{"created":"2023-06-19T07:18:01.821348+00:00","id":3160,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"0297d25e-99d6-4f35-8671-a7c29805c682"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3160","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3160"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003160","sets":["17:38:260","370:15:391"]},"author_link":["16167"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2000-03-20"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(獣医学)"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"門脈体循環短絡症は、門脈が体循環における静脈系と異常血管によって吻合する疾患であり、多くは先天性で大部分の症例が生後1歳齢未満に臨床症状を発現するとされている。しかし、血液の短絡量によっては中・高齢期において初めて症状が発現する症例も数多く認められることから、潜在的には比較的多く存在する疾患と考えられている。本疾患に対する確定診断法には、従来から経空腸静脈性門脈造影法もしくは経脾静脈性門脈造影法が応用されてきた。しかしながら、これらの方法は全身麻酔下での開腹術を必要とするため、本症のように肝障害を随伴する症例に対しては、非常に侵襲性の高い検査法とされてきた。\n そこで本研究では、検査による侵襲を可能な限り低減させる造影方法として、血管カテーテル法を応用した経皮的順行性空腸動脈性門脈造影法(Percutaneous Orthodromic Jejunal Arterial Portography:以下PCOJAPと略す)、経皮的逆行性後大静脈性門脈造影法(Percutaneous Retorograde Postcaval Portography:以下PCRPCPと略す)、ならびに経皮的逆行性奇静脈性門脈造影法(Percutaneous Retorograde Azygos Venous Portography:以下PCRAVPと略す)の3法の造影法を考案し、各々の造影手技と正常造影像について基礎的検討を行った。また、これらの造影法における有用性について疾患モデルを用いた実験的検討、ならびに臨床例を用いた臨床的検討を行った。\n第1実験:経皮的順行性空腸動脈性門脈造影法(PCOJAP)の検討\n 経皮的にカテーテルを大腿動脈から空腸動脈まで挿入し、空腸動脈性に造影剤を注入して門脈ならびに短絡血管を順行性に描出するPCOJAP法を考案し検討を行った。実験にはビーグル成犬25例(体重8.8±2.1kg)を用い、大腿動脈から空腸動脈へのカテーテルの挿入法、撮影タイミング、造影剤の種類ならびに投与量について検討した。\n カテーテルの挿入法について検討した結果、初めに先端部をおよそ130°に屈曲させた6Fr.血管カテーテルを前腸間膜動脈に留置し、次いで3Fr.血管カテーテルをあらかじめ挿入しておいた6Fr.カテーテルの内腔を通して、空腸動脈にまで誘導する同軸親子カテーテル法が有効であった。\n 撮影タイミングの検討は、X線透視下で門脈の造影剤濃度が最も高く観察される時間とした。その結果、造影剤の注入終了直後が最も良好と判断された。\n 造影剤の種類の検討は、イオン性造影剤のイオタラム酸ナトリウム(480mgI/ml)ならびに非イオン性造影剤のイオパミドール(370mgI/ml)について行った。その結果、血管径の細い動脈系からの投与であることから、低粘稠性のイオパミドールの造影像がより良好であった。また、至適投与量の検討は投与量を0.5、1.0、1.5ml/kgの3群について行った。その結果、1.0ml/kgの投与量が最も良好であった。\n第2実験:経皮的逆行性後大静脈性門脈造影法(PCRPCP)の検討\n 第1実験で行ったPCOJAP法では、大腿動脈ならびに空腸動脈内径の細い症例に応用することが困難と考えられた。そこで、バルーンカテーテルを経皮的に外頚静脈から後大静脈まで挿入し、後大静脈血流を一時的に遮断すると同時に、造影剤を逆行性に注入して短絡血管を描出するPCRPCP法を考案し検討した。実験にはビーグル成犬18例(体重9.3±3.8kg)を用い、後大静脈へのカテーテルの誘導法、撮影タイミングならびに造影剤の至適投与量について検討した。\n 後大静脈へのカテーテルの挿入法は、初めに先端をおよそ130°に屈曲させた6Fr.血管カテーテルを外頚静脈から後大静脈まで誘導し、次いでこのカテーテルの内腔を通して外径0.035inchのガイドワイヤーを後大静脈内に挿入した。その後、6Fr.血管カテーテルを抜去し、残されたガイドワイヤーに被せて血管閉塞用バルーンカテーテルを誘導するカテーテル交換法が最も有効であった。\n 撮影タイミングの検討は、X線透視下で第1実験と同様に行った。その結果、造影剤注入終了直後が最も良好と判断された。\n 造影剤の至適投与量の検討は、血流遮断部位を横隔膜の頭側部ならびに肝静脈の尾側部の2ヵ所に設定して行った。