@misc{oai:az.repo.nii.ac.jp:00003136, author = {小野, 啓}, month = {2013-06-20, 2014-08-18}, note = {In this study the relation of lens induced uveitis and change of the anteroir lens capsules were examined. The first experiment: The surface conditions and thickness of anteroir lens capsules in eleven surgical cases of canine cataracts or lens dislocations were examined by a scan electron microscope. Protein deposits on the lens capsules of all cases were observed, but no deposit was done in the healthy dogs. There were a lot of deposits on the lens capsules in three of eight cataract cases and in two of three lens dislocation cases. The morphological appearance of protein deposits was seen like threads, points, or networks. The ciliary injection was clear at the first medical examination in six cases, and a lot of protein deposits on the lens capsules was observed in those cases too. The cases of cataracts and lens locations showed significant possitive corelationship between the thickness of anterior lens capsules and the age when they had a surgery. Therefore, this results strongly suggested possibility of relation to the lens-induced uveitis. The second experiment: To evaluate the correlation of lens induced uveitis and deposit on anterior lens capsule , I investigated the rabbit uveitis morphologically and immunologically. Rabbit lens was extracted and made lens soluble protein. I compared self lens induced uveitis group that was immunized by lens solble proteins in subcutaness injection and vitreous injection and other groups. I analyzed lens immunogenisty, anti-lens antibody and protein levels of aqueous humor. The anterior lens capsule were examined by scanning electron microscopy(SEM) and the tissue was examined in the hematoxylin eosin(H.E.) stain. Anti self lens antibody expressed against α, β_H, γ-crystallin in immunized rabbit. Uveitis and anterior lens capsule covered by the network shape deposit was observed self lens induced uveitis group, but protein levels of aqueous humor wasn't significant compare to other groups. Expression of self lens induced uveitis and anterior lens capsule covered by the network shape deposit was temporary, and it might be caused by the participation of lens protein which is a not-self and immunological privilege site in rabbit eye. Conclusion: The protein deposits on the lens capsules show lens induced uveitis. The observation of the lens capsules become one method of understanding for the cataract and lens induced uveitis in dogs. The treatment with the existence of lens induced uveitis in mind is considered to be necessary in the case of cataract surgeries for dogs., イヌの白内障手術では嚢外手術または超音波乳化吸引術の術式が最もよく用いられている。いずれの術式も水晶体物質の除去前に水晶体前嚢切開を行わなければならない。水晶体の前嚢切開は前嚢切開剪刀、チストトームなどによって行われ、水晶体の娩出または粉砕にとって重要な操作である。前嚢切開時における網膜剥離、硝子体ヘルニアやぶどう膜炎などの合併症を防止するには、白内障手術に関連する水晶体前嚢を把握する必要があると考えられた。