{"created":"2023-06-19T07:18:03.376523+00:00","id":3184,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"e999a1a8-bd0c-4861-9224-f95525dc070e"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3184","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3184"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003184","sets":["370:15:392"]},"author_link":["16206"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1981-03-16"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"獣医学博士"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"イヌにおけるLegg-Perthes病は小型犬種で若齢のものに多く発生し,大腿骨骨頭部から骨頸部にかけて非感染性虚血性の骨壊死を生ずる疾病である。\n この疾病の病態発生については,多くの研究者によって諸説が述べられているが,Toy-Breedによる体型の小型化と早期の性成熟による性ホルモンが関係しているという推論が,より有力な学説になっている。\n イヌのLegg-Perthes病は生後4~5ヵ月頃から発症する。そして初期に於ける臨床症状は軽度の跛行を示すが,しだいに病勢が進行し大腿骨骨頭部および骨頸部の壊死が発現するに至れば,強い疼痛をともなって,重度の運動機能障害に発展する。したがって臨床的には本症を病期的に正確な診断を行い,その病期に最も適合した治療方針を確立することが急務である。\n しかしながら,本症に関する症例報告は多いが,本症を病期別に分類した臨床診断についてはあまり報告されていない。\n 著者は実際の臨床例において,臨床的にLegg-Perthes病と診断した62症例を集積し,これらの症例について,臨床症状,X線検査,病理組織学的検査ならびに罹患骨の化学的分析について検討を行い,臨床的に最も切望されている病期別の臨床診断法を確立し,病期に適した治療法の検討を試みた。\n その結果,臨床診断法としても最も常用されているX線検査の所見と病理組織学的所見とが比較的よく一致した所見が得られ,実際の臨床診断に役立つ診断基準を提唱することができた。\n すなわち62症例のLegg-Perthes病の患畜について,犬種別,年齢別,性別,体重別,発病患肢別に検討し,これらの症例が示した臨床症状についても検討を加えてみた。\n まず犬種別に発病の多い犬種を挙げてみると,ヨークシァテリア(33.9%),プードル(17.7%),ポメラニアン(12.9%),ミニチュアピンシェル(12.9%),マルチーズ(11.3%),狆(6.5%),パグ(1.6%),チワワ(1.6%),雑種(1.6%)の順であった。\n このように,わが国における飼育頭数の多い犬種と発病頭数の多い犬種とは必ずしも一致せず,飼育頭数はマルチーズとポメラニアンが多いが,Legg-Perthes病の発病はヨークシァテリアが圧倒的に多く,ついでプードルが多い,このことはイヌのLegg-Perthes病においては犬種によって発病率に有意の差があるものと推察される。\n 臨床的に集められた62症例の発病年齢は6ヵ月から15ヵ月齢,その平均年齢は9.4ヵ月で1歳未満の幼犬または若齢犬に発病し,ヒトのLegg-Perthes病の発病時期と類似する。\n 性別に検討してみると,雄の発病率が48.4%,雌の発病率は51.6%で両者の間には有意の差がみられない。\n 全症例における平均体重は2.9kgであり,そのうち雄の平均体重は3.0kg,雌の平均体重は2.8kgであり,雌雄とも平均体重3.0kg以下のものに発病している。\n 発病する患肢は左右いずれか片側性に発病するものとあがあるが,左側の大腿骨に発病したものが32.2%,右側の大腿骨に発病したものが46.8%,両側の大腿骨に発病したものが21%であり,左右いずれか片側性に発病する場合が圧倒的に多い。\n 62症例の臨床症状について肉眼的な視診により跛行ならびに筋萎縮の程度を観察してみると,つぎの4段階に分類できた。\n 静止時の姿勢で患肢を着地し,軽く負重をかける。歩行時には軽度の跛行を示すが,走行時には跛行せず,軽度の筋萎縮が認められる症例を(+)群とした。\n 静止時の姿勢では患患肢を軽く着地しているがほとんど負重しない。歩行時に中等度の跛行を呈し,筋の萎縮が中等度に認められる症例を(++)群とした。\n 静止時には患肢を挙げ,歩行時には顕著な跛行を示す。明瞭な筋萎縮が認められ,時折患肢を着地する症例を(+++)群とした。\n 静止時ならびに歩行時においても患肢を挙上したままで着地不能となり,筋萎縮が著明な症例を(++++)群とした。\n このように患肢の跛行状態を4段階に分類してみると,実際の臨床診断基準として役立つことが判った。\n また,禀告によって跛行が継続した期間と筋萎縮の程度を併せて観察してみると,跛行が長期間継続したものほど,筋萎縮が強く認められる。\n Legg-Perthes病の臨床診断法として患肢のX線検査が行われる。62症例における大腿骨骨頭部のX線検査を行って,骨の形態的な変状を観察するとつぎの4段階に分類された。