{"created":"2023-06-19T07:18:03.966195+00:00","id":3193,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"fe50b2ec-ec02-4189-ae50-3fc11abb3905"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3193","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3193"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003193","sets":["17:36:209","370:15:392"]},"author_link":["16253"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1986-03-12"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"獣医学博士"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"本研究はウシの第四胃の胎生期から新生期に瓦る形態発達の推移を,肉眼解剖学的並びに顕微解剖学的方法によって総合的に検討し,第四胃が胎生期のいつごろ分化を行なって固有な形態的特徴を備え,また組織・細胞学的にどのような状態で胃粘膜がいつごろ独特な形態をとり,また胃の固有な腺細胞として分化し完成されていくかという点について系統的・累積的に考究したものである。\n 複合胃を構成する中で唯一の腺胃である第四胃の発生学的な研究に関する知見は全くの空白な箇所が多く,初期発生に見られる断片的な報告が散見されるのみであり,特に腺胃として胎生期間中特有な発達過程をたどる第四胃の肉眼的形態分化と組織分化を考究し総括した研究はほとんど見あたらない。本研究は以上の点について着目し,ウシ第四胃の肉眼解剖学的レベルと組織・細胞学的レベルでの形態発達を,前者については当教室が独自に考案開発した生体内樹脂鋳型法を用いて,後者については光学および走査型と透過型電子顕微鏡を用いて,初期胎仔より新生仔に瓦って系統的に検索した。第四胃は前述のように反芻胃を構成する唯一の腺胃として発達し,発生学的に重要かつ興味ある問題が多くあるばかりでなく,単胃動物との比較解剖学的見地に立っても重要であり,さらに個体発生上での粘膜上皮の出現過程を知ることは臨床的にも成熟した胃粘膜上皮の損傷その他の場合修復過程における動態に関する情報を得るための基礎的資料となりうるものである。\n[□!1] 生体内鋳型法による第四胃の形態学的観察とこれをとりまく周辺臓器との相互位置関係の変化について,胎齢3ケ月のものより新生仔に至るまでの推移について観察・考察を行ない,胎仔発育における形態的特徴を明らかにした。\n〔1〕観察したレジン・レプリカの第四胃のそれぞれの発育段階における形態は各胃の容積比の相違を除いては,観察した胎齢3ケ月以降その外観は長楕円襄状を示し,その末端部すなわち幽門管は常に右前方に強く反転して後方に向い,次いで十二指腸となる。\n〔2〕本レプリカにおいて初めて発見観察された特異的な形状を示す憩室状膨隆部の出現は,3-4ケ月齢以降の胎仔の全例に認められ,晩期胎仔および新生仔において最も顕著であった。晩期胎仔および新生仔で第四胃の背側の頭側端において,その正中面の長さの1/4~1/5の部分で背尾側方に向かって膨隆し,尾側に向かうにつれて次第に著しくなり憩室状となる。膨隆部の尾側端は,第四胃の正中面に略々直角に交わる一条の深い溝を示す。この最も顕著な膨隆部は,第四胃の正中面の背側端に位置していた。3-4ケ月齢胎仔では隆起はわずかで,第四胃頭背側部の一部が円蓋状に突隆する程度であるが,隆起の傾向は胎齢を増すに従い強くなっていた。晩期胎仔および新生仔では第一胃の長軸が第四胃のそれに対して約30°右前方に傾き,同時に第三胃が約30°左前方に向うためにその間に挟まれ,この膨隆部全体の形状は明らかに三角錐状をなしていた。\n〔3〕胎生期間における腹腔は拡大し,推移に伴なう第四胃を含めた反芻胃の腹腔内での位置関係の変化は次のようであった。\n 胎生前期(3-4ケ月齢)では第四胃は腹腔左側腹部背側にあり,その前端は左下肋部を占める肝臓におおわれ,また後端は第4-5腰椎に達していた。腸群は,腹腔右側腹部に在り肝臓後方に収まっていた。\n 胎生中期(5-6ケ月齢)では,第四胃は腹腔左側腹部で第一胃を背側に載せ,その後端はほぼ第一胃のそれと一致(第六腰椎位)していた。第四胃後端は前内方に鋭く反転し第三胃後端に接して上行し,細い幽門管を経て十二指腸に続いていた。\n 胎生後期(7-9ケ月齢)では,第四胃は腹腔左側腹部背側の大部分と腹腔右側腹部背側の一部を占め,その後端は第6腰椎および第1仙椎までに達していた。