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  1. 著者
  2. O
  3. 大下 諒
  1. 学位論文
  2. 獣医学専攻
  3. 博士論文(甲)

犬の短頭種気道症候群の治療標準化を目的とした新規定量的病態評価法の確立

https://az.repo.nii.ac.jp/records/2000432
https://az.repo.nii.ac.jp/records/2000432
12d8befa-ee0a-43f3-8fbc-4f9c97467979
名前 / ファイル ライセンス アクション
diss_dv_kou186_jab&rev.pdf diss_dv_kou186_jab&rev.pdf (223 KB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2025-07-23
タイトル
タイトル 犬の短頭種気道症候群の治療標準化を目的とした新規定量的病態評価法の確立
言語 ja
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ doctoral thesis
アクセス権
アクセス権 open access
アクセス権URI http://purl.org/coar/access_right/c_abf2
著者 大下, 諒

× 大下, 諒

ja 大下, 諒

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抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 パグやフレンチ・ブルドッグ、ペキニーズなどの短頭⽝種は、選択的交配により短い顔面頭蓋など特徴的な解剖学的構造を有する結果として、上部気道閉塞を主訴とする短頭種気道症候群(Brachycephalic Airway Syndrome:BAS)を発症しやすいことが知られている。BAS は鼻腔や咽頭、喉頭、気管から構成される上部気道の閉塞を引き起こす進行性の病態であり、外鼻孔の狭窄や過剰な軟口蓋などの解剖学的異常に起因する。これらの一次病変を放置すると、咽頭や喉頭の虚脱といった二次病変が不可逆的に進行し治療が困難となるだけでなく、上部消化管や肺にも影響を及ぼし、長期的に生活の質が低下する可能性がある。こうした状況に対処するため外鼻孔拡大術や軟口蓋切除術などの外科的手法が実施され、術後に多くの症例で症状の改善が確認されている。しかしどの解剖学的異常がどの程度気道閉塞に関与しているかを特定することが困難であるため、症例ごとに最適な術式の選定が困難であり、標準的な治療法の確立には至っていない。また重症度や治療効果の客観的指標が存在しないため、評価は主観的な要素に依存しており、治療標準化の障害となっている。このような背景から本研究ではBASの治療の標準化に向け、客観的かつ定量的な病態評価法の確立を目的とした。そこで上部気道を構成する解剖学的構造のうち、第1章および第2章では吻側の鼻腔、第3章および第4章では尾側の咽頭と軟口蓋にそれぞれ着目し研究を行なった。

第1章 コンピューター断層画像による短頭犬種の鼻腔内構造の比較
短頭犬種は顔面頭蓋の短縮によって生じた鼻腔内の構造異常が気道閉塞に関与していると考えられているが、これを定量化する方法は限られている。本章では鼻腔の総断面積に対する気道面積比(The ratio of the airway cross-sectional area to the total nasal cavity area: AA/NC 比)の測定が犬の鼻腔内構造の定量的評価法として使用し、複数の短頭犬種間の鼻腔内構造に違いがあるかを検証した。また犬の頭蓋骨形状を表す値とAA/NC比の相関を調査し、頭蓋形状が鼻腔内構造の測定に与える影響について考察した。

【材料と方法】
50 頭の短頭犬種(パグ:20頭、フレンチ・ブルドッグ:20頭、シー・ズー:10頭)の頭部コンピューター断層(Computed Tomography: CT)画像を使用した。第一切歯レベル、犬歯レベル、硬口蓋水平板レベル、眼窩下孔レベルの4つの断面における略AA/NC比を求め、犬種間で比較した。また頭蓋指数 (Skull Index: SI), 顔面頭蓋指数 (Facial Index: FI), 脳顔面頭蓋角(Craniofacial Angle: CFA)を算出し、CT画像上で指定した断面におけるAA/NC比との相関を求めた。

【結果】
第一切歯および犬歯レベルのAA/NC比はシー・ズーがフレンチ・ブルドッグおよびパグよりも有意に大きく、眼窩下孔レベルのAA/NC比はフレンチ・ブルドッグがシー・ズーおよびパグよりも有意に大きかった(P < 0.05)。またパグにおいて眼窩下孔レベルでのAA/NC比とCFAの間に正の相関がみられたが、その他の頭蓋形状指数とAA/NC比の間に相関はみられなかった。

【考察】
犬の鼻腔内構造は頭部CT横断像により得られたAA/NC比を用いて面積が狭い箇所は短頭犬種間で異なることが示された。また頭蓋骨の 形状とAA/NC比との関連性はわずかだった。よって犬種間におけるBASへの治療反応の差は鼻腔内における気道の狭窄箇所の違いに起因する可能性が考えられた。
※本章の結果はOshita, R., Katayose, S., Kanai, E., Takagi, S.: Assessment of Nasal Structure Using CT Imaging of Brachycephalic Dog Breeds. Animals (Basel), 12(13):1636, 2022 Jun 25 として発表した。