\n この分類法はLjunggrenの分類法とは別に,より臨床的に応用し易いGrade IからIVに分類したものである。\n すなわち,Grade Iの症例(11例)は,大腿骨骨頭部の軟骨下に穿孔状の欠損巣がみられ,同時に寛骨臼と大腿骨骨頭部の間隙が増幅するX線所見を示すものである。Grade IIの症例(15例)は,大腿骨骨頭部の点状巣がより多く観察され,骨頭上端が扁平化を示すものであるが,このGradeのものには寛骨臼およびその周囲は若干の刺戟性骨増殖がみられる例もある。\n Grade IIIの症例(30例)は大腿骨骨頭部の扁平化が進行し,骨頸部にも骨崩壊の変化が認められるものである。\n Grade IV症例(6例)では大腿骨骨頭部から骨頸部の形態的な変化が一層著明となり,骨頭から骨頸部にかけて,明瞭な骨崩壊が観察されるものである。\n このようなX線所見は,大腿骨の骨頭部から骨頸部にかけて骨組織が崩壊するX線所見であり,このような崩壊像の進行状態をX線学的に観察することによって,臨床的には個体の病勢判断ならびに外科手術の適応基準として役立つことが判った。\n イヌのLegg-Perthes病の治療法はこれまでに保存療法または内科的療法と外科的療法とが応用されている。62症例のうち26例の症例に内科的療法を行ったが予後は必ずしも良好とはいえなかった。この場合に使用した薬物は副腎皮質ホルモン剤,ビタミンB_1剤,Azapropazoneなどを投薬し,患畜をケージに収容して安静を命じたが,患畜の安静を継続することは困難であった。また何例かは重度の跛行のため畜主の希望により安楽死を行ったものもある。\n Legg-Perthes病の外科的療法として大腿骨骨頭切除術が適用される。本法を適用する場合の股関節露出法には頭蓋側切開法,内側切開法,背側切開法,尾側切開法が行われるが,著者は頭蓋側または内側切開法によって股関節を露出し大腿骨骨頭切除術を適用した。\n 62症例のうち大腿骨骨頭切除術を適用した症例は36症例であり,そのうち片側性のもの35例,両側性のもの1例であった。これらの症例における術後経過は,おおむね術後1週間を経過して創口は治癒し,疼痛ならびに跛行はしだいに消退した。そして骨頭切除部に偽関節が形成され,これが固定されるにしたがって患肢の運動機能ならびに筋萎縮も恢復し,30例の術後経過は極めて良好であった。\n 大腿骨骨頭切除術を実施した36症例のうち,32症例から大腿骨骨頭を採取し‘これを病理組織学的に検索を行った。その結果,X線検査によって分類した病期別のGrade Iでは,関節軟骨組織が正常犬と比較して著変は認められない。しかし局所的には陥凹部が見られ,骨頭部全体がやや圧平化していた。一方,骨端核は骨芽細胞の活動がやや活発化して骨端核の拡大像がみられた。さらに局所的な細胞浸潤,出血,結合繊細胞の侵入像が観察された。\n Grade IIでは小亀裂も数ヵ所においてみられ,関節軟骨と骨端核の境界部では組織細胞の配列が乱れ,部分的な破壊像が観察された。また重度の出血斑と細胞浸潤が観察された。\n Grade IIIでは軟骨層においては,肥厚部と壊死部とが介在し,関節軟骨と骨端核の境界は広範囲にわたって離断した所見がみられ,部分的な断裂,細胞の変性像が観察された。\n Grade IVの症例では,関節軟骨面は壊死脱落した後に軟骨膜の増生像がみられた。骨端核は壊死脱落した部位と,二次的な修復現象の出現がみられた部位とが混在した所見であった。このような病理組織学的所見は病勢のGradeが進行するにしたがって,大腿骨骨頭部および骨頸部における骨組織の崩壊が進行する病理組織所見であった。しかし,これらの所見は各Gradeによって確実に区別されるのではなく,重複した形でみられるものが多かった。\n 以上のようにX線検査による病期別分類と病理組織学的所見とは比較的よく一致し,実際の臨床上,病期別の臨床診断を行う際に極めて重要な診断指針となることが知られた。\n さらに骨頭切除によって採取された9例の大腿骨骨頭について,化学的な検索を行ない,カルシウム,マグネシウム,リン,鉄などの含有量について,定量的に計測してみた。\n その結果,一定重量当りの骨成分含有量は健康犬の大腿骨骨頭の骨成分と比較して,有意の差は認められなかった。このことは骨組織を構成する骨成分には変化が認められないが,体積当りの骨成分含有量については,その限りではないことを示唆していると考えられた。\n 以上の検査結果からつぎのような結論が得られた。\n 1) 著者が検索した62症例のイヌのLegg-Perthes病は体重3.0kg前後の小型犬種に特異的に発病することが知られた。その発病年齢は平均9.4ヵ月の若齢犬に多かった。このことから本症の病態発生には,これまで報告されている性ホルモンとの関連性が強く示唆された。\n 2) 大腿骨骨頭部の形態的な変化をX線学的に詳細に観察することによって,Grade IからGrade IVの病期別分類を行い,X線検査による本症の実用的な診断基準を確立した。\n 3) 62症例のうち26例の症例に薬物ならびに保存療法を試みたが,予後は必ずしも良好とはいえなかった。36例に大腿骨骨頭切除術を適用した結果,術後経過は極めて良好で,術後における偽関節形成によって患肢の運動機能が恢復された。\n 4) 大腿骨骨頭切除術によって採取した32例の大腿骨骨頭について病理組織学的に検索を行った結果,X線検査によって分類した病期別のGradeと骨組織像の変化とは比較的よく一致する所見が得られ,本症におけるX線診断基準の確立を一層確実なものとした。\n 5) 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