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In vitro において増殖因子がラット胎子膵島B細胞の分化・増殖に及ぼす作用の検討
https://az.repo.nii.ac.jp/records/3152
https://az.repo.nii.ac.jp/records/3152b996918c-15f9-4c57-8c0a-5ef707fc073d
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||||
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公開日 | 2013-01-16 | |||||||
タイトル | ||||||||
タイトル | In vitro において増殖因子がラット胎子膵島B細胞の分化・増殖に及ぼす作用の検討 | |||||||
言語 | ||||||||
言語 | jpn | |||||||
資源タイプ | ||||||||
資源タイプ | thesis | |||||||
著者 |
保田, 昌彦
× 保田, 昌彦
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抄録 | ||||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||||
内容記述 | 膵臓は内胚葉由来の器官であり、ラットでは胎齢10.5日に、前腸の内胚葉細胞が増殖して膵芽から膵原基を形成する。膵原基には内分泌細胞・外分泌細胞の両者に分化しうる能力を持った前駆細胞が存在し、この前駆細胞から4種類の内分泌細胞(A、B、DおよびPP細胞)が分化すると考えられている。ラットにおいて、膵島A細胞は胎齢11日に、B細胞は12日に免疫組織学的に初めて検出される。膵島は胎齢が進むにつれて数と大きさが増加し、膵島細胞は胎生末期から飛躍的に増加し、その増殖率は出生直前が最大となり、生後28日まで成長が持続する。 Streptomyces achromogenesが産生するstreptozotocin(STZ)は、抗菌作用、抗腫瘍作用がある抗生物質として開発された。しかし糖尿病発症作用(Rakienten et al., 1963)、膵島障害作用(Rerup, 1970)があることが報告されて以来、実験糖尿病誘発物質として糖尿病に関する研究に多用されている。STZによる膵島B細胞の傷害は不可逆的なものであり、損傷を受けたB細胞はほとんど再生しないとされている。しかしながら、周生期のラットを用いてSTZを作用させると、STZによって誘発された糖尿病が回復するという報告がある。 発生過程において多数の増殖因子が関与し、その働きについて明らかにされつつあるが、膵内分泌部においても前駆細胞に作用する因子として様々なfactorが想定されている。 そこで本研究では、膵臓の発達もしくは膵臓B細胞の分化・増殖に何らかの役割を果たしていると考えられているEpidermal growth factor (EGF)、BetacellulinおよびActivin Aがin vitroにおいて膵島B細胞の分化・増殖に及ぼす作用について検討した。 第一章では、胎生期膵島におけるSTZが誘発する膵島B細胞障害からの可逆的な回復の可能性を検討するために、STZをラット胎子に皮下投与した後の胎子血漿中におけるinsulin濃度の変化と免疫組織化学的観察を行った。 STZを投与した胎子の体重および膵臓重量は、STZを投与していない重量とほぼ同量であった。このことは本章で用いたSTZの投与量(400μg/g胎子体重)は、胎子体重および膵臓重量の増加に影響を及ぼさない量であることが確認された。胎子血漿中insulin濃度は、STZ投与後12時間には低くなった。しかし投与後24時間において、STZを投与した胎子の血漿中insulin濃度は回復していた。STZを投与した胎子のinsulin細胞総体積は、投与後3時間で著しく低下していたが、投与後6時間以降次第に増加していた。 以上の結果から、STZ投与によって引き起こされた胎子膵島B細胞の損傷は、回復することが明らかとなった。 第二章では、in vitroにおいてもSTZがラット胎子膵島B細胞に対して障害を及ぼすか、またその後にB細胞は回復するかどうか調べた。 胎齢18日ラット膵臓をSTZを添加した培養液で器官培養し、膵島B細胞に損傷を与え、それ以降、96時間培養し、B細胞の形態学的な変化および培養液へのinsulin放出量の変化を観察した。