{"created":"2025-07-22T01:20:17.363058+00:00","id":2000431,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"10ab3fa1-f311-423b-b7ea-7fe0f5f986e8"},"_deposit":{"created_by":17,"id":"2000431","owner":"17","owners":[17],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"2000431"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:az.repo.nii.ac.jp:02000431","sets":["17:253:1753146669533","370:193:375"]},"author_link":[],"control_number":"2000431","item_10006_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2025-03-13"}]},"item_10006_degree_grantor_9":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"麻布大学"}],"subitem_degreegrantor_identifier":[{"subitem_degreegrantor_identifier_name":"32701","subitem_degreegrantor_identifier_scheme":"kakenhi"}]}]},"item_10006_degree_name_8":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(学術)"}]},"item_10006_description_7":{"attribute_name":"抄録","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"【背景・目的】\n人類にとって最古の伴侶動物であるイヌ(Canis familiaris)は、その家畜化過程で行動形質の変化を経験してきた。たとえば祖先型のオオカミ(Canis lupus)との比較認知研究を通じ、新奇恐怖の減弱や、新奇刺激に対する感受性の低下が示されてきた(Moretti et al., 2015; Wheat, van der Bijl, & Temrin, 2019)。しかしながら、家畜化過渡期の「イヌ」個体がヒト集団へ流入する際の形質変化については、依然として不明のままである。現在のイヌでは新奇刺激に対する反応性が減弱しているが、その家畜化過渡期においては祖先型のオオカミに見られるような強い内集団の繋がりがゆるみ(つまり既知物への反応性が低下し)、相対的に新たな外集団への探索傾向が強いような個体の選択があったと考える(仮説1)。のちにヒト集団へ定着すると、新奇刺激に対する感受性が低下するよう人為選択があり、イヌは多様な社会的存在と分け隔てなく相互作用することが可能になったと考えられる(仮説2)。このように家畜化には、ヒト集団へ動物が流入する際の自然選択と、積極的な人為選択の2段階が存在する。本研究では、イヌにおいて上記のような段階的変化があるかどうか検証するため、野生種のオオカミと、一般家庭犬のなかで家畜化の程度に差のある和犬種、欧米犬種を調査対象とし、3群間比較をおこなった。また、その基礎的認知能力から差異が存在するかどうか検証するため、物体刺激を用いた行動実験を考案した。\nまずは仮説1に依拠し、一般家庭犬において既知/新奇刺激の選好を調べる行動実験系を確立した(Shinoda et al., 2022 1)。また、一般的に家畜化された動物では、ストレス応答の指標であるコルチゾール(Corti)の分泌減少が見られ、イヌでも同様の変化が起きていることが予測されるものの、現状として結果は錯綜している(Wirobski et al., 2021)。そのため、研究1としてShinoda et al. の方法を一部改変した行動課題を実施し、イヌにおいてはその結果と尿中Corti濃度、ならびに個体の気質アンケートであるC-BARQスコアの相関解析を行った。また家畜化の影響を考慮するため、参加犬種についてオオカミからの遺伝的距離(Dutrow, Serpell, & Ostrander, 2022)と行動ならびに内分泌状態との相関解析を実施した。\nつぎに仮説2を検証するため、研究2として、新奇刺激についての学習形態に着目し、特に動物の概念形成に関わる機能的等価性の成立を、上記の3群間で比較した。機能的等価性は、同カテゴリに分類された一部の刺激の強化随伴性を変化させたとき、その変化が他の刺激に即座に及ぶことが確認できると、成立したと見なされる(実森・中島,2019)。この種の認知能力は動物にとって、新たに遭遇する刺激についての学習効率を上げるという重要な側面をもつ。また、このような学習は、相対的に新奇刺激が多く存在する環境や、そのような刺激の主観的明瞭度が高い状態で起こりやすいと考えられる。前述のとおり、家畜化における人為選択はイヌの新奇刺激への感受性を弱め、結果として新たな刺激同士の即座の連合や分類を生じさせづらくしたかもしれない。つまり、このような過程を減弱させることは、イヌが新奇物に対しなんらかの評価をくだしづらいことに繋がると考えられる。このような変化は、最終的にイヌにおいて、内外集団の区別をつけない「社会性」を高めるようはたらくと考えられる。したがって本研究では、恣意的なカテゴリ内の刺激群が等価性を獲得するかどうかについて、Wasserman et al.