新生仔では第四胃はさらに発達し,腹腔左側腹部と腹腔右側腹部の大部分を占めるようになり,後端は第1・2仙椎までに達していた。\n[□!2] 生体内鋳型法による第四胃の計測的観察\n〔1〕第四胃における便宜的に決めた特定な部位の長さ[○!1]前後長,[○!2]左右長,[○!3]背腹長,には相互間に相関があり,また個体の大きさとの間にもこれらの値は相関がみられ,個体の体長・体重の計測から第四胃の外観的大きさを推定することが可能であることが示された。\n〔2〕第四胃内容積は体長・体重および第四胃の長さとの間で相関がみられ,体長・体重および第四胃の長さを計測することにより第四胃内容積は推定することが可能であることが示された。これらのことから胎齢を追って第四胃は外観的にきわめて安定した発達を示すことが示唆された。\n〔3〕胎生早期では容積比率・重量比率とともに第一胃が最大を示すが,その後第一胃が減少しはじめ,第四胃が増加しはじめて胎齢6ケ月で第一胃と第四胃の重量比率は逆転した。新生仔では第四胃は容積比率ともに最大を示す。すなわち容積比率においては第四胃は他の3つの胃の約3倍を示し,重量比率においては第四胃は第一胃と第二胃を合わせた値とほぼ同様になる。\n[□!3] 第四胃粘膜表面構造の形態推移の観察:初期胎仔の第四胃表面上にはすでに多くの細かなシワをもつラセンヒダPlicae spirales abomasi(成牛では Vela abomasicaとなる)が現われていた(1.5-2ケ月齢)。その後ヒダの表面のシワは伸長して多くの直線状の縦走する隆起となり(3-4ケ月齢),続いて各々の直線状の隆起のところどころに浅いくびれが現われ,その数も次第に増加して,個々の独立した隆起を形成する。この隆起下の粘膜固有層はすでに蜂巣状の網目を示し,隆起間に深い窪みを形成した(4-5ケ月齢)。その後各々の隆起は次第に変形して俵状になり(5-7ケ月齢),さらに月齢がすすむと隆起も狭くなり,その間の溝が拡大してくる(7-9ケ月齢)。これらの変化は原則として噴門腺領域,胃底腺領域および幽門腺領域で共通していたが,中でも幽門腺領域は樹枝状隆起が後期胎仔においてもしばしば見られた。\n[□!4] 第四胃の組織発生学的観察,A)特に初期発生に関する観察(C.R.L. 2.3cmから13.5cmまでについて):ウシの胃が複合胃としておおよその正常位に移動する時期はC.R.L. 7.2cm前後の頃であった。この時期に第四胃も固有の形態をとるが,第四胃内面にみられるラセンヒダPlicae spirales abamasiはC.R.L. 2.3cmではすでに出現しており,前述の胃の正常位への移動の時期に先行していた。\n 組織学的観察は今回観察した初期胎仔では粘膜上皮は重層立方上皮を示し,C.R.L. 4.2cmになると第四胃ヒダ底部,第四胃溝および幽門部の一部で偽重層上皮に変化しはじめる。C.R.L. 5.2cmでは大部分が偽重層上皮になる他,第四胃ヒダ基部で単層配列を示すようになる。その後この上皮の単層化は全域にひろがる。\n[□!5] 第四胃の組織発生学的観察,B)特に中期および後期発生に関する観察(C.R.L. 14.2cmから新生仔までについて):C.R.L. 14.5cm(推定胎齢3ケ月)の第四胃粘膜上皮は全域で単層の高円柱状上皮に置き代っており,原始胃小窩とみられる上皮の粘膜固有層内への落ち込みも観察された。この時期の上皮細胞は一様に大型卵円形核をもち,細胞自由縁に偏在していた。上皮層では胎齢を増すに従い上皮の陥凹も深く数多くなり,4ケ月齢の頃より上皮細胞の核は基底側に移動し,核上部に強いPAS陽性物質を見る(表面上皮細胞の出現)。胎齢5ケ月になると上皮の陥凹(以下胃小窩という)底部にアルシアン青陽性の立方状細胞が出現し(頸部粘液細胞)さらに同時期で無果粒性明調細胞が出現する(壁細胞)。以後6ケ月齢になると次第に胃小窩底部より連続する腺部よりPAS陽性野が減少していき(つまり粘液系細胞以外の細胞の増殖が盛んになる),7ケ月齢では胞体内にアゾカルミン果粒を充満した主細胞が出現していた。こうして胎齢7-8ケ月頃よりすべての胃底腺細胞は出現しており,出生に向い発達をつづけ,新生仔ではほぼ形態的に完成された胃腺を形成していた。幽門腺細胞は胃腺細胞の中で最も早期に出現し,その後急速に成熟し,出生のかなり前に機能的にも成熟するようであった。また噴門腺細胞は第三・四胃口に限局して分布し,その出現は幽門腺細胞に比べ遅く胎生中期(6-7ケ月齢)であり,胎齢8-9ケ月ではほぼ成熟するように思われた。胃粘膜上皮細胞の中の粘液分泌系細胞における粘液性状を調べた結果,表面上皮細胞は中性粘液物質,また幽門線細胞,噴門腺細胞,頸部粘液細胞は酸性粘液物質の存在を示唆していた。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第237号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"浅利, 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