STZを添加して胎子膵臓を培養すると、in vivoと同様、ほとんど全ての膵島B細胞は変性し、培養液にinsulinはほとんど存在していなかった。さらに48時間培養すると、insulin放出量はそれまでの量と比較して統計学的に有意に増加し、また、insulin陽性細胞の総体積も増加した。 以上の結果から、第一章において明らかとなったin vivoでの、STZ処理によって引き起こされた膵島B細胞の損傷の回復は、in vitroにおいても実証された。 第三章では、Epidermal growth factor、BetacellulinおよびActivin Aの培養液への添加が膵島B細胞の新生と分化に及ぼす影響を生理学的および形態学的に検討した。 In vitroにおいて、正常な胎子膵臓のinsulin放出に対して、EGFは抑制的に、BetacellulinおよびActivin Aは促進的に作用することが明らかとなった。しかしながら、STZ処理後の膵臓に対しては、BetacellulinおよびActivin Aはinsulin放出に対する促進的に作用を示さなかった。 In vitroの正常な膵臓に対してEGFは、細胞分裂促進作用を有していたが、膵島B細胞総体積を増加させなかった。STZ処理後の膵臓に対しても細胞分裂指数を増加させたことから、EGFは、膵島B細胞の増殖に対しては促進作用を持つが、分化誘導作用は持たないことが示唆された。 BetacellulinおよびActivin Aは正常な膵臓に対して、細胞分裂指数を減少させ、膵島B細胞総体積を増加させた。したがって、BatacellulinおよびActivin Aは膵島B細胞分化誘導作用を持つことが示唆された。STZ処理後の膵臓に対しては、BetacellulinおよびActivin Aはinsulin放出に対する促進的な作用を示さなかった。しかし、膵臓内のB細胞体積の割合を増加させたことから、未分化な細胞あるいは分化途中の細胞の分化促進効果を有することが示唆された。さらにActivin Aの細胞増殖に対する抑制効果が低下したことから、Activin Aは胎子膵島の分化に重要な役割を担っていることが示唆された。以上、本研究の結果から、 (1) ラット胎子に直接streptozotocinを投与することによって引き起こされた胎子膵島B細胞の損傷は、回復することが明らかとなった。 (2) ln vivoにおいて、streptozotocin処理によって引き起こされた胎子膵臓におけるB細胞の損傷からの回復は、in vitroにおいても実証され、新たに出現した膵島B細胞の起源は、分泌管細胞であることが示唆された。 (3) In vitroにおいて、正常な胎子膵臓のinsulin放出に対して、Epidermal growth factorは抑制的に、BetacellulinおよびActivin Aは促進的に作用すること、しかしながら、3種の増殖因子はstreptozotocinにより障害を受けた胎子膵島B細胞のinsulin放出に対しては促進的な作用を持たないことが示唆された。 (4) In vitroの胎子膵臓に対して、EGFは細胞増殖を促進し、胎子膵島B細胞の分化は抑制し、streptozotocin処理後の胎子膵臓に対しても同様の作用を有することが示唆された。 (5) In vitroの胎子膵臓に対して、Betacellulinは細胞増殖を抑制し、胎子膵島B細胞の分化を強く促進し、streptozotocin処理後の胎子膵臓に対しても同様の作用を有するが、細胞増殖に関してはさらに強い抑制作用を示すことが示唆された。 (6) In vitroの胎子膵臓に対して、Activin AはBetacellulinと同じ作用を有しているが、streptozotocin処理後の胎子膵臓の細胞増殖に対してはほとんど抑制作用を有していないことが示唆された。 |
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学位名 | ||||||||
学位名 | 博士(獣医学) | |||||||
学位授与機関 | ||||||||
学位授与機関名 | 麻布大学 | |||||||
学位授与年月日 | ||||||||
学位授与年月日 | 2002-03-15 | |||||||
学位授与番号 | ||||||||
学位授与番号 | 甲第 95号 | |||||||
著者版フラグ | ||||||||
出版タイプ | AM | |||||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa |