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以上を要するに今回,野外の流行時に分離し得たウィルス株を,その病原性,プラック形成能および血球凝集能などの生物学的性状の観点から比較し,更に,夫々の分離株よりクローニングによって得られたウイルスについての諸性状を,比較したところ,野外の流行初期の分離株と,それ以後の諸株との間には病原性において明確な差のあること,夫々の分離株からクローニングにより得られた株のうち,流行初期の分離株のそれに,プラック形成が小型で病原性が一層減弱したものであることが認められた。すなわちこれらの事実は野外における流行の時期により,ウイルスの病原性に変化があり,流行初期に認められた病原性の弱いものは次第に選択的に減少して強毒ウイルスの流行が優勢化される傾向を示し,又一時期に分離されたウイルスの中にも性質の異なるウイルスの混在を認め,これらがクロニーングにより更に分離されることがわかった。尚病原性とその他の生物学的性状,例えばプラック・サイズ,血球凝集能などの間には必ずしも平行関係のないことも明らかにされた。", "subitem_description_type": "Abstract"}]}, "item_10006_dissertation_number_12": {"attribute_name": "学位授与番号", "attribute_value_mlt": [{"subitem_dissertationnumber": "乙第30号"}]}, "item_10006_version_type_18": {"attribute_name": "著者版フラグ", "attribute_value_mlt": [{"subitem_version_resource": "http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa", "subitem_version_type": "AM"}]}, "item_creator": {"attribute_name": "著者", "attribute_type": "creator", "attribute_value_mlt": [{"creatorNames": [{"creatorName": "吉村, 政雄"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": 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ニューカッスル病に関する研究 : 特に1967年を中心として最近3ケ年間の流行例よリ分離したウイルス株の生物学的諸性状について
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2013-02-21 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | ニューカッスル病に関する研究 : 特に1967年を中心として最近3ケ年間の流行例よリ分離したウイルス株の生物学的諸性状について | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者 |
吉村, 政雄
× 吉村, 政雄 |
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抄録 | ||||||
内容記述 | NDVは鶏に与える病原性が変化に富んでいる事と,他の生物学的性状も多様性を有する事が知られている。NDVが初めて認められたのは,高度に伝播力を有し,かつ極めて致死率の高いアジア型ウイルスによる症例からである。後に鶏のage factor等によって症状に差を示す中等度のウイルスによる症例がアメリカにおいて見出された。さらに極く軽度の呼吸器症状を示した例から分離された殆ど病原性をかくウイルスの存在が血清学的調査によって知られるに至った。この種々な病原性について分別が試みられ,現在では3つの型に分けられている。すなわち,velogenic type. mesogenic typeおよびlentogenlc typeである。この病原性の他に,NDVは鶏赤血球を凝集する性状を有し,さらに,この凝集能は他種動物の赤血球に対しても認められ,この性状は56℃加温によって,その消長が左右されることが知られている。 NDVは,CKおよびCEにプラックを産生するとみられる。CEプラック集団には形態およびサイズに多様性があり,CEのプラック集団のサイズにウイルスの病原性を相対的に関連づける傾向がある事が知られている。ただし,この性状は絶対的ではない様である。 NDが認定されてより,日本における本病に関する知見は多い。その知られている各NDの症例から,中村の佐藤株(1933)から,清水らの石井株(1964)にみられる様にすでに3種の病原性を示すNDVの存在が認められている。 本論文は1967年を中心として最近3ヶ年の流行例より分離した9株のNDVについて病原性を含めた生物学的諸性状を追求した知見の大要を報告したものである。 9株は局地的な比較的軽度な流行例より分離された1株(I_(1)株),強度な病勢を示して,連続して発生した諸例より分離された8株(I_(2)-(9)株)から各々成っている。尚I_(6)株はウズラでの発生例より分離された株である。 各分離株について,感受性鶏に対する病原性試験の結果および鶏胎児に対する致死性から病原指数を求め,それらによって各株の病原性を分別した。すなわち2日令雛の脳内接種によって得られたICPI,8週令および30週令鶏の静脈内接種によって得られたIVPI,および鶏胎児にみられたMDTから分離ウイルスはmesogenic type 1株(I_(1)株)およびvelogenic type 8株(I_(2)-(9)株)に分けられた。この両タイプ・ウイルスの鶏に対する態度は本質的に異なる相がみとめられた。