(1992)の手続きに倣った見本合わせ課題をイヌ・オオカミ用に考案し、この仮説を検証した。\n\n【研究1: 既知/新奇刺激に対する反応配分の検証】\n(方法)被験体は一般家庭犬45頭(オス26頭、平均68.7±41.8か月齢)とオオカミ2頭(いずれもメス、90か月齢)であった。行動実験は、訓練とテストの2フェイズからなる並立視覚弁別課題を実施した。訓練では被験体に2ペアの視覚刺激を弁別させ、基準に達した個体のみ、テストを2セッションおこなった。テストでは通常の訓練試行にくわえ、訓練でつねに強化された正刺激と新奇刺激をペアで呈示するプローブ試行を計6試行実施した(強化確率は両刺激ともに50 %)。プローブ試行における既知ならびに新奇刺激の選択数を記録した。また個体の新奇恐怖の程度について、テスト1セッション目までの選択反応潜時における中央値と、新奇刺激を呈示した1試行の反応潜時の差分とした。内分泌状態に関しては、3日間の朝一番に採取した尿サンプルについて、Corti濃度をELISA法にて測定し、その平均値およびSDを解析に使用した。この際、コルチゾール濃度の平均値をHPA軸活性の平均的基礎値、SDをその基礎値のばらつきの程度の指標とした。C-BARQスコアは、行動実験をおこなう前、被験体の飼い主がwebあるいは紙上で回答したものを用いた。\n(結果)オオカミにおいては、訓練フェイズで選択反応が起こらなくなったため、テストを実施しなかった。イヌにおいては19個体がテストに移行した。全プローブ114試行のうち78試行で既知刺激が選択され、これは新奇刺激の選択数より有意に多い値であった。しかしながら欧米犬種群では、選好が生じなかった1頭をのぞき全頭が既知刺激を選好した一方で、和犬種群では8頭中3頭が半分以上の試行で新奇刺激を選択した。また、尿中Corti濃度のSDはオオカミからの遺伝的距離と正の相関、新奇刺激選択数と負の相関を呈した。これらの結果は、現在投稿準備中2である。\n\n【研究2: 機能的等価性の成立の程度に関する検証】\n(方法)被験体は一般家庭犬7頭(平均70.9 ± 27.2か月齢、オス3頭)と、オオカミ5頭(84.2 ± 14.4か月齢、オス2頭)であった。訓練と逆転、テストの3フェイズからなる同時同一/非見本合わせ課題を2日に分けて実施した。概要として、1日目の訓練フェイズで、記号である複数の見本刺激に対し、それらが属するカテゴリにより異なる比較刺激(見本刺激と形が同一あるいは異なる刺激)へ反応させた。すべての見本刺激は、互いに物理的に乖離した形のものを選定した。2日目、前日学習した内容に関するリマインド試行を実施したのち、カテゴリ内の一部の刺激について上記の学習を逆転した(逆転フェイズ)。たとえば、訓練フェイズにおいて、見本刺激と同一の形の比較刺激がS+であった場合、いまや形の異なる刺激がS+になるよう学習を変更した。最後にテストフェイズにおいて、直接的に逆転学習を受けなかった見本刺激を呈示し、それらと同カテゴリに属する刺激に関する学習の変更が般化(機能的等価性が成立)するかどうか観察した。\n(結果)実験に参加した全ての個体においてテストを実施した。課題の理解度に関して、リマインド試行の正反応率を指標としたが、全頭の成績はチャンスレベルと有意差がなかった。しかしながら個体別に確認すると、オオカミ、和犬種群のうちそれぞれ1頭ずつが100 %の正反応率を呈した。これらの個体の機能的等価性の成立の程度はそれぞれ83.3 %と33.3 %であった。また、群(オオカミ、和犬種、欧米犬種)は訓練、リマインド、逆転フェイズの選択反応に有意に影響しなかった。機能的等価性の成立の程度に関して、3群比較の結果、有意差は得られなかった。しかしながら、上記のリマインド試行の正反応率が100 %であった2個体における機能的等価性の成立の程度を比較すると、オオカミ群の個体の方が高かった。\n\n【総合考察】\n本研究では2つの行動課題を実施したが、いずれの課題も動物にとって難しいものであったと考えられる。実験環境等の制約上難しいが、訓練にかける時間を追加するか、呈示する刺激モダリティについて検討する必要がある。研究1の尿中Corti濃度SDは、夜間のHPA軸活性パターンに関する日々の一貫性を示す可能性があることから、家畜化によるストレス応答の変化の指標と考えられるかもしれない。この値の新奇刺激選択数との関連については、まず、既知刺激が実験の開始時点では新奇刺激であったと考えると、ストレス応答性が低い個体では、比較的に早い段階でこれに対する馴化か飽和化が生じた可能性がある。そのような学習が、視覚的に類似した(プローブ試行での)新奇刺激に般化し、個体にとってサンプリングする動機づけが低減したことで、既知刺激の方が選好されたと考えられる。また、欧米犬種群では研究2の課題において、他の群と異なって訓練での学習が成立したといえる個体はおらず、したがって機能的等価性も成立し得なかった。これは、家畜化が進むほど新奇刺激、および実験事態への注意が低下していることを示すかもしれない。機能的等価性の成立の程度については、比較できる個体数が少ないため強い言及は控えるが、家畜化は、イヌにおいて新たな刺激同士の即座の連合や分類を生じさせづらくし、変化に富んだ人工環境への適応を促したかもしれない。","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第84号"}]},"item_access_right":{"attribute_name":"アクセス権","attribute_value_mlt":[{"subitem_access_right":"open 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