{"created":"2023-06-19T07:18:02.145659+00:00","id":3165,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"eb1ce54c-f044-4072-9735-58c028fe8025"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3165","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3165"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003165","sets":["370:15:392"]},"author_link":["16173"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1972-01-24"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"獣医学博士"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"南九州における日本脳炎流行の実態を知り,さらに野外流行株の再検討を行なう目的で,1966年から1968年にわたってブタにおける抗体の陽転時期およびその消長について調べるとともに,ウイルス分離を行ない分離株の性状について検討した。\n 日本脳炎ウイルスの新分離株あるいは保存株間の性状差については,いくつかの報告があるが,ヒトおよび動物における感染状況あるいは疫学的所見と分離株の性状との関連において検討された報告はない。\n 本論文は新弱毒株の分離のいきさつと生物学的性状および免疫血清学的性状についてウイルス学的に検討した結果についてのべるとともに,弱毒ウイルス株分離の疫学的意義と日本脳炎の感染病理について考察したものである。\n 疫学的調査の結果,鹿児島市における流行開始時期は,年次によって差のあることはもとより,ブタの抗体の陽転状況とその消長にも年次によって差異のあることがみとめられた。すなわち,1967年の供試豚では一斉に抗体の陽転がみとめられず,1966年および1968年のそれに比べて陽転化の進行がきわめて緩慢であった。また,感染豚の中和抗体価および血球凝集抑制価はともに低く,早期に抗体価が低下する傾向がみとめられ,他年次に比べて異なる現象と考えられた。\n 流行期のブタの血液から分離したウイルスは各年次に1株ずつ計3株で,それらはいずれも日本脳炎ウイルスと同定された。この分離株の性状を調べた結果,ブタの抗体感応のわるかった1967年に分離した「谷山S-2」株は,1966年および1968年の分離株に比べて鶏胎児細胞およびブタ腎継代細胞の培養において,ウイルス増殖がやや劣り,ウイルス活性および血球凝集素の耐熱性が弱かった。また,マウスおよびブタに皮下接種した場合,体内諸臓器におけるウイルス増殖が劣り,かつ脳感染をおこしにくく,いわゆる末梢感染性の弱いウイルス株と考えられた。\n 従来から,日本脳炎ウイルス新分離株は,マウスおよびブタに対して末梢感染性が強いとされており,このたびの試験においても「谷山S-2」株のほかは,いずれも末梢感染性が強く,先人の成績ともよく一致した。しかし,「谷山S-2」株は分離当初のウイルスでありながら,末梢感染性が弱いという特性を有していることは興味ある事実である。\n いっぽう,日本脳炎ウイルスは動物あるいは細胞で継代することにより,容易に諸性状の変異をおこすことが知られており,分離株の弱毒性と弱毒株の野外における存在とを直接むすびつけることは方法論的に困難をともなう。したがって今回,野外における弱毒株の存在を推定するにあたっては,できるだけ分離当初の継代歴の少ないウイルスを用い,他の分離株と比較するという方法を用いた。\n マウスやブタの感染試験に供試した「谷山S-2」株は,マウスおよびブタ腎継代細胞を用いてそれぞれ分離し,数代継代したウイルスと,さらに鶏胎児細胞に11代継代したウイルスを使用したが,末梢感染性においてウイルスの分離方法および継代歴による差異はほとんどなく,いずれも弱かった。また,「谷山S-1」株(1966年分離)および「谷山S-3」株(1968年分離)のマウスあるいはブタの感染試験においても「谷山S-2」株と同様な継代歴のウイルスを使用したが,継代歴による末梢感染性には差異がなく,いずれも強かった。すなわち,この程度の継代歴では末梢感染性に差異が生じなかったことから,「谷山S-2」株の弱毒性は分離過程およびその後の継代によって弱毒化した可能性は少ないものと考えられる。\n 以上のように,ブタにおける自然感染の実態を把握し,ブタの血液からウイルス分離を行ない,その性状について調べた結果,流行ウイルスのなかには病原性の弱いウイルス株があること,およびそのようなウイルス株によるブタの自然感染のある事実が明らかにされたものと考える。\n ウイルスの体内諸臓器における増殖性,いわゆる末梢感染性と免疫賦与力とは,かなり関連の深いことが知られている。今回のマウス感染試験においてもウイルス血症が検出できない弱毒株では,血球凝集抑制抗体の産生には大量の接種ウイルスを要したが,強毒株である「谷山S-1」株および「谷山S-3」株では少量のウイルス接種でも抗体産生をみとめた。また,ブタの感染試験においても,ほぼ同一ウイルス量を用いたにもかかわらず,接種後6日目の時点における血球凝集抑制抗体は,「谷山S-1」株接種豚では陽性値に達したが,弱毒株接種豚では抗体価は低く,陽性限界に達しなかった。\n これらのことから,1967年におけるブタの抗体感応のわるかった要因の一つとして,「谷山S-2」株のような弱毒株が野外に存在したことが考えられる。\n 日本脳炎の発病要因については不明な点が多いが,著者の実験成績より日本脳炎の発病要因の一つとして宿主側の因子のほかに,流行株の病原性をも十分考慮する必要のあることを初めて実証したことは,日本脳炎の疫学に新たな一つの問題を提起したことと考えられる。\n また,年次によって流行の大きさが異なることが経験されるが,今回,弱毒株の野外における存在をみとめたことにより,流行の大きさとの関連性についても今後考慮する必要があるのではないかと考える。しかし,弱毒株の野外における出現機序,および出現頻度などについては全く不明であり,今後研究すべき一つの課題と思われる。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"乙第 47号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"黒木, 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