造影剤は第1実験と異なり粘稠性を考慮する必要性がないことから、イオタラム酸ナトリウム(480mgI/ml)を使用した。造影剤の投与量の検討は、血流遮断部位を横隔膜の頭側部とした場合は1.0、1.5、2.0ml/kgの3群とし、肝静脈尾側部とした場合には1.0、1.25ml/kgの2群に分け検討した。その結果、血流遮断部位を横隔膜頭側部とした場合は1.5ml/kg投与群が最も良好であり、肝静脈尾側部とした場合では1.25ml/kg投与群において最も良好な造影像が得られた。\n第3実験:経皮的逆行性奇静脈性門脈造影法(PCRAVP)の検討\n 犬の門脈体循環短絡症の約10%が、門脈‐奇静脈短絡と報告されている。このタイプの短絡を有する症例に対して、第1実験で考案した方法を応用した場合、血管系の太い症例では診断が可能であるが、血管系の細い症例では不可能であり、また、第2実験で考案した方法では奇静脈への造影が不可能であると考えられた。そこで、経皮的に外頚静脈から奇静脈内にバルーンカテーテルを挿入し、奇静脈の血流遮断下で逆行性に造影剤を注入するPCRAVP方を考案し検討した。実験にはビーグル成犬20例(体重8.8±3.4kg)を使用し、カテーテルの誘導法、撮影タイミングならびに造影剤の投与量について検討を行った。\n 奇静脈へのカテーテルの挿入法は、あらかじめ先端の2.5cm部分をおよそ130°に屈曲させた6Fr.血管カテーテルを前大静脈から奇静脈に誘導し、次いでこのカテーテルの内腔を通して外径0.035inchのガイドワイヤーを挿入した。その後、ガイドワイヤーのみを残し血管カテーテルを抜去し、ガイドワイヤーに沿わせて血管拡張用バルーンカテーテルを奇静脈内にまで誘導するカテーテル交換法が最も有効であった。\n 撮影タイミングの検討は、第2実験と同様に行った。その結果、造影剤注入終了直後の撮影が最も良好と判断された。\n 造影剤の至適投与量については、イオタラム酸ナトリウム(480mgI/ml)を用い、投与量を0.3、0.5、0.7ml/kgの3群に分けて検討した。その結果、0.5ml/kgの投与量が最も良好であった。\n第4実験:考案した造影法の疾患モデルに対する造影能の検討\n 門脈体循環短絡症の疾患モデル10例を作成し、考案した門脈造影法による短絡血管の造影能に関する検討を行った。\n 疾患モデルは、開腹下で胃脾静脈を後大静脈に端側吻合して作成した。第1実験で得られたPCOJAP法の結果をもとにカテーテル先端を空腸動脈内に留置し、1.0ml/kgの造影剤を注入して検討した結果、10例中全例において明瞭な短絡血管の造影像が確認された。\n 一方、PCRPCP法についての検討は、バルーンカテーテルによる血流遮断部位を横隔膜頭側部ならびに肝静脈の尾側部とし、第2実験で得られた結果をもとに行った。その結果、後大静脈の遮断部位を肝静脈の尾側部とした場合では、10例中全例において短絡血管の描出が可能であった。また、後大静脈の血流遮断部位を横隔膜頭側部とした場合では、10例中7例で短絡血管が造影されたが、他の3例については短絡血管の造影像が得られなかった。この現象は、肝静脈への逆流量が多いことに起因するものと考えられ、PCRPCP法における血流遮断部位は、肝静脈の尾側部に設定することが望ましいと判断された。\n第5実験:考案した造影法の臨床例に対する造影能の検討\n 症例1は体重8.6kgのサルーキー種の雄で、血管系の太い症例であったことから経皮的順行性空腸動脈性門脈造影法を応用した。造影方法は、第1実験で得られた結果をもとにカテーテル先端を空腸動脈内に留置し、1.0ml/kgの造影剤を注入した。造影剤注入終了直後に撮影を行なった結果、門脈本幹から肝内を通過し横隔膜尾側部で後大静脈に吻合する短絡血管が明瞭に描出され、門脈体循環短絡症と確定診断された。\n 症例2は7.4kgのミニチュアシュナウザー種の雄で、血管系の細い症例であったことから経皮的逆行性後大静脈性門脈造影法を応用した。造影方法は、第2、第4実験で得られた結果をもとに肝静脈の尾側部で血流を遮断し、1.5ml/kgの造影剤を注入した。その結果、造影剤注入終了直後に撮影を行なった結果、肝静脈尾側部で後大静脈に吻合する短絡血管が明瞭に観察され、門脈体循環短絡症と確定診断された。\n 症例3は4.6kgのウエストハイランドホワイトテリア種の雌で、血管系の細い症例であったことから、症例2と同様のPCRPCP方を応用した。その結果、造影剤注入終了直後に撮影を行なった結果、肝静脈尾側部で後大静脈に吻合する短絡血管が明瞭に観察され、門脈体循環短絡症と確定診断された。\n 以上の結果、門脈体循環短絡症の確定診断法として考案した3法のX線門脈造影検査法は、従来から行われてきた開腹術を必要とする経空腸静脈性門脈造影法や経脾静脈性門脈造影法と比較し、動物に対する侵襲が低く造影手技も容易であり、さらに短時間での検査が可能であった。また、短絡血管の診断能についても良好な結果が得られたことから、門脈体循環短絡症の確定診断法として、臨床的有用性は十分にあるものと判断された。"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第 84号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"茅沼, 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