する傾向にあったが,その後,CoA群の値はSham群の値と比較し,有意に上昇することが確認された。心筋細胞横径についても,CoA群はSham群と比較し,7日目より有意に高値を示した。電子顕微鏡による心筋細胞の観察では,細胞間あるいは細胞形質内に浮腫は認められず,その他の異常所見も確認されなかった。即ち,心筋細胞横径の増加は,純粋に心筋細胞の肥大に起因していることが確認された。以上の結果より,本実験に使用したラットモデルは,大動脈縮窄により左心室に確実に圧負荷がかかっているが,心不全には陥っていないモデルであることが確認された。さらに左心室壁厚および細胞横径値より,本実験モデルは,圧負荷をかけてから1ないし2週間で心肥大が形成されるモデルであることも確認された。\n\n2. 圧負荷に対する心筋MHCアイソフォームタイプの変換制御\n CoA群のβ-MHC mRNA相対量と,V3-MHCアイソザイム相対量の変化を比較すると,14日目までは\"lag time\"が存在することが確認され,この間は遺伝子の転写のほうが同時点の蛋白誘導と比較し,常に先行していることが確認された。この結果より,圧負荷によるβ-MHCの誘導は,遺伝子から蛋白に翻訳される以前の過程で制御されていることが示唆され,過去の報告と一致した。\n\n3. 圧負荷に対する心筋MHCアイソフォームタイプの変換と血清甲状腺ホルモンレベルとの関係\n 甲状腺ホルモンは,骨格筋MHC遺伝子発現を制御するのと同様,心筋MHC遺伝子発現を制御している大きな要因の一つである。ラットまたはウサギにおいて,大量の甲状腺ホルモンを投与すると,心室筋のα-MHC遺伝子発現が促進し,β-MHC遺伝子発現は抑制されることがよく知られている。また,胎仔期にはβ-MHC遺伝子発現がみられるが,出生にともない甲状腺ホルモンが大量に放出され,これによりα-MHC遺伝子発現の誘導が有意に高まることも示されている。\n 本実験では,圧負荷によって誘導されるβ-MHC遺伝子発現が,血清甲状腺ホルモンレベルの低下によって誘導されているか否かを確認するため,血清T4ならびにT3濃度の測定を行った。その結果,T4およびT3レベルともにCoA群とSham群の間に有意差は認められず,全期間を通じてほぼ同値を示した。しかしながら,CoA群におけるβ-MHC mRNAならびにV3-MHCアイソザイムの値はSham群と比較し,有意に上昇していた。またこのSham群のMHCの値はほぼNormal群と一致していた。\n これらの結果は,左室圧負荷によるβ-MHC遺伝子発現の誘導は,血清甲状腺ホルモンレベルの低下に依存しているのではないことを示唆しており,左室圧負荷によるMHCアイソフォームタイプの変換は,遺伝子に直接作用する甲状腺ホルモンによる変換機構とは異なった機構によって制御されている可能性を示唆するものである。\n 次に,甲状腺ホルモン(T4)の大量投与(16μg/頭/日)が,β-MHC遺伝子発現に対する圧負荷の影響を抑制することができるかについて検討した。CoA+Thy群におけるβ-MHC mRNA値は,CoA群と比較してみると,1,3,7,10,21日目において有意に低く,また,V3-MHCアイソザイム値においては7,10,21日目において有意に低かった。この結果よりCoA群でみられたβ-MHC遺伝子発現の誘導は,大量の甲状腺ホルモン(T4)投与により抑制されることが確認された。しかしながら,CoA+Thy群ではNormal+Thy群と同様,血清甲状腺ホルモンレベルは高値に維持されたにも関わらず,β-MHC mRNAならびにV3-MHCアイソザイムの割合は,Normal+Thy群のように低値が維持されず,時間とともに徐々にその割合が増加し,Sham群またはNormal群とほぼ同様の推移を示した。このことは,CoA+Thy群における甲状腺ホルモン(T4)によるα-MHC遺伝子発現の誘導効果と,圧負荷によるβ-MHC遺伝子発現の誘導効果の相互作用によるものと考えられる。\n\n4. 心肥大形成過程におけるMHCタイプ変換の意義\n CoA群において,術後35日目までは,β-MHC mRNAあるいはV3-MHCアイソザイムの割合がSham群と比較し,有意に高値を示している。即ち,この期間はSham群と比較し,CoA群の心筋のATPase活性は低く,従って筋収縮速度も遅いといえる。大動脈縮窄ラット心筋のV1-MHCアイソザイムの変化と,筋収縮速度を知る新しい指標として提示されたfrequency of minimum stiffness(これは筋収縮速度を直接反映するといわれている)の変化との相関関係を調べたところ,きわめてよい相関(r=0.82)が得られており,この結果からも本実験におけるCoA群の術後35日目までは,筋収縮速度が低下している時期といえる。\n 一方,CoA群の術後56日目以降では,β-MHC mRNAならびにV3-MHCアイソザイムの割合は,Sham群の値とほぼ一致していることが確認された。即ち,術後56日目以降は,CoA群の心筋のATPase活性も筋収縮速度もほぼ正常化したとみなすことができる。これは庄負荷に対する心筋の生化学的適応が,もはや必要でなくなったことを意味するものである。即ち,細胞横径の変化または左心室壁厚値の変化より判断した場合,この時期には既に心肥大の形成が完了し,また,血行動態が安定しているためである。\n これらの成績から,左室圧負荷に対する心臓の適応現象を心筋細胞レベルでみたとき,第一のプロセスとしてMHCアイソフォームタイプの変換(\"質的\"変化)が起こり,収縮線維自体の収縮効率の改善を図りつつ,負荷に対する心臓の対応としての肥大が形成されるまでの間,心臓にかかる負荷を軽減するように適応する。続いて第二のプロセスとして心肥大(\"量的\"変化)が起こり,収縮線維の物理的収縮効果の増大をもたらし,物理的に負荷に適応できるようになると,MHCアイソフォームタイプの変換は収束することが判った。\n\n 以上のことより,心肥大形成過程におけるMHCアイソフォームタイプの変換の意義としては,心負荷に対する心臓の適応現象の第一段階を担う重要な要素であり,筋原線維の量的増加による適応のみならず,肥大心ではエネルギー代謝を行ううえで,エネルギー効率改善のための適応をしうることが明かとなった。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第300号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"今村, 伸一郎"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"16307","nameIdentifierScheme":"WEKO"},{"nameIdentifier":"1000000176497","nameIdentifierScheme":"NRID","nameIdentifierURI":" 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