すなわち,I_(1)株の病原性は鶏のage facforおよび接種ルートによって著明に左右されたが,I_(2)-(9)株の病原性は,この様な諸因子にかかわりなく,常にその強度な病原性は不変であったことである。ウズラより分離された1_(6)株の鶏に示した病原指数は他の諸株I_(2)-(9)株,および佐藤株とほぼ同様の値を示した。各分離株の鶏胎児に対する病原性はMLD6.0~7.0(Log_10)におけるMTDによって判定された。得られた値による分離株の鶏胎児に対する病原性は,鶏に示した病原性にほぼ比例した。 しかし乍ら,各分離株について対照ウイルスも含めて行なったHrおよびmam HAの性状は各々の病原性とは全く比例しなかった。I_(7)株がHr^(+)およびmam HA^(+)を示したのみで他株は全てHr^(-)およびmam HA^(-)であった。反面,用いた対照ウイルスについて,弱毒石井株のみがHr^(+)およびmam HA^(+)を示し,B_1および佐藤株はHr. mam HAともに(-)であった。この様な知見から,Hrおよびmam HAは病原性とは比例せず,I_(2)-(9)株の如き同程度の病原性を示す株間でもNDVの株固有性とおもわれる多様性の存在が認められ,疫学的に同一と思われる時期にも性質の異なるウイルスの存在がうかがわれた。 各分離株はCEにプラックを産生する。その得られたプラック集団には広範囲なSize-variationがみられ,その集団の中から最少プラック(S)および最大プラック(L)の各々1個を対象としてクローニングを行なった。クロン・ウィルスによって産生されるプラック集団は,優勢的にその由来するサイズが産生され,これらについての統計学的検索では有意差がみとめられた。 各分離株よりクロン・ウイルスについてICPI,IVPI,MDT,Hrおよびmam HAを検索した。 クロン・ウイルスのICPIは各々の原株の病原性によって異なる価を示した。すなわち,mesogenic typeよりのLクロン・ウイルスではI_(1)原株と等しいランクに入る価を示したが,I_(1)S-クロン・ウイルスは極度に病原性が低下し,lentogenic typeに入る性状であった。さらにIVPIでも同様でI_(1)L-クロン・ウイルスは中間毒型のレベルに位置する事を示し,反面I_(1)S-クロン・ウイルスは全く病原性を消失しており,比較的感受性の高い8週令鶏へ,IN投与しても全く症状を発現する事なく,2週間後には高度に抗体産生をみた。この事からI_(1)Sの生ワクチン・ウイルスとしての可能性も見出しうる様であった。 強毒分離株であるI_(2)-(9)株のクロン・ウイルスは,S-クロン・ウイルスもL-クロン・ウイルスもともにICPIおよびIVPIは全く差が認められず各々の原株と変りない値を示した。各原株においてICPIおよびIVPIとほぼ比例した値がみられたMDTについて,I_(2)-(9)株からの各クロン・ウイルスにみられた値は,殆ど原株と変りなくクロンに伴う病原性の減少は認められなかった。I_(1)S-クロン・ウイルスのMDTはMLD4.7で80時間を要し,この面からも病原性の衰退が強調された。 クロンに伴なって病原性に著変のみられたI_(1)S-クロン・ウイルスと,原株と差のみられなかったI_(2)S-クロン・ウイルスとを用いて,鶏体内での分布試験を試みた。I_(1)S-クロン・ウイルスは,各臓器に極めて一過性に認められるのみであったが,I_(2)S-クロン・ウイルスでは,その原株と殆ど変りない消長を示した。 各クロン・ウイルスについてHrおよびmam HAを測定した。I_(7)原株でみられたHr^(+)およびmam HA^(+)は比較上病原性の劣るI_(7)S-クロン・ウイルスに保持されていた。I_(7)L-クロン・ウイルスのHr性は加温5分で消失し,mam HAも全供試赤血球について(-)であった。 I_(1)SおよびL-クロン・ウイルスも含めて,他のI_(2)-(9)株よりのクロン・ウイルスのHrおよびmam HAは原株と等しい性状であって,ともに(-)の性状を示した。 以上を要するに今回,野外の流行時に分離し得たウィルス株を,その病原性,プラック形成能および血球凝集能などの生物学的性状の観点から比較し,更に,夫々の分離株よりクローニングによって得られたウイルスについての諸性状を,比較したところ,野外の流行初期の分離株と,それ以後の諸株との間には病原性において明確な差のあること,夫々の分離株からクローニングにより得られた株のうち,流行初期の分離株のそれに,プラック形成が小型で病原性が一層減弱したものであることが認められた。すなわちこれらの事実は野外における流行の時期により,ウイルスの病原性に変化があり,流行初期に認められた病原性の弱いものは次第に選択的に減少して強毒ウイルスの流行が優勢化される傾向を示し,又一時期に分離されたウイルスの中にも性質の異なるウイルスの混在を認め,これらがクロニーングにより更に分離されることがわかった。尚病原性とその他の生物学的性状,例えばプラック・サイズ,血球凝集能などの間には必ずしも平行関係のないことも明らかにされた。 |
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学位名 | ||||||
学位名 | 獣医学博士 | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 麻布大学 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1970-11-30 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 乙第30号 | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | AM | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa |