{"created":"2023-06-19T07:18:00.631806+00:00","id":3135,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"83b7033f-0b55-4370-8277-e7fe8ab71331"},"_deposit":{"created_by":4,"id":"3135","owners":[4],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3135"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:00003135","sets":["370:15:391"]},"author_link":["16134"],"item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"1982-03-20"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"獣医学博士"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"反芻胃内における繊毛虫類の存在が血漿遊離アミノ酸(以下PAAと略記)濃度を減少させることは、Klopfenstein等(1966)、Purser等(1966)、板橋等(1976, 1979)によって明らかにされている。その要因として、上記研究者等が考察した内容《Lys または、ある種のアミノ酸が制限因子となるため、反芻胃内揮発性脂肪酸(以下VFAと略記)に由来するエネルギー源の差》だけでは、繊毛虫の有無によるPAA濃度の相違を説明することが不十分であると考えられる。著者は、上記研究者等が考察した要因のほかに、繊毛虫体に何等かの物質が存在し、この物質の作用によってPAA濃度が減少しているのではないかと考えた。\n 本論文は、PAA濃度と同一と認められる測定の簡易な血漿遊離アミノ態窒素(以下PANと略記)濃度を用いて、繊毛虫体がヤギのPAN濃度を減少させる機能を有するか、否かの検討を目的として行なった研究の結果を述べたものである。\n\nI. 方法および材料\n1. 供試動物には、ヤギ4頭(在来種、去勢雄、5~8才)および小型ヤギ4頭(シバヤギ、去勢雄、1才)を用い、常法により飼養管理した。反芻胃内繊毛虫の除去はDioctyl soduim sulfosuccinate(Aeroso1-OT)溶液を経口投与して行ないその後は他の動物との接触を避けて飼養した。\n ラットはSD系、雄、体重約400gおよび360~380gのものをそれぞれ14匹ずつ用い、常法により飼養管理した。\n\n2. 研究の過程で繊毛虫体をラットに給与して、同一のラットのPAN濃度を経時的に測定する必要性が考えられたので、保定器を考案作製してラットの無麻酔尾静脈および頸静脈穿刺採血法を確定した。\n\n3. アミノ酸の定量に最も広く用いられているニンヒドリン比色法を応用して、血漿の吸光度から血漿尿素態窒素(以下PUNと略記)による吸光度を差し引くことにより、PAN濃度を測定する方法(原法)を確定した。さらに家畜の臨床にも応用できるように迅速化、簡易化を試みて、改良法を確定した。つづいて改良法は、ラットなどの小実験動物のPAN濃度測定に使用できるように微量化を試みて微量定量法を確定した。\n\n4. 研究に必要な大量の繊毛虫体は、屠殺ウシの反芻胃内容物から分離採集した。\n 採集法Iでは、ウシ114頭の反芻胃内容液2,610.6lから37.7kgの繊毛虫体を採集し、真空凍結乾燥して6.4kgの乾燥繊毛虫(以下DPと略記)を得た。採集法IIでは、ウシ42頭の反芻胃内容液1,205.4lから13.1kgの繊毛虫体を採集し凍結繊毛虫(以下FPと略記)を得た。採集した繊毛虫体の一般成分含量は既報とほぼ一致した。\n\nII. 反芻胃内繊毛虫類の有無および乾燥反芻胃内繊毛虫の給与がヤギの血漿遊離アミノ態窒素濃度に与える影響\n1. ヤギ4頭(在来種、去勢雄、5~8才)を用いて、繊毛虫の有無およびDPの給与がヤギのPAN濃度に与える影響を検討した結果、無繊毛虫(以下DFと略記)ヤギのPAN濃度は、有繊毛虫(以下Fと略記)ヤギより20~27%増加した。その後、DFのPAN濃度は約18ケ月間常にFヤギより高い値を維持していたが、繊毛虫を移植したヤギ(Fヤギ)のPAN濃度は、移植前のDFの値より2~13%減少した。\n 給与窒素量の8, 12%相当量のDP給与時のPAN濃度は、4頭中2頭がDP給与前より6~8%減少したが、他の2頭の変動は認められなかった。12%DP給与後のPAN濃度は、全個体とも8, 12%DP給与時より4~9%増加した。\n 8%DP給与時のPAA濃度は、全個体ともDP給与前より10~20%減少したが、DP給与による血漿Lys濃度の増加は認められなかった。\n 全卵粉(以下WEと略記)給与時のPAN濃度は、いずれの場合もWE給与前後の値とほぼ等しく、変動は認められなかった。\n PUN濃度およびPUN/PAN濃度比は、DFよりFヤギ、DPおよびWE給与DFの値は、それぞれDPおよびWE給与DFヤギの方が高い値を示した。\n\n2. 小型ヤギ4頭(シバヤギ、去勢雄、1才)を用いて、前述の結果の検討を試みた結果、DFのPAN濃度およびPAA濃度は、Fよりそれぞれ4~7%、9~20%増加した。DFの個々のアミノ酸濃度は、FよりGlu(約1/3に減少)、Ala、Argが減少し、Cit(5~12倍に増加)、Val、Ile、Ornが増加したが、Lysの変動は認められなかった。\n つづいて前述のヤギ4頭を2頭ずつ2グループに分けてFPおよびWEの反転給与試験を試みた結果、FP給与によるPAN濃度、PAA濃度、血漿Lys濃度およびWE給与によるPAN濃度の変動は特に認められなかったが、FP給与後のPAN濃度は、FP給与時より増加し、この点は先の実験結果と一致した。\n DFヤギのPAN濃度は、約10ケ月間常にFヤギより高い濃度を維持していたが、繊毛虫を移植したヤギ(Fヤギ)のPAN濃度は、移植前のDFの値より8~17%減少し、再び繊毛虫を除去すると、除去前のFの値より6~13%増加した。\n 次に、飼料の給与量を10%増加したが、DFのPAN濃度の変動は認められなかった。\n PUN濃度およびPUN/PAN濃度比は、先の結果とほぼ一致した。\n\nIII. プロピオン酸の給与がヤギの血漿遊離アミノ態窒素濃度に与える影響\n1. 飼料摂取後、2時間の反芻胃内プロピオン酸(以下C_3と略記)濃度より全反芻胃内C_3量を推定し、それぞれ5、10、15、20、25%相当量のC_3を給与した結果、摂取後2時間の反手胃内C_3モル%は、いずれの場合もC_3無給与時より約10%増加した。\n\n2. 既報に示された繊毛虫の有無時における反芻胃内C_3モル%の差を参考に、推定C_3供給エネルギー量の10%増加相当量のC_3をDFヤギに給与した結果、C_3給与時の摂取後2時間の反芻胃内VFAおよびC_3濃度は、C_3無給与時の値よりそれぞれ約0.5、0.4~1.0mM/100ml増加したが、C_3給与時のPAN濃度、PUN濃度、PUN/PAN濃度比は、C_3無給与時のそれらの値とほぼ等しく、C_3給与によるPAN濃度の減少は認められなかった。\n C_3給与後、直ちに繊毛虫を移植した結果、移植されたヤギ(Fヤギ)の反芻胃内VFA濃度は、C_3給与時の値とほぼ等しかったが、反芻胃内C_3濃度は、C_3給与時の値より0.7mM/100ml減少した。\n FヤギのPAN濃度は、C_3給与時の値より3~13%減少し、PUN濃度はC_3給与時の値よりやや増加した。\n\nIV. 凍結反芻胃内繊毛虫類の給与がラットの尾静脈および頸静脈血漿遊離アミノ態窒素濃度に与える影響\n1. 体重約400g、日齢約150日、SD系雄ラット14匹(対照区7匹、試験区7匹)を用いて、FP給与(給与粗蛋白質量の20%相当給与)がラットの尾静脈PAN濃度を減少させるか否かを検討した結果、FPを給与した試験区II期の尾静脈PAN、PUN濃度は、FPを給与しない同区のI・III期、対照区のII期の値よりそれぞれ8~11%、10~22%減少した。\n\n2. さらに前述の結果を再検討するため、体重360~380g、日齢約70日、SD系雄ラット14匹(対照区7匹、試験区7匹)を用いて、FP給与(給与純蛋白質量の20%相当給与)がラットの頸静脈PAN濃度を減少させるか否か検討した結果、FP給与による頸静脈PAN濃度、PAA濃度の減少は認められず、先の結果を再確認できなかった。試験区II期(FP給与期)のPUN濃度は、FPを給与しない試験区I期、対照区II期の値より9~14%減少し、この点は先の結果を再確認した。\n\nV. 結論\n前述の研究結果より、次のような結論が得られた。\n1. ニンヒドリン法によるPAN濃度測定の改良法および微量定量法は、家畜や小実験動物のPAN濃度測定に十分利用できると考えられる。\n2. 無麻酔穿刺採血法によって、経時的に頸静脈血を採取することが可能である。この方法は種々の研究に利用できると考えられる。\n3. 屠殺ウシから大量の繊毛虫体を採集する方法を開発した。この方法は繊毛虫体に関する他の研究目的に応用できると考えられる。\n4. FヤギのPAN濃度はDFヤギより明らかに減少していることが確定された。\n5. DP給与時のDFヤギのPAN濃度、PAA濃度はDP給与前の値より減少したが、FP給与の再実験では、この結果を再確認できなかった。また、FP給与時のラットの尾静脈PAN濃度はFP給与前の値より減少したが、頸静脈PAN濃度はFP給与によって減少せず、尾静脈血の結果を再実験によって確認できなかった。\n6. DP、FP給与後のDFヤギのPAN濃度およびFP給与後のラットの尾静脈PAN濃度は、それぞれの給与時の値より増加することが認められた。\n7. DFヤギの血漿Lys濃度は、Fヤギの値とほぼ等しく、減少が認められなかった。また、DP、FP給与時の値は、DP、FP給与前の値とほぼ等しいか、やや減少し、DP、FP給与による血漿Lys濃度の増加は認められなかった。\n8. 飼料給与量の10%増加およびC_3給与時のPAN濃度は、10%増加前およびC_3給与前の値とほぼ等しく、変動が認められなかった。\n9. 繊毛虫の有無によるPAN濃度の相違は、本実験の範囲内ではヤギに供給される蛋白質、Lys、エネルギーの量的変化(蛋白質では質的変化を含む)と直接的関係は認められなかったことより、FヤギのPAN濃度の減少は、繊毛虫体に存在する物質がホルモン様物質として、またはホルモンを介して代謝調節に影響を与えたことによるものと推測された。\n10. 今後、当面の研究課題は繊毛虫体の給与実験における再現性の検討、特にラットにおける再現性の検討であろう。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第35号"}]},"item_10006_version_type_18":{"attribute_name":"著者版フラグ","attribute_value_mlt":[{"subitem_version_resource":"http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa","subitem_version_type":"AM"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"萩森, 