第2章 3Dプリンターモデルを用いた犬の鼻腔内通気度における客観的評価
第1章において、鼻腔内構造の違いがBASにおける臨床徴候の重症化に強く関連していると考えられた。そのため実際の症例における治療では、鼻腔内で最も気道抵抗が大きい部位を外科的に切除し、気道を拡大することが⼀定の治療効果をもたらすと考えられるが、鼻腔内の通気度や気道抵抗を定量化するための方法は確立されていない。本章ではBASに対する外科的治療を行なったフレンチ・ブルドッグの術前および術後頭部モデルを3Dプリンターで作成し風洞実験を行うことで、鼻腔内通気度と手術による改善を定量化できるか検討した。
【材料と方法】
BASの精査および治療を目的に麻布大学附属動物病院を受診し、腹側鼻甲介の⼀部を外科的に切除したフレンチ・ブルドッグ(6歳、去勢雄)のCT画像をもとに、3Dプリンターで術前、術後の頭部モデルを作成した。頭部モデルを含めた風洞装置を作成し、内部の流体の持つ圧力を測定することで流速を求め、術前および術後で比較した。

【結果】
風洞装置の内部における流速の平均値は術前モデルで3.59m/s、術後モデルで3.61m/sだった。よって術後モデルでわずかな流速の増加がみられたが、統計解析の結果では手術の前後で有意差はなかった。

【考察】
3Dプリンターで作成した頭部モデルは実際の症例の鼻腔内構造が一定の精度で反映され、現時点では実験段階であるものの犬の鼻腔内通気度を評価する有用なツールの1つである可能性が考えられた。しかし術前後の流速に統計学的有意差は認められず、気道表面の材質や詳細な骨構造の再現などモデルの精度に関する検討、流体力学的シミュレーションを利用した包括的な解析が必要だと考えられた。

第3章 犬の軟口蓋の変形に関する定量的測定法の検討
本章では上部気道の尾側に位置する咽頭および軟口蓋に着目した。短頭犬種の軟口蓋は先天的もしくは後天的に肥厚・伸長し、呼吸運動に伴って動的に咽頭を閉塞させることが知られているが、この現象を軟口蓋の変形に着目して定量化した報告はない。このような背景から本章では、X線連続透視装置を用いて犬の咽頭構造の変形を定量化することを試みた。そこで正常ビーグル犬と、軟口蓋の異常による呼吸器症状を呈しやすい犬種で各呼吸相における軟口蓋面積および咽頭面積の変化を X 線連続透視画像で比較した。

【材料と方法】
短頭犬2犬種 (フレンチ・ブルドッグ、チワワ)と対照群(ビーグル)の側方より撮影した頭部 X 線連続透視画像を前向きに収集し、吸気および呼気における軟口蓋および咽頭空間の面積を測定した。その後、咽頭空間における軟口蓋占有率および咽頭空間面積率を算出し、呼吸による変化率を犬種間で比較した。

【結果】
全犬種で吸気時における軟口蓋面積の有意な増加が見られた(P<0.05)。また吸気時における軟口蓋占有率の有意な増加および咽頭空間面積率の有意な減少が見られた(P<0.05)。この現象は短頭犬種において顕著に観察された。

【考察】
短頭犬種で観察される軟口蓋による咽頭の動的な狭窄は、吸気時に軟口蓋が膨張することで発生する可能性が示唆された。面積変化に着目した軟口蓋の変形の定量化は、犬の上部気道閉塞の病態評価に有用である可能性がある。

第4章 上部気道拡大手術が軟口蓋および咽頭構造の定量化に与える影響
第3章より呼吸による軟口蓋の膨張を抑制することは上部気道閉塞の改善につながると考えられる。気道閉塞を起こす軟口蓋の異常に対しては軟口蓋切除術が適応となる場合が多いが、手術が軟口蓋の変形に与える影響は不明である。本章では上部気道拡大手術が軟口蓋および咽頭の面積変化に与える影響を調査した。

【材料と方法】
軟口蓋切除術を含む上部気道拡大手術を受けた犬11頭(チワワ:1頭、ブルドッグ:1頭、フレンチ・ブルドッグ:9頭)の頭部X線透視画像を術前後で撮影した。第3章で定義した軟口蓋占有率、咽頭空間面積率をそれぞれ求め、呼吸による変化率を術前後で比較した。

【結果】
11 頭の対象犬すべてで術後の主観的重症度グレードが改善した。軟口蓋占有率および咽頭空間面積率の呼吸による変化率は術後で有意に減少した(P<0.05)。

【考察】
上部気道の手術が軟口蓋の可動性を抑制し、咽頭閉塞を改善する可能性が示唆された。また面積変化に着目した軟口蓋の変形の定量化は上部気道の手術の治療効果判定に利用できる可能性がある。

本研究で開発および検討した定量的評価法はBASにおける病態理解を深め、重症度評価や治療効果判定における客観的指標として有用であることが期待される。また、今後さらに様々な年齢・重症度の症例を本評価法にて解析することによりどの犬が将来的に重症化しやすいかということや、治療効果の主観的評価法との比較検討を行うことで、より効率的なBAS治療法の確立が期待される。
学位名
学位名 博士(獣医学)
学位授与機関
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 32701
学位授与機関名 麻布大学
学位授与年月日
学位授与年月日 2025-03-13
学位授与番号
学位授与番号 甲第186号
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Ver.1 2025-07-23 03:37:49.189832
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