またイヌの白内障手術のほとんどは視覚障害を伴う重度の白内障で実施されることから、白内障に起因したぶどう膜炎によって前房に遊出された蛋白が摘出水晶体前嚢に付着するものと考えられた。しかし、こういった水晶体前嚢付着蛋白に関する報告はほとんどみられない。  本論文は、白内障に関連する水晶体前嚢付着蛋白の発生とその機序を検討する目的で、イヌの白内障および水晶体脱臼の手術症例における水晶体前嚢の観察と臨床所見との関連について調べ、ついでウサギを用いて白内障に起因したぶどう膜炎と水晶体前嚢付着蛋白との関連について調べた。 1. イヌの白内障症例および水晶体脱臼症例における水晶体前嚢と臨床所見  イヌの白内障と水晶体前方脱臼の手術症例眼11眼を用いて摘出した水晶体前嚢の表面および厚さを走査電子顕微鏡を用いて観察した。また対照として健常ビーグル犬(3歳齢)3頭5眼を供試した。術前検査として一般身体検査のほか、瞳孔の対光反射試験、細隙灯生体顕微鏡検査等の眼科検査を行った。手術の術式として、白内障では超音波乳化吸引術を、水晶体脱臼では嚢内摘出術を実施した。  初診時の眼検査所見では、白内障症例のうち両側性白内障が7例で片側白内障が1例であった。前部ぶどう膜炎を伴う白内障症例は4症例でみられた。これらの4症例は片側または両側性の毛様充血を認めた他に、虹彩の肥厚や虹彩縁の不整などがみられた。他の白内障症例3例と水晶体脱臼症例3例でも毛様充血がみられた。眼圧上昇は症例すべてでみられなかった。  前房内構造物を調べたところ、房水フレアは全症例で観察されなかった。また初診から白内障手術時まで、フルオロメトロンやリン酸ベタメタゾンナトリウムの点眼やプレドニゾロンの内服とストレプトキナーゼ・ストレプトドルナーゼ製剤が処方された。そのため、手術眼に関して、初診時に毛様充血を示した9症例のうち5症例で改善がみられた。しかし、手術までに毛様充血の改善がみられなかった症例は4例あった。  前嚢の走査電顕観察所見では、蛋白付着は全11例でみられた。500倍での観察像では、糸状の蛋白付着が前嚢に散在してみられるもの、網状の蛋白付着が前嚢にみられるものや網状の蛋白付着が前嚢に重層してみられるものがあった。これらの蛋白付着は健常犬では全く認めない所見であった。蛋白付着程度と初診時の毛様充血の程度との関係を調べたところ、中等度または重度の毛様充血を示した6例はいずれも前嚢の蛋白付着程度が重度であった。  採取した前嚢中央部の厚さと手術時の年齢との間に、有意な正の相関がみられた(相関係数 r=0.886)。しかし、この相関関係は3歳の健常犬5眼の前嚢中央部の厚さ(40.94±2.33μm)と明らかに異なる分布を示した。  以上から、水晶体前嚢付着蛋白は初診時の毛様充血が重度であるにつれて増加し、前部ぶどう膜炎の程度を示す一指標と思われた。 2. ウサギ自己水晶体起因性ぶどう膜炎モデルを用いた水晶体前嚢付着蛋白の発現機序について  自己水晶体起因性ぶどう膜炎モデルは、水晶体嚢により胎生早期に隔離された水晶体蛋白が白内障の発症などを契機に異物として免疫系に暴露されることで起こるぶどう膜炎とする説に基づきモデルを作成した。すなわち、10週齢の雌ウサギ(日本白色種、J1a:JW)を用いて、まず右眼の自己水晶体を摘出して水晶体可溶性蛋白を調製し、その蛋白の一部(10mg)をフロイント完全アジュバンドと共に指掌または足掌に注射し感作を行い、ついでその2週後に調製蛋白の一部(1mg)をさらに硝子体に注入してぶどう膜炎を誘発させた(水晶体起因性ぶどう膜炎モデル群、n=5)。対照として、自己水晶体可溶性蛋白を感作し、その2週後に生理食塩水0.05mlを左眼硝子体に注射した群を自己水晶体免疫群(n=4)、右眼水晶体摘出4週後に自己水晶体可溶性蛋白1mgを左眼硝子体に注射した群を自己水晶体硝子体内注射群(n=9)、右眼水晶体摘出4週後に、生理食塩水0.05mlを左眼硝子体に注射した群を対照群(n=4)とした。 2-1. 水晶体可溶性蛋白に対する抗体価の推移  水晶体可溶性蛋白に対する抗体価の推移をELISA法で調べたところ、自己水晶体可溶性蛋白に対する抗体価は自己水晶体起因性ぶどう膜炎モデル群および自己水晶体免疫群で、免疫2週後より上昇した。自己水晶体硝子体内注射群および対照群では抗体価の上昇がみられなかった。 2-2. 水晶体可溶性蛋白に対する抗体の特性  産生抗体の特性では、水晶体可溶性蛋白をセファロースCL-6Bでクリスタリン蛋白を溶出精製し、各クリスタリンをSDS-PAGEで泳動した後、免疫ブロッティング法で抗体の特性を調べたところ、水晶体に対する抗体はαA、β_H、γ-クリスタリン分画蛋白に対するものであった。これらの抗体に対する抗原はそれぞれαA-クリスタリンの分子量24.9kDa、β_H-クリスタリンの分子量38.7kDa、γ-クリスタリンの分子量25.9kDaの蛋白で検出された。 2-3. 眼球の組織学的検索と房水蛋白濃度  硝子体注入1週後に剖検を実施し、左眼におけるHE染色標本による組織学的検索を行った。また剖検時の房水蛋白濃度はMicro-BCA法で測定した。水晶体起因性ぶどう膜炎モデル群は、他の群に比べて、虹彩の肥厚や網膜での神経節細胞の消失と内顆粒層の減少が認められ、眼内炎症の痕跡が強く疑われた。房水蛋白濃度における群間の違いはみられなかった。 2-4. 走査電子顕微鏡による前嚢付着蛋白の観察  自己水晶体起因性ぶどう膜炎モデル群における水晶体前嚢表面の沈着物の程度は全個体で重度でみられ、沈着物は網状に重層して観察された。自己水晶体硝子体内注射群では沈着物の程度は軽度にみられ、沈着物は網状および糸状に観察された。自己水晶体免疫群および対照群では水晶体前嚢表面に沈着物は観察されなかった。  以上から、水晶体前嚢付着蛋白は一側眼から得た自己水晶体可溶性蛋白で免疫し、かつ硝子体に注入した自己水晶体起因性ぶどう膜炎モデルで顕著に観察された。免疫時に産生された抗体はαA-、β_H及びγ-クリスタリンに対する抗体であった。  本研究は、イヌの白内障および水晶体脱臼症例における水晶体前嚢表面を走査電子顕微鏡で観察した最初の報告であり、症例の初診時での毛様充血の程度に比例して水晶体前嚢付着蛋白量の増加が示された。この前嚢付着蛋白は前部ぶどう膜炎に起因することが強く示唆された。さらにこの炎症と水晶体可溶性蛋白との関係について、ウサギを用いた水晶体前嚢表面の観察で調べたところ、前嚢付着蛋白は自己水晶体可溶性蛋白で誘発されたぶどう膜炎で顕著に観察された。以上のことから、白内障症例でみられる水晶体前嚢付着蛋白は水晶体起因性ぶどう膜炎に起因して発現することが示された。}, title = {自己水晶体で誘発された水晶体起因性ぶどう膜炎と前嚢付着蛋白に関する研究}, year = {} }