一郎"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"16134","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_files":{"attribute_name":"ファイル情報","attribute_type":"file","attribute_value_mlt":[{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2013-01-29"}],"displaytype":"detail","filename":"diss_dv_kou0035_1.pdf","filesize":[{"value":"74.9 MB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_note","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"diss_dv_kou0035_1","url":"https://az.repo.nii.ac.jp/record/3135/files/diss_dv_kou0035_1.pdf"},"version_id":"3714f167-ed4e-43e5-894f-20dd305721db"},{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2013-06-17"}],"displaytype":"detail","filename":"diss_dv_kou0035_2.pdf","filesize":[{"value":"6.4 MB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_note","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"diss_dv_kou0035_2","url":"https://az.repo.nii.ac.jp/record/3135/files/diss_dv_kou0035_2.pdf"},"version_id":"ef911c2c-21ff-4cfb-aa67-a6f79cb9dab1"},{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2014-08-18"}],"displaytype":"detail","filename":"diss_dv_kou0035_jab&rev.pdf","filesize":[{"value":"436.9 kB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_note","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"diss_dv_kou0035_jab&rev","url":"https://az.repo.nii.ac.jp/record/3135/files/diss_dv_kou0035_jab&rev.pdf"},"version_id":"46adca07-ba4e-4af4-aad4-10089a50fb06"},{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2013-06-17"}],"displaytype":"detail","filename":"diss_dv_kou0035_jab.pdf","filesize":[{"value":"218.1 kB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_note","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"diss_dv_kou0035_jab","url":"https://az.repo.nii.ac.jp/record/3135/files/diss_dv_kou0035_jab.pdf"},"version_id":"dc578e68-a4d8-42c8-bff2-a76041012196"}]},"item_language":{"attribute_name":"言語","attribute_value_mlt":[{"subitem_language":"jpn"}]},"item_resource_type":{"attribute_name":"資源タイプ","attribute_value_mlt":[{"resourcetype":"thesis","resourceuri":"http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec"}]},"item_title":"反芻胃内繊毛虫類の有無がヤギの血漿遊離アミノ態窒素濃度に与える影響","item_titles":{"attribute_name":"タイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_title":"反芻胃内繊毛虫類の有無がヤギの血漿遊離アミノ態窒素濃度に与える影響"}]},"item_type_id":"10006","owner":"4","path":["391"],"pubdate":{"attribute_name":"公開日","attribute_value":"2012-12-27"},"publish_date":"2012-12-27","publish_status":"0","recid":"3135","relation_version_is_last":true,"title":["反芻胃内繊毛虫類の有無がヤギの血漿遊離アミノ態窒素濃度に与える影響"],"weko_creator_id":"4","weko_shared_id":4},"updated":"2023-06-19T07:38:33.